美しい造形美に、快適な座り心地......。たった一脚でも、住まいを洗練の空間へと昇華させてくれる「名作」と呼ばれる美しき椅子を厳選紹介。今回は、素材や張り地など、今しか手に入らない「2023年限定モデル」が登場した往年の名作椅子をピックアップ

BY EMI ARITA

2大巨匠がタッグを組んだ「オーガニック チェア」

画像: 「オーガニック チェア」シリーズとして3種のバリエーションと豊富なカラーの張り地が揃う COURTESY OF VITRA

「オーガニック チェア」シリーズとして3種のバリエーションと豊富なカラーの張り地が揃う

COURTESY OF VITRA

 数々の名作家具を手掛けてきたチャールズ・イームズとエーロ・サーリネンが、1940年、ニューヨーク近代美術館主催の「家庭用家具のオーガニックデザイン」というコンペのために考案した「オーガニック チェア」。背もたれと座面が一体成形型のシェルを使用した曲線的なフォルムのデザインは、当時としては先鋭的なもので、後に誕生したイームズの「プラスチックアームチェア」やサーリネンの「チューリップチェア」といった名作椅子の原点ともなり、プロダクトデザイン史を語る上で欠かせない作品となっている。

 1950年代に入り製品化されると、体にフィットするその座り心地から、“快適な読書チェア”として親しまれ、今なお、愛され続けている「オーガニック チェア」。そのバリエーションも豊富で、「オーガニック チェア」のほか、背もたれの高い「オーガニック ハイバック」、座面の高い「オーガニック カンファレンス」の3種があり、それぞれ多彩なファブリックから張り地をセレクトできる。

画像: イームズスペシャルコレクション2023「オーガニック カンファレンス」¥446,600/ヴィトラ(2024年1月末までの限定販売) COURTESY OF VITRA

イームズスペシャルコレクション2023「オーガニック カンファレンス」¥446,600/ヴィトラ(2024年1月末までの限定販売)

COURTESY OF VITRA

 2023年は、ヴィトラとイームズオフィスの協働による「イームズ スペシャルコレクション2023 」で、「オーガニック カンファレンス」が特別なファブリックを纏い登場。自然を愛し、 空間を彩ることを好んだというレイ・イームズの想いを着想源に、野原に咲き誇る花々を連想させるクヴァドラ社のファブリック「リア」を張り地にしたモデルとなっている。カラーバリエーションは、どんなインテリアにも馴染みやすい温かみのある3色。

ヴィトラ
TEL. 0120-924-725
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ポール・ケアホルムの「PK22」

画像: 「PK22 キャンバス ナチュラル」¥592,900/フリッツ・ハンセン COURTESY OF FRITZ HANSEN

「PK22 キャンバス ナチュラル」¥592,900/フリッツ・ハンセン

COURTESY OF FRITZ HANSEN

 「家具の建築家」という異名を持ち、最高峰の素材と美しいフォルムデザインにこだわり抜いたことで知られるデンマークを代表するデザイナー、ポール・ケアホルム。数ある作品の中でも、その美学が息づく代表作とされているのが、1956年にデザインされたこちらの「PK22」。

 当時、いち早くステンレススチールを取り入れ、デザインや素材の可能性を広げた「PK22」は、1957年に世界的な美術展覧会であるミラノのトリエンナーレにてグランプリを獲得、現在もパリの国立美術館や東京の国立新美術館でも使用されている。そのシンプルかつエレガントな理想的なフォルムと、どこから見ても美しいプロポーションは、現代のインテリアにも違和感なく溶け込み、存在感を放つ。

フリッツ・ハンセン スペシャルエディション2023「PK22 ピュアレザー」¥627,000/フリッツ・ハンセン

COURTESY OF FRITZ HANSEN

 張り地はレザーや藤など、豊富なバリエーションがラインナップするが、2023年は「フリッツ・ハンセン スペシャルエディション2023」として、最高品質のアニリンレザーを張り地にした限定モデルが登場。タラというマメ科の植物の果実から採ったタンニンでなめしているほかは、一切加工が施されていないため、短期間で奥行きのある自然な色へと変化。さらに濃い色になることで素材本来の美しさを楽しめる。

フリッツ・ハンセン 東京
TEL. 03-3400-3107                
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ハンス J. ウェグナーの「CH07 シェルチェア」

画像: 「CH07 シェルチェア」¥403,700〜/カール・ハンセン&サン COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

「CH07 シェルチェア」¥403,700〜/カール・ハンセン&サン

COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

 広げた羽のようなフォルムと、先端にむかってテーパーのついたアーチを描く脚が印象的な「CH07 シェルチェア」。北欧家具の巨匠、ハンス J. ウェグナーが1963年にデザインしたもので、まるで椅子が宙に浮遊するようなフォルムに3本脚と独創性溢れるデザインが特徴だ。

 ハンス J. ウェグナーは、3本脚の安定性を保つために、どの角度から見ても美しいダブルフレームを開発。緩やかなカーブを描く成形合板製の座面や背もたれとともに、快適な座り心地と安定感を誇るユニークな椅子を見事に実現させた。この斬新なデザインに、発表当時は一般に普及することはなかったが、時を経て1998年にカール・ハンセン&サンより復刻されると、たちまち人気を博し、現在はハンス J. ウェグナーを代表する名作椅子として親しまれている。

画像: 「CH07 シェルチェア アニバーサリー エディション」¥503,800(2023年12月31日までの限定発売)/カール・ハンセン&サン COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

「CH07 シェルチェア アニバーサリー エディション」¥503,800(2023年12月31日までの限定発売)/カール・ハンセン&サン

COURTESY OF CARL HANSEN & SØN

 2023年は「CH07 シェルチェア」の誕生60周年を記念した「CH07 シェルチェア アニバーサリー エディション」が登場。通常のシェルチェアでは背もたれと座面に張り地があるが、記念モデルでは張り地はなく、FSC® 認証を受けたローズウッド材を使用した木の椅子として、美しく特徴的な木目を際立たせている。座面は板座もしくはマットブラックのアニリンレザーのシート張りの2種からセレクト可能。さらに、 アニバーサリーを記念して、ハンス J. ウェグナーのサインとデザイン年が刻まれた小型の真鍮プ レート付き。

カール・ハンセン&サン フラッグシップ・ストア東京
TEL. 03-5413-5421                 
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アルヴァ・アアルトの「スツール60」

「スツール60」¥38,500〜/アルテック

COURTESY OF ARTEK

 1933年の誕生以来、その普遍的なデザインで、今なお人々を魅了し続けるアルヴァ・アアルトの「スツール60」。無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインと高い実用性を見事に両立させた「スツール60」は、モダニズムの先駆者たちが追い求めた理想の椅子であり、素材も形も現在までほぼ変わることなく、フィンランドの工場で生産され続けている。

 「スツール60」は、アルヴァ・アアルトが開発した、フィンランドバーチ材を直角に曲げる技術「L - レッグ」を応用したシリーズのひとつでもあり、円形の座面と3本の脚のみという究極にシンプルな構造が特徴。豊富なカラーと仕様のバリエーションがラインナップし、多様化した現代のライフスタイルにも取り入れやすく、スツールとしてはもちろん、サイドテーブル、ディスプレイ台として、あらゆる使い方を楽しむことができる。

画像: 90周年アニバーサリーモデル「スツール60 コントラスティ」¥39,600(2023年限定発売)/アルテック COURTESY OF ARTEK

90周年アニバーサリーモデル「スツール60 コントラスティ」¥39,600(2023年限定発売)/アルテック

COURTESY OF ARTEK

 2023年は、この「スツール 60」の誕生90周年を記念したアニバーサリーモデルが多数登場。そのひとつである「スツール 60 コントラスティ」は、独創的な構造と技術に焦点をあてた限定モデルで、高熱処理を施したバーチ材ベニヤ板を組み込み、コントラストを際立たせることで、独自の技法をわかりやすく表現。「スツール60」の特徴的な構造を、視覚的にも楽しめるデザインとなっている。
 唯一無二の構造と製造工程、フィンランド産の白樺の美しさと多様性、環境への配慮、時を経て使用可能な耐久性と普遍性と、90年間変わることなく受け継いできた「スツール60」。今回登場したアニバーサリーモデルは、そのクラフトマンシップとタイムエレスな魅力に改めて気づかせてくれるだろう。

アルテック
TEL. 0120-610-599
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アルネ・ヤコブセンの「エッグチェア」

フリッツ・ハンセン150周年コレクションより(左から)「エッグチェア フットスツール」¥389,400、「エッグチェア」¥1,846,900/フリッツ・ハンセン

COURTESY OF FRITZ HANSEN

 その名の通り、卵のようなフォルムが特徴的な「エッグチェア」は、1958年、アルネ・ヤコブセンがコペンハーゲンのSASロイヤルホテルのためにデザインしたもの。この特徴的なフォルムを叶えるべく、ヤコブセンは自身のガレージでワイヤーと石膏を使用した試作を繰り返し、完璧なフォルムを追求。その並々ならぬ探究心によって生まれた「エッグチェア」は、どこから眺めても美しい佇まいを実現させた。

 「エッグチェア」はその優れたデザイン性に加えて、腰掛けるとすっぽりと体を包み込む快適な座り心地も長年愛され続けてきた理由のひとつ。リクライニング機能も付いており、ゆったりと体を預けて座ることができ、至福のリラックスタイムを叶えてくれるのだ。レザーやファブリックと張り地のバリエーションも豊富なほか、別売りのフットスツールと合わせることもでき、インテリアやライフスタイルに合わせて、好みのスタイルを選ぶことができる。

 

画像: フリッツ・ハンセンチョイス 2023「エッグチェア」¥1,045,000/フリッツ・ハンセン COURTESY OF FRITZ HANSEN

フリッツ・ハンセンチョイス 2023「エッグチェア」¥1,045,000/フリッツ・ハンセン

COURTESY OF FRITZ HANSEN

 2023年は、フリッツ・ハンセンが特別なデザインを選ぶ「フリッツ・ハンセンチョイス 2023」として、クヴァドラ社の「MOSS」のファブリックを使用し、レザーのパイピングを施した限定モデルの「エッグチェア」が登場。極上の柔らかさと静けさを感じさせるカラーリングと、手作業で縫われたライトグレーのレザーパイピングが気品を漂わせ、「エッグチェア」の美しさをさらに引き立てている。

フリッツ・ハンセン 東京
TEL. 03-3400-3107                
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