さまざまな分野でのパラダイムシフトに直面する今日この頃。私たちはこれからどこへ向かうのか?占星術研究家の水晶玉子と濱美奈子が、変動期を前向きに乗りきる秘訣を語り合う

BY YUKINO HIROSAWA, ILLUSTRATIONS BY SACHIYO OISHI

 さまざまな環境問題、DX、コロナ禍etc.…、私たちは今、かつてない変動の渦中で過ごしている。占い好きでなくても、“風の時代”到来という言葉を耳にしたことがあるであろう。西洋占星術によると2020年の年末に、約220年続いた“土の時代”を卒業し、これからの約200年は“風の時代”へ。天体の主要な星々も、牡牛座、乙女座、山羊座の“土”を象徴する星座から、“風”を象徴する双子座、天秤座、水瓶座などへ移動していく。私たちが今、入り口にいる風の時代とはどんな時代なのか? 不測の事態が続く先行き不透明な世の中を、時には視点を変え、はるかなる宇宙から俯瞰してみるのもまた一興。占術の研鑚を重ねる水晶玉子さんと濱美奈子さんのおふたりに、2023年の星回りと、星々から読み解く近未来の予想図についてざっくばらんに語り合ってもらった。

画像1: 水晶玉子×濱美奈子
2023年の流れと、激動の時代を
朗らかに生き抜く秘訣を語り合う

西洋占星術、東洋占星術で読み解く。2023年はどんな年に?

水晶 今年も残すところあと少しですが、2022年の干支は“壬寅(みずのえとら)”。茂みから寅が飛び出すようなイメージの事象が起きて世の中の空気がガラリと変わる。そんな予見をしていましたが、ウクライナ侵攻、安倍元首相の暗殺など予想を超える出来事が続き、私自身も驚いています。西洋占星術の視点では、2020年に始まった風の時代が2023年以降、いよいよ本格化しそうですね。

 2023年から2025年にかけていくつかの星が隣の星座へ移ります。まず注目すべきは2023年3月24日、破壊と再生を意味する冥王星の、山羊座から水瓶座への移動です。

水晶 冥王星が山羊座に入ったのは、リーマンショックが起きた2008年、そこから山羊座がつかさどる「社会」「権威」「仕事」の分野に根本的な変容が促されました。コロナ禍もあり、社会の構造や秩序、仕事の価値観や働き方、さらにジェンダーへの意識なども大きく変わりつつあります。

 冥王星は6月にまた山羊座に戻り、本格的に水瓶座に入るのは2024年11月20日から。

水晶 大きな曲がり角では速度も落ちるように、大きな変化ほど数年単位の期間を要するもの。2023年の出来事は大変容の予告編だととらえ、些細な変化を敏感にキャッチし、適応していく準備ができるとよさそうです。

大変革期に入ったばかり。物質的な豊かさから、精神的な幸せを求める時代へ

 冥王星山羊座時代を含め、約220年続いた土の時代は物質的な豊かさに価値が置かれる時代でした。権力や財力といった“目に見える豊かさ”を求める土の時代が終わり、心の豊かさに価値が置かれる風の時代へ。

水晶 少し話がそれますが、歴史をさかのぼると、今回よりもひとつ前のサイクルの、“土から風の時代への過渡期”は、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の平安時代末期から鎌倉時代初期の頃。源頼朝挙兵の1180年とコロナ禍の2020年の干支は同じ“庚子(かのえね)”なんです。約5年続いた源平合戦が終わった翌年、1186年に風の時代が始まったものの、風の星座に完全に移行したのは1226年。その後、1232年に、長きにわたって武家社会の秩序を支える「御成敗式目」が制定される。次の時代への切り替わりは一度で刷新されるわけではなく、前の時代の価値観の揺り戻しのようなものが噴出し、せめぎ合う過渡期が必ずあります。

 過渡期は、新しい時代には淘汰されるであろう悪しき慣習や価値観などが、さまざまな分野で露呈するタイミングでもありますね。

水晶 直近で言えば、東京オリンピック招致を巡る不正取引などもそれ。ひとつの時代が終わるときには必ず、古い常識や体質が刷新されます。また2023年の3月7日に、義務や責任を象徴する土星が魚座へ入る。魚座に土星が入った周期をさかのぼると、1964年の東京オリンピック後や、90年代のバブル崩壊後なんです。祭りのあとのような、空虚なムードが漂う運気なんですよね。東洋占星術の観点でも、2023年は新旧が錯綜する年。混沌とした中から、新しいものがだんだんと見えてくることを示唆しています。

 西洋占星術で星の動きを見ても、2024年、’25年から本格的に風の時代に切り替わります。社会構造を抜本から変容させる冥王星だけでなく、世の中の幸運や発展のありかをつかさどる木星も2024年5月26日より双子座へ、2025年7月7日には改革の星、天王星も双子座へ。来年、2023年は星もまだ行きつ戻りつですが、3月と5月がキーポイント。3月の春分の日以降、滞っていた何かが急に動き出したり、絶対的な権力が弱まったりと、これまでの常識が通用しなくなる出来事が起こるかもしれません。いずれにしろ、長きにわたり人々の無意識下にあったある種のドリームが終わり、新しい夢や理想に向かう機運がもう始まっていることを感じています。

水晶 土の時代を象徴する、物質的豊かさの所有欲、ヒエラルキーの中で権威や権力をむやみに信じたり、ひとつの場所や土地に縛られる考え方や価値観は終焉を迎えるということ。ジェンダーに関することや、昭和の“モーレツ社員”のような働き方も含め、以前は当たり前と見なされていたことが「それはないでしょ」となっていく。“それ”を今後も引きずる人は、世間とズレが生じたり、時代遅れになってしまうということですね。

 フラットで、ゆるくつながる横社会へ、競争から共創の時代へ。自分だけ成功するよりも、みんなで豊かさや幸せを分かち合おうとする風の時代へ価値観も変化していくでしょう。

食・住の分野で生まれた新しい価値観やスタイルが世の中に浸透していく

水晶 2023年の5月17日には、幸運と拡大の星である木星が、“根本的な生きるパワー”を象徴する牡羊座から、“食や住”と深い関わりを持つ牡牛座へ入りますね。

 原始的、本能的なこと、たとえば焚き火やキャンプの盛り上がりはさらに。自給自足生活を試みたり、都会と田舎の二拠点生活を実践する人も、ますます増えそう。個人的に今ハマっている、アイヌ文化に触れられる漫画『ゴールデンカムイ』のさらなるヒットも(笑)! 食糧問題にも動きがありそうですね。

水晶 フードロス削減のほか、動物性原材料ではなく植物由来の原材料を使用したプラントベースフードの需要拡大。フードバンクやこども食堂はさらに社会に浸透するのでは。

 一部の“意識が高い人中心”だったことが、一般化するようなイメージでしょうか。また、牡牛座は経済とも関わりが深いので、5月中頃は円安や物価上昇、税制問題などが、良くも悪くもニュースになりそう。

水晶 改革の星といわれる天王星も牡牛座に入っているので、支払い方法にも劇的な変化がありそう。決済はもちろん、ご祝儀やお賽銭までキャッシュレス化が進むなんてことも!?

 小さな共同体で有効な通貨や、新感覚の物々交換も浸透していきそう。シェアやレンタルもさらに普及し、“所有”から“共有”へ

水晶 所有に対する概念は、ガラリと変化する兆し。「お金を貯めて土地や家、高級品を買う」という土の時代らしいブランド志向型から、オンリーワンやハンドクラフトに、ラグジュアリーの価値を見いだす傾向に。

 物質的なものよりも精神的な豊かさを求めている証し。まさに風の時代ですね。

水晶 一方で、来年の5月18日頃は、木星と冥王星がシリアスな角度をとるので、データの消失などに注意をしておくとよいですね。

 来年、冥王星が3月24日から6月10日まで滞在する水瓶座は、福祉や社会的救済もつかさどる宮。本格的に入るのは2024年からですがシングルマザーや若年層の貧困を巡る課題にも光が射すような進展があると思います。

水晶 冥王星が水瓶座に入るということは、テクノロジーの進化も見込めそうですね。自動運転やアグリテックなども話題になりそう。加えて、2023年の6月5日~10月9日はエンタメの星座の獅子座に金星が長期滞在!

 アニメやゲームに爆発的ヒットが出そう。アバター参加も一般的になり、デジタル技術を駆使したアートやフェス、舞台など、エンタメは楽しいことで盛り上がりそうです!

水晶 “かっこいい”より、“ゆる可愛いもの”に注目が集まる気がしますね。好きなもの、楽しいことでキラキラのエネルギーを満タンに

 変動期を元気に乗りきる秘訣ですね!

自分の中にある“好き”を見つけ、芽吹かせるとき。焦らず、ゆっくりで大丈夫

水晶 2023年の干支は“癸卯(みずのとう)”。静かでこまやかな知性を表し、小さなことやものの積み重ねに力が宿ることを示します。オリエンタル占星術では「井宿(せいしゅく)」の年。井戸を象徴し、ひとつのことを深掘りして自分の中の混沌としたものをゆっくり濾過(ろか)し、丁寧に分別や仕分け、浄化をしていくべき年であると示唆しています。そんな行動の中で、きらりと光る小さな種を探すことが開運につながります。

 自分の足もとを丁寧に掘り下げながら、コツコツと。自分の中のキラッとするようなときめきや好きな気持ちを見つけて育む、と。

水晶 来年は「学び」にもよい年。無理して外に新しいものを探さなくても大丈夫。学び直しやブラッシュアップもおすすめです。

 何を学ぶかの選択も含めて、すべて自分の中に答えをちゃんと見つけられるはず。何を手放し、何を取り戻し、何を育むか。自分の心の声に耳を澄ませ、小さな選択を繰り返していくことで光が見えてくる。いつの間にか凝り固まっていた枠をはずして自由に、ゆる~く変わっていく。

水晶 それもまた“ゆるかわ”で(笑)。枠や序列に縛られなくてよいぶん、“若いのに”とか“もう年だから”は、言わないように気をつけたいところ(笑)。もうひとつ大事なことを。今後は組織より“個”の力を意識する流れになっていきます。同調圧力に流されず、自分の感性や意見を尊重することを大事にしてほしいですね。誰かの声に引きずられる必要もない。誰かに判断を任せず、自分で考える。

 風には、型も枠もないんです。型にはまった自分の考えを変えてみる。手始めに、所属や肩書をはずした自己紹介を考えてみる。意外に難しいけど発見があって楽しいですよ。

水晶 実際にやってみると難しい(笑)。この場合、“何が好き”ってことは、重要なキーワードですね。

 キーワードといえば、風の時代のキーワードのひとつは「循環」。競争社会を生き抜いてきた世代の人たちは、利益も人脈も囲い込むのではなく、周囲の人々や社会のために活かしていくことに意識を向けてみると、新しい時代へのシフトがスムースになりそう。意見が違っても否定や非難をする前に、まずは相手を知ろうとする。そんな心のあり方が、ものごとをよい方向へ導いていきます。

水晶 そうそう、主義主張は違っても“推し”や趣味に共通点が見つかるかもしれない(笑)。2023年は小さな種を見つける年。2024年にはその種が芽吹き、新しいサイクルがリアルに始まります。’25年に大きく育ち、大きな星々の移動が済んだ2026年には新しい、豊かな景色がきっと見られることでしょう。

 みんなで分かち合う実りの季節を願って。

水晶 その気持ちこそが、明るい未来を築いていくための基盤ですね。

画像: 水晶玉子 占術研究家。東洋・西洋の枠を超え、数々の占術を研究し、執筆する。なかでも空海が日本に伝えた宿曜経を現代に蘇らせた「オリエンタル占星術」は、誕生日から27通りある宿を導き、才能や魅力、運命を読み解く。話題の出来事や愛するうさぎについてツイッター(@Suisho_Tamako)などでも発信

水晶玉子
占術研究家。東洋・西洋の枠を超え、数々の占術を研究し、執筆する。なかでも空海が日本に伝えた宿曜経を現代に蘇らせた「オリエンタル占星術」は、誕生日から27通りある宿を導き、才能や魅力、運命を読み解く。話題の出来事や愛するうさぎについてツイッター(@Suisho_Tamako)などでも発信

画像: 濱 美奈子 占星術アロマテラピー®研究家・セラピスト。占術と植物の香りや波動を組み合わせた独自のメソッドで、癒やしと気づきをサポートするカウンセリングやセッション、深く学ぶための講座も開催。占いや自然療法に関する執筆も行うほか、国内外の企業やブランドとオリジナルの香りの製作・プロデュースも。12月16日〜18日、オンライン・チャリティイベント「Gift of love 星に願いを」を開催。 公式サイトはこちら

濱 美奈子
占星術アロマテラピー®研究家・セラピスト。占術と植物の香りや波動を組み合わせた独自のメソッドで、癒やしと気づきをサポートするカウンセリングやセッション、深く学ぶための講座も開催。占いや自然療法に関する執筆も行うほか、国内外の企業やブランドとオリジナルの香りの製作・プロデュースも。12月16日〜18日、オンライン・チャリティイベント「Gift of love 星に願いを」を開催。
公式サイトはこちら

画像: 『水晶玉子のオリエンタル占星術 幸運を呼ぶ365日メッセージつき 開運暦2023』 27宿ごとの全体運や仕事運、愛情運、365日分の開運法など。ゲッターズ飯田氏との対談やスマホアプリを使った仕掛けも(集英社/1,760円)

『水晶玉子のオリエンタル占星術 幸運を呼ぶ365日メッセージつき 開運暦2023』
27宿ごとの全体運や仕事運、愛情運、365日分の開運法など。ゲッターズ飯田氏との対談やスマホアプリを使った仕掛けも(集英社/1,760円)

【12星座占い】濱美奈子のハーモニー占星術もチェック>

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