ウォッチジャーナリスト高木教雄が、最新作からマニアックなトリビアまで、腕時計にまつわるトピックを深く熱く語る。第11回は、リバイバルを果たした「パシャ ドゥ カルティエ」。カルティエによる防水時計の伝統を受け継ぎ、新生パシャは新たな時代の扉を開く

BY NORIO TAKAGI

 数あるカルティエのウォッチコレクションの中で、1917年に誕生した「タンク」は、角型時計の傑作中の傑作である。ルイ・カルティエが、最初のスケッチを4本の直線だけで描いたというシンプルなフォルムは、それゆえ多くのバリエーションを生み出しながら今もメゾンのアイコンであり続けている。そんなタンクでカルティエは、1931年にひとつの偉業を達成する。角型で初めて防水ケースを実現したのだ。この防水角型時計のモデル名は、「タンク エタンシュ」。エタンシュとは、仏語で密封や防水を意味する。

伝説によれば、1930年代半ばモロッコのマラケシュを統治していた太守(パシャ)が、「水浴中に着けられる時計」を所望し、タンク エタンシュを購入したとか。これにちなみ、1985年に生まれたスポーティな丸型防水時計に、カルティエはパシャの名を冠したのである。その原型は、第二次世界大戦中の1943年製モデルにあり、時代を反映した力強い丸型ケースには高い防水性が与えられ、ガラスを保護するグリッドも用意されていた。

画像: カルティエ「パシャ ドゥ カルティエ」¥655,000(予価)※ 2020年9月発売予定 <ケース径35mm/SS、自動巻き、SSブレスレット、アリゲーターストラップ> 35mmは、ジェンダーレスなサイズ感。SSブレスレットも工具なしで付属のアリゲーターストラップに付け替えられる © CARTIER

カルティエ「パシャ ドゥ カルティエ」¥655,000(予価)※ 2020年9月発売予定
<ケース径35mm/SS、自動巻き、SSブレスレット、アリゲーターストラップ>
35mmは、ジェンダーレスなサイズ感。SSブレスレットも工具なしで付属のアリゲーターストラップに付け替えられる
© CARTIER

 そのモデルをリデザインしたパシャを特徴付けるスクリュー式のリューズカバーは、防水性を高めるための工夫。今年発表された新生パシャは、それを受け継ぐだけに留まらず、リューズカバーを外した際、チェーンの下に現れるプレートに、イニシャルなどをエングレービングしてパーソナライズできるサービスも、新たに導入した。

 ダイヤルに置く四角い線路型分目盛と四方向アラビア数字といったアイコニックなディテールも、そのまま継承。ストラップを留めるプレート状の突起も初代と同じだが、ビス留めではなく工具なしで付け替えができる「クイックスイッチシステム」を採用。ほとんどのモデルに替えストラップが付属し、時計を着替えさせられる。またスポーティな幅広のベゼルは、わずかにくぼませて造作され、エレガントさをより増した。また搭載する自社製ムーブメント「Cal.1847 MC」は、心臓部である脱進機に非磁性の合金を用い、ケース内部に同じ合金のシールドを設置することで耐磁性にも優れている。

画像: カルティエ「パシャ ドゥ カルティエ」スケルトン¥2,688,000(予価)※ 2020年9月発売予定 <ケース径41mm/SS、自動巻き、SSブレスレット、アリゲーターストラップ> 透明感豊かなスケルトンのダイヤルに、ブルーの剣型針がクッキリと浮かぶ。ブレスレットのコマ詰めも工具不要だ © CARTIER

カルティエ「パシャ ドゥ カルティエ」スケルトン¥2,688,000(予価)※ 2020年9月発売予定
<ケース径41mm/SS、自動巻き、SSブレスレット、アリゲーターストラップ>
透明感豊かなスケルトンのダイヤルに、ブルーの剣型針がクッキリと浮かぶ。ブレスレットのコマ詰めも工具不要だ
© CARTIER

 三針以外にも、線路目盛とアラビア数字とがムーブメントの各パーツを支える構造とした大胆なスケルトンも用意。さらには、ここでは紹介し切れないが、そのスケルトンのトゥールビヨンも新生パシャにはラインナップされる。満を持して、より高性能でエレガントに進化し復活を果たした多彩なパシャは、今の苦難の状況が終息した明るい未来の時を刻むのに、まさにふさわしい。

問い合わせ先
カルティエ カスタマー サービスセンター
フリーダイヤル:0120-301-757
公式サイト

高木教雄(NORIO TAKAGI)
ウォッチジャーナリスト。1962年愛知県生まれ。時計を中心に建築やインテリア、テーブルウェアなどライフスタイルプロダクトを取材対象に、各誌で執筆。スイスの新作時計発表会の取材は、1999年から続ける。著書に『「世界一」美しい、キッチンツール』(世界文化社刊)があり、時計師フランソワ・ポール・ジュルヌ著『偏屈のすすめ』(幻冬舎刊)も監修

 

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