弱冠19歳のときにクリエイティブ・ディレクターに就任し、約40年にわたり「アクリス」の舵を取ってきたアルベルト・クリームラー。家族や故郷の風景、才能あふれる友人たち。彼をインスパイアしてやまない大切なものについて語った

BY LINDSAY TALBOT, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

画像6: COURTESY OF AKRIS

COURTESY OF AKRIS

「私の祖母アリスが父を抱いている写真。1922年の撮影で、同じ年に彼女はブランドを立ち上げました。私の人生の最初の12年間、彼女から学びながら過ごせたというのは、とても幸運なことです」

画像: JOHN COWAN/CONDÉ NAST/GETTY IMAGES

JOHN COWAN/CONDÉ NAST/GETTY IMAGES

「デザイナーのユベール・ド・ジバンシィは私の母を慕っていて、後年、私の大切な友人になりました。今年の2月、彼が亡くなる直前に、われわれはランチをともにしました。彼はモロッコへの旅行の計画を語り、アズディン・アライアとクリストバル・バレンシアガの作品を対比する展覧会を開催したいと話していました。精神力と活力に溢れた、誰よりも素晴らしいジェントルマンでした」

画像: LE CORBUSIER,“UNTITLED,”WATERCOLOR OF A BIRD, © F.L.C./ADAGP, PARIS/ARTISTS RIGHTS SOCIETY(ARS), NEW YORK 2018, COURTESY OF AKRIS

LE CORBUSIER,“UNTITLED,”WATERCOLOR OF A BIRD, © F.L.C./ADAGP, PARIS/ARTISTS RIGHTS SOCIETY(ARS), NEW YORK 2018, COURTESY OF AKRIS

「20代のはじめに、サンガレンの最初のアパートに引っ越したときのこと。アート作品をひとつも所有していなかったので、小さな家具店でこの水彩画を買い求めました。この絵について何の手がかりもなかったのですが、ル・コルビュジエが手がけたロンシャン礼拝堂を10年前に訪れたとき、これと同じ鳥がステンドグラスのひとつに描かれているのを見たのです。私はこの鳥をシジフォス(ギリシャ神話に登場する、重い岩を山頂まで持ち上げ続ける苦行を永遠に科せられた人物)と呼んでいます。われわれの日々の暮らしを象徴していると思うからです。前に飛んだり後ろに飛んだり、上がったり下がったりしつづける毎日を」

画像: JÉRÉMIE SOUTEYRAT

JÉRÉMIE SOUTEYRAT

「長年、東京に滞在するときはいつもホテルオークラに泊まっていました。その広さが大好きでした。特別に広い空間だというわけではないのに、なぜか壮大な印象を受けるのです。素材の美しさも大好きでした――すべてが木と石でできているのです。2015年、このホテルが取り壊される前の最後の2週間を私はここで過ごしました」

画像7: COURTESY OF AKRIS

COURTESY OF AKRIS

「定期的にNYを訪れていた80年代後半、私は時差ぼけを利用して早朝に26番街のフリーマーケットに行きました。そこで私は、写真のものを含む3着のクリストバル・バレンシアガによる服を見つけました。その場にいた誰ひとりとして、それがバレンシアガだとわかっていなかったのですが! これは仕立とフラワーモチーフの色みが非常にいいですね。彼は真のマスターです」

画像: HD ZIMMERMANN/EYEEM/GETTY IMAGES

HD ZIMMERMANN/EYEEM/GETTY IMAGES

「私のホームアトリエはアッペンツェル・アルプスのちょうど南西にあります。4月から6月にかけて、外の芝生に咲き誇る野生の花々を眺めるのはとてもいいものです。雪が降っているときや霧でけぶっているときもまた素晴らしい。こういった静けさに満ちた瞬間には、ファッションの世界から遠く離れている気分になります」

画像8: COURTESY OF AKRIS

COURTESY OF AKRIS

「このパッチワークバッグも、2019年リゾート・コレクションから。このコレクションは職人技の進化をテーマにしたものでした。イタリア・トスカーナ州にある皮なめし工房のチェルボカーフレザーでできていて、そこで樽染めをしているので、端から端までしっかりと色が染み渡っています」

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