日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介。今回は、主人公たちがチームを組んで、ズル賢い悪党を成敗していく痛快な “チームもの” ドラマをセレクト!

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

キレる神父&ヘタレ刑事が共同捜査
『熱血司祭』シーズン2

 『熱血司祭』は、一度キレると止まらない危ない神父とヘタレ刑事がタッグを組んで共同捜査に挑んでいくコメディーアクションドラマです。以前は優秀な対テロ対策の特殊要員だったのに、ある出来事がトラウマとなりすさんだ心を抱えていたところを神父様に助けられ、自らも神に仕える神父となった男キム・へイル。曲がったことが許せなく、怒りを制御できないため常にトラブルを起こしていた彼が、恩師の悔しい死をきっかけに、長い物には巻かれろ精神の無能な刑事ク・デヨンと共同捜査を始めることになる…、というのがシーズン1。

画像: 神父のヘイル役キム・ナムギル。©2024 SBS & Studio S. All rights reserved.

神父のヘイル役キム・ナムギル。©2024 SBS & Studio S. All rights reserved.

 ヘイル役のキム・ナムギルが、ひょうひょうとしながらノリのいい弾けた演技を披露して、エネルギッシュな部分と渋く押さえる部分のメリハリがきいていてとってもコミカル。神父の裾長の服を翻しながらのアクションもかっこいい! ヘタレだったのに正義感をどんどん発揮していく刑事のデヨンや俗物でイケメン好きの女検事と丁々発止のやり取りをしながら、徐々に良きチームになっていくところが魅力で、悪い奴らに鉄槌を下すさまが実に痛快です!

画像: 刑事役のキム・ソンギュン。©2024 SBS & Studio S. All rights reserved.

刑事役のキム・ソンギュン。©2024 SBS & Studio S. All rights reserved.

 そのシーズン1から5年後に作られたのがシーズン2。デコボコだけど良きチームワークはそのままに、舞台をプサンに移して、プサンの麻薬カルテルを捕まえるという内容で進行。前作よりもさらにコミカルさを前面に出してエンターテインメント性を重視した作りで痛快な後味を残しました。

■ディズニープラス スターで全話独占配信中

ダークヒーロー&警察が悪に対抗
『スティーラー 〜七つの朝鮮通宝〜』

 俳優チュウォンが文化財をめぐって現代版ネズミ小僧のごとき活躍を繰り広げるコメディーアクションです。文化財庁の事務官でろくに仕事もせずにさぼってばかりのおちゃらけ公務員、ファン・デミョン(チュウォン)は、実は夜になると黒装束に身を包み、違法に文化財を手にしている権力者や犯罪者から文化財を盗み出し、国民のもとに戻している通称スカンクという顔を持つ男。そんなダークヒーローと、ソウル警察の文化財犯罪を扱う専門チームのメンバーという、本来は敵対する立場の両者たちが、こっそりと手を組んで悪い奴らに対抗していきます。

画像: ファン・デミョン役のチュウォン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

ファン・デミョン役のチュウォン。© STUDIO DRAGON CORPORATION

 彼らが、7枚集めると意味を成すという穴の開いた朝鮮通宝を探し出して、隠された大量の文化財と謎の宝を回収するというミッションに挑む設定で、アドベンチャー映画のような楽しさがあり、メンバーたちが役割分担をしながらチームで戦っていくのが愉快、痛快です。

画像: © STUDIO DRAGON CORPORATION

© STUDIO DRAGON CORPORATION

 デミョンが亡き父親の志を継いで「歴史を忘れた民族には未来がなく、文化財を失った民族には過去もない」をモットーに、誰よりも熱い志で文化財をあるべき場所に戻すことに情熱を捧げる男を演じていますが、昼の冴えない顔と、夜のかっこいいヒーロー姿の、軽妙な演じ分けが面白い見どころになっています。『ドラゴンボール』『ミッション:インポッシブル』『ハムナプトラ』『ロボコップ』など、有名作品のあれやこれやがあちこちにちりばめられていて、そんなパロディー要素がふんだんに盛り込まれているのも笑えます。

■U-NEXTにて独占配信中 

青年詐欺師&公務員が罠を仕掛ける
『元カレは天才詐欺師~38師機動隊~』

 ソ・イングクが天才詐欺師に扮した、痛快な詐欺エンターテインメントドラマです。市役所の税金徴収課で働くうだつの上がらない課長(演じるのはマ・ドンソク)。大金を手にしながら税金逃れをして払わない対象者相手に今日も悔しい思いをしています。そんなとき、自身が詐欺にあったのをきっかけに、自分をだました天才詐欺師とタッグを組んで、正攻法では太刀打ちできない悪質な税金滞納者に詐欺を仕掛けて税金徴収を目指すことになります。

画像: 天才詐欺師役のソ・イングク。©STUDIO DRAGON CORPORATION

天才詐欺師役のソ・イングク。©STUDIO DRAGON CORPORATION

 まじめな公務員と詐欺師がタッグを組んで、ずるがしこい金持ちからお金をだまし取るという斬新なアイディア。天才詐欺師が中心となり、それぞれ得意分野を持つ専門の詐欺師たちを集めてチームを組んでターゲットに巧妙な詐欺を仕掛けていくのですが、見ているこちらも騙されて…という具合に、ハラハラしたり、驚かされたり、スリリングなコンゲームの面白さと、スカッとくる後味がいいです。でも単純明快なだけでなく、話が進んでいくにつれて、青年詐欺師の本当の目的が明らかになっていくという重層構造になっていきます。

画像: ソ・イングク(右から3人目)と課長役のマ・ドンソク(右から4人目)。©STUDIO DRAGON CORPORATION

ソ・イングク(右から3人目)と課長役のマ・ドンソク(右から4人目)。©STUDIO DRAGON CORPORATION

 ソ・イングクが軽妙洒脱で度胸のある、クレバーでスマートな詐欺師になり切り、人懐っこさや怜悧さといった多彩な魅力を振りまいています。こんな魅力的な青年詐欺師と、マ・ドンソク演じるぐでんとした冴えないおじさん課長という、でこぼこコンビのブロマンスもとってもいいんです。だましだまされる関係だった2人が次第に信頼と絆で結ばれていく過程が、このドラマの最大の見どころで、ジ~ンときます。庶民からしたら腹立たしいことこのうえない高額滞納者をぎゃふんといわせる痛快さがあって、韓国ではそのスッキリ具合が「サイダーのようだ」といわれて人気を集めました。

■Leminoにて配信中

田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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