セダンの名車を輩出してきたメルセデス・ベンツの「Eクラス」が、大きな進化を遂げて登場。日本初となるARナビゲーションや革新的なユーザーインターフェースなど、最先端のテクノロジーが次世代のカーライフ像を映し出す

BY MADOKA ITO

 工業製品であれば、どのカテゴリーにも指標となるプロダクツがある。時にそれらは、その製品群における「メートル原器」と表現される。開発や製造に携わる者がその製品を尊敬し、たとえライバルブランドであっても同様に敬意を払い、先進性や品質を正しく評価する。現在世界的な人気カテゴリーとなっているSUVやさまざまなカテゴリーが存在するクルマの世界にあって、メルセデス・ベンツの「Eクラス」は、ミディアムサイズの車両におけるメートル原器。クルマ造りの指標となるモデルである。

 Eクラスのルーツを遡ると、1947年に登場した「W136/W191」と呼ばれるセダンにたどり着く。現行モデルは、「Eクラス」と呼称された1993年登場の「W124」から数えて5代目となる「W213」。いまや、メルセデスが中核と位置付ける重要なモデルであり、プレミアムモデルで最も成功した一台に数えられる。そして、今回発表されたのは、モデルライフ半ばとなるマイナーチェンジを受けた最新型で、そのラインナップは、セダンおよびステーションワゴン、そしてステーションワゴンをベースに車高をアップし悪路走破性能を向上したオールテレインの3モデルだ。

画像: E 450 4MATIC エクスクルーシブ<ISG(Integrated Starter Generator)搭載モデル>※ 配車予定:2020年11月以降 直列6気筒直噴ターボエンジン、排気量3.0L、右/左ハンドル仕様 ¥10,400,000(諸税別)

E 450 4MATIC エクスクルーシブ<ISG(Integrated Starter Generator)搭載モデル>※ 配車予定:2020年11月以降
直列6気筒直噴ターボエンジン、排気量3.0L、右/左ハンドル仕様
¥10,400,000(諸税別)

 最新のEクラスは、前後デザインの変更を中心に、エクステリアにおいてシャープでダイナミックなイメージが強調された。新しいフロントフェイスを印象づけるヘッドライトは切れ上がった精悍さを表現した意匠となり、「スリーポインテッドスター」と言われるメルセデス・ベンツのエンブレムを中央に配置するラジエーターグリルは下部が広い台形にあらためられた。セダンでは、新しいデザインキューの元に横長で2分割されたリアコンビネーションライトデザインを採用。躍動感あるリアビューを披露している。ステーションワゴンとオールテレインは、従来型のイメージを踏襲。ひと目でEクラスだと分かるデザインが採用された。

 そうしたルックス以上に大きく進化を遂げたのは、インテリア―― 特にドアを開け、最初に目に止まるステアリングホイールだ。メルセデスのインテリアデザイン統括であるハンス・ピーター・ヴンダリッヒ氏は、最先端のテクノロジーで構築されたこのステアリングホイールについて、「クルマに乗った瞬間、一番に目に入るパーツとしてステアリングホイールの存在は、重要です。そしてステアリングに触れた瞬間、クルマとのリレーションシップやクオリティを感じることができます。その触感もまたとても大切です。脳に対して(そのクルマの)ステアリングやインテリア、そのクルマが好きかどうかをフィードバックするからです」と熱く語る。

画像: 大きく進化を遂げた新型Eクラスのインテリア(写真はE 450)。ステアリングは人間工学にもとづき、操作性の高さと美しいデザイン性を融合。エアバックシステムのコンパクト化を図るなど、随所にヴンダリッヒ氏のこだわりが。メーターには12.3インチの液晶パネル、また同サイズのものがセンターコンソールパネルにも使用されている

大きく進化を遂げた新型Eクラスのインテリア(写真はE 450)。ステアリングは人間工学にもとづき、操作性の高さと美しいデザイン性を融合。エアバックシステムのコンパクト化を図るなど、随所にヴンダリッヒ氏のこだわりが。メーターには12.3インチの液晶パネル、また同サイズのものがセンターコンソールパネルにも使用されている

 その特長のひとつは、従来よく見られた平面パネルにスイッチを配したものとは一線を画す未来感あふれる仕上がりだ。水平に配された2本のスポークと一体となったタッチコントロールボタンを用いて、シームレスにカーナビゲーションや安全運転支援システム、オーディオの設定やコントロールが行える。デザインは人間工学を考慮したものであることはいうまでもなく、これら操作が直感的にでき、すべてが手元で完了するのも、メルセデスとEクラスがひとつの指標とされるゆえんである。

 また、「ハイ、メルセデス」をキーワードとして起動する対話型インフォテインメントシステム「MBUX」も進化。人工知能による学習機能で、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備え、音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(ナビの目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、クライメートコントロール(エアコンの温度設定)、各種ヒーター、照明など多彩な便利機能にも対応している。

画像: ワイヤレスチャージング

ワイヤレスチャージング

 さらに、日本で販売される車両で初めてAR(拡張現実)を採用したナビゲーションシステムでは、車両の前面に広がる実際の景色がナビ画面の一部に映し出され、進むべき道路に矢印を表示。直感的にどの道路に進むべきかを容易に判断できる機能が追加されている。もちろん、従来型でも定評のあった安全運転支援システムもバージョンアップされ、すべてのモデルで標準装備となっている。対向車線を横切って右折しようとするときに、対向車線を直進してくる車両と衝突する危険がある場合、車速が10km/h以内であれば自動ブレーキが作動する「アクティブブレーキアシスト (歩行者、飛び出し、右折時対向車検知機能付き)」や、停車時にドアを開けようとした際に後方から迫る障害物(歩行者、自転車、車両など)の存在を音と表示で知らせる警告機能が追加された。これからのカーライフはテクノロジーの進化と成熟によって、新たな道が開かれていくことだろう。

画像: ARナビゲーション画面

ARナビゲーション画面

 日本導入モデルのパワーユニットは、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドなど全部で8種類、ラインナップは17モデルにも及ぶ。ガソリンエンジン搭載車には、最新の電動化技術を用いたマイルドハイブリッドシステムを組み合わせているほか、「E 350 de スポーツ」に搭載されるクリーンディーゼルとプラグインハイブリッドシステムの組み合わせは、現在日本ではこのモデルが唯一の存在。エンジン単体で最高出力435psを発揮する高性能モデル「メルセデスAMG E 53 4MATIC+(ISG搭載モデル)」や同612psのフラッグシップモデル「メルセデスAMGE 63 S 4MATIC+(ISG搭載モデル)」も同時に発売される。

画像: 「E 350 de スポーツ」※ 配車予定:2021年1月以降 直列4気筒直噴ディーゼルターボエンジン+プラグインハイブリッド、排気量2.0L、右ハンドル仕様 ¥8,345,455(諸税別) PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MERCEDES-BENZ

「E 350 de スポーツ」※ 配車予定:2021年1月以降
直列4気筒直噴ディーゼルターボエンジン+プラグインハイブリッド、排気量2.0L、右ハンドル仕様
¥8,345,455(諸税別)
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MERCEDES-BENZ

 今回の新型Eクラスの進化はフルモデルチェンジに匹敵するものとも言えるが、特にADAS(先進運転支援システム)の向上と充実には目を見張るものがある。Eクラスのステアリングを握れば、この先に広がる、自動運転の普及、安全性や環境への配慮された持続可能なモビリティ社会が見えてきそうだ。クーペ、カブリオレも間もなく発表されるというから、最先端の安全性や快適性のみならず、さまざまなカーライフやニーズをカバーしてくれることは間違いなさそうだ。しばらくはEクラスがプレミアムセグメントの話題の中心に位置するはずである。

問い合わせ先
メルセデスコール
フリーダイヤル: 0120-190-610
公式サイト

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