秋田木工、飛騨産業、マルニ木工、カリモク、KOYORIと、5つの日本の家具ブランドより、背もたれやフレームなど、美しい曲線が魅力的な木の椅子を厳選。今、第一線で活躍するデザイナーのおしゃれなデザインで、日本が誇る高度な木工技術を堪能して

BY EMI ARITA

秋田木工の「MAGEKKO(まげっこ)」

画像: 「MAGEKKO」¥81,900〜/秋田木工(IDC OTSUKA) COURTESY OF IDC OTSUKA

「MAGEKKO」¥81,900〜/秋田木工(IDC OTSUKA)

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 熟練の職人技で無垢材を三次元にひねり上げる国内屈指の曲木技術を持つ、1910年創業の老舗木工家具メーカー、秋田木工。2019年に発売された「MAGEKKO(まげっこ)」はそんな秋田木工の曲木技術を存分に楽しめる作品のひとつ。国産の木材を使った家具や空間デザインを得意とする五十嵐久枝のデザインと、伝統的な曲木技術を掛け合わせた「AGITA(アギタ)」シリーズの第一弾として発売された椅子だ。

 特徴はフリーハンドで書いたような2本の“線”から成る背もたれ。背もたれと肘掛けまでひと続きになった外側の“線”は特に立体的で、見れば見るほど、木材を曲げたとは思えないほどしなやか。緩やかな曲線で心地よく体を支える快適性と、視覚的な遊び心を添えるデザイン性から、2020年度グッドデザイン賞を受賞している。

画像1: COURTESY OF IDC OTSUKA

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 座り心地の安定感も抜群で、背もたれのカーブも心地よく体を支えてくれる。カラーは素材のブナ材の色を活かした白木塗装のほか、おしゃれなツートンの組み合わせが楽しめる、全5色のカラー塗装もあり。

画像2: COURTESY OF IDC OTSUKA

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マルニ木工の「Tako アームチェア」

画像: 「Tako アームチェア(板座)」¥204,600〜/マルニ木工 COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

「Tako アームチェア(板座)」¥204,600〜/マルニ木工

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 マルニ木工は、1928年、広島県に前身となる「昭和曲木工場」を設立、「工芸の工業化」をモットーに、職人の手作業と機械加工技術を融合した高品質なものづくりを続けてきた。1960年代にはトラディショナルな「ベルサイユシリ-ズ」などが人気を博し、洋家具ブームを牽引。2008年には、深澤直人やジャスパー・モリソンといった世界的なデザイナーを起用した「マルニコレクション」を始動し、卓越した木工技術と国際的なデザインセンスを融合した洗練のコレクションを通して、「100年経っても世界の定番となる家具づくり」を目指している。

「Tako アームチェア」は、2020年に深澤直人が発表した「マルニコレクション」の「Tako シリーズ」のアームチェア。やわらかな曲線で形づくられたシルエットは、木の塊を彫刻のように削り出す、マルニ木工の高度な切削加工によって生まれたもの。まるで背もたれから枝分かれしたかのように4本の脚がつながる姿は、360度どこから眺めても美しく、その姿を愛でるのも、日々の楽しみとなりそうだ。 

画像: COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

 しなやかにカーブした座面はゆとりある広めの設計で座り心地も快適。座面は板座と張り座の2種から選べる。しなやかなカーブを描く脚がおしゃれな同シリーズのラウンドテーブルとセットで、ダイニングを設えるのもおすすめ。

画像: 写真のテーブルが、同シリーズの「Tako ラウンドテーブル」 COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

写真のテーブルが、同シリーズの「Tako ラウンドテーブル」

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マルニ木工
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飛騨産業の「HIHI」と「DADA」

画像: COURTESY OF HIDA

COURTESY OF HIDA

 1920年、飛騨の森に生い茂っていたブナ材による椅子作りから事業をスタートした飛騨産業。古くから木工文化が息づき、「飛騨の匠」と呼ばれる職人集団を生んだ飛騨高山の地で、匠の技と曲木をはじめとする高度な加工技術の融合により、堅牢で美しい家具を作り続けている。

 2025年に発売された「HIHI」と「DADA」は、飛騨産業の原点ともなる、飛騨の森のブナ材を使った椅子。大丸松坂屋百貨店の新しい包装材のデザインを担当するなど、アートディレクターとしても活躍する三澤遥が初めてデザインを手がけた椅子で、「HIHI」はシンメトリー(左右対称)のアームチェア、「DADA」はアシンメトリー(左右非対称)のシングルアームチェアとなっているのが特徴。本作について三澤が「兄弟のような椅子」と語る通り、似ているようで少し違うデザインを“対”で表現した。

画像: 「HIHI アームチェア(張り座)」¥220,000〜/飛騨産業 COURTESY OF HIDA

「HIHI アームチェア(張り座)」¥220,000〜/飛騨産業

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 くるりと曲がった背もたれとアームは、小径木(家具などに使用するには細くて向かないとされる木)の多い飛騨の木の特性を活かし、一本の長い木材を曲げる曲木ではなく、短い木材をつなぎ合わせて形成されたもの。繋ぎ目のギザギザとした形が、人が両手を組んだように見えることから「フィンガージョイント」と呼ばれる接合技術で、曲木のような美しくなめらかな曲線を、飛騨産業の高度な技術と職人技で見事に実現。カラーはブナ材の木目も美しいナチュラル仕上げのほか、「ブラック」、「モスグリーン」、「バーミリオン」のカラー塗装もあり。100年以上にわたる、飛騨の匠の技を凝縮したグラフィカルな椅子は、二脚並べて楽しみたい。

画像: 「DADA シングルアームチェア(張り座))¥242,000〜/飛騨産業 COURTESY OF HIDA

「DADA シングルアームチェア(張り座))¥242,000〜/飛騨産業

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KOYORIの「Edaha」

画像: 「Edahaチェア」¥290,400/KOYORI PHOTOGRAPH BY HIROSHI IWASAKI

「Edahaチェア」¥290,400/KOYORI

PHOTOGRAPH BY HIROSHI IWASAKI

 日本が誇る卓越した木工技術や職人技を、国際的に活躍するデザイナーとの協働により、世界に発信するグローバルブランド、KOYORI。こちらの「Edaha」は、2022年、ブランドの第一弾コレクションとして、コペンハーゲンを拠点とするデザインデュオ・ガムフラテージがデザインした椅子。その名の通り、複雑に絡み合う4本の脚は“枝”、大きく湾曲したシートは“葉”を表現している。

 脚やシートのすべてが成形合板でつくられている「Edaha」の製造を手掛けたのは、日本でいち早く成形合板技術を実用化した、1940年創業の天童木工。立体的なフォルムを持つ名作椅子を数多く生み出してきた天童木工の高度な成形合板技術により、水平や垂直など直線部分がなく、ほとんどが曲線と曲面でできた「Edaha」の有機的なシルエットを叶えた。

画像: PHOTOGRAPH BY HIROSHI IWASAKI

PHOTOGRAPH BY HIROSHI IWASAKI

 シートは木製シートと布張りシートの2種からセレクト可能。枝にちょこんと葉が乗っているように見立てた「Edaha」は、自然の何気ない風景を日常にもたらしてくれることだろう。一脚でオブジェのように楽しむのはもちろん、ゆったりと時が流れる和やかなダイニングの演出にもぴったりだ。

画像: COURTESY OF KOYORI

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カリモク家具の「MAST CHAIR」

画像: 「MAST CHAIR(CB60)」¥105,270/カリモク家具 COURTESY OF KARIMOKU

「MAST CHAIR(CB60)」¥105,270/カリモク家具

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 愛知県刈谷市で、ミシン用のテーブルや輸出家具の木製パーツ製造を手がける木工所として、1940年に創業したカリモク家具。1960年代からは自社製品の開発に取り組み、「Kチェア」や「ロビーソファ」といったデザイン史に残る名作家具を生み出した。現在も高度な機械技術と熟練の職人の手作業を融合させた「ハイテク×ハイタッチ」という独自のコンセプトのもと、普遍的なデザインと高品質で耐久性のある木工家具を作り続けている。

 家具からプロダクトデザインまで手がけるデザイナー、小林幹也のデザインで2024年に発売された「MAST CHAIR」は、大きく弧を描く背もたれと細身のフレームをあわせた、軽やかなデザインのダイニングチェア。背もたれが風になびく帆船の“帆”、そこから伸びる支柱が帆を立てる“柱=マスト”のように見えることから、「MAST CHAIR」と名付けられた。

画像1: COURTESY OF KARIMOKU

COURTESY OF KARIMOKU

 カリモク家具の「ハイテク×ハイタッチ」という高度な木工技術から生まれた背もたれのなめらかな曲面や、シートの絶妙なカーブは、驚くほど体にフィット。先端が微妙に反り上がったハーフアームは、横から眺めたときの美しさのみならず、肘がずり落ちないよう設計されたもの。「長く座る椅子は身体の延長である」という小林の考えのもと、細部にいたるまで、使いやすさや身体とのフィット感、快適性が追求されている。ダイニングチェアとして設れば、いつまでも長居したくなる心地いい食卓を叶えてくれるはずだ。

画像2: COURTESY OF KARIMOKU

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