クリエイティビティの追求と環境負荷の低減──両立が困難に見えるファッション界の課題を、日本の最先端技術を用いて実現できることを提示するブランド、YUIMA NAKAZATOの展望を探る

BY T JAPAN

 “全ての人に一点ものの衣服を”という哲学を掲げるブランド「YUIMA NAKAZATO」が、セイコーエプソンとパートナーシップを締結。同社の「デジタル捺染(なっせん)」技術により、従来よりも少ない水量と環境負荷の低い染料で、繊細な素材にも美しい印刷を施すことができる。

「これは、環境への配慮とクリエイティビティの追求、どちらも諦めずに時代が求める服づくりに邁進できることを意味します。さらに7月のパリ・コレでは、私が描いた地球のイラストを400倍に拡大してエプソンのインクジェット技術で出力し、ショー会場全体が地球に包まれているような空間を演出。使い終わった会場を次にどうつなげていくかも含め、ファッション界が今向き合うべき課題に一緒に取り組んでいます」(中里唯馬氏)。

画像: (写真左)デザイナーの中里唯馬 (写真右)デジタル捺染技術は環境負荷を抑えながらデッサンを高品質に再現可能

(写真左)デザイナーの中里唯馬
(写真右)デジタル捺染技術は環境負荷を抑えながらデッサンを高品質に再現可能

画像: 7月のパリ・コレでは、繊細なシルクオーガンジーに美しいブルーのプリントを施した数々のルックで魅了。会場の内装もエプソンの印刷技術で実現 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUIMA NAKAZATO

7月のパリ・コレでは、繊細なシルクオーガンジーに美しいブルーのプリントを施した数々のルックで魅了。会場の内装もエプソンの印刷技術で実現
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUIMA NAKAZATO

 将来的には、データに手を加えることで、顧客一人一人に対応したオートクチュールと適量生産の展開を目指す。節約ではなく、その服が好きだから長く着続ける、本当の意味での豊かなスタイルを提示していく。

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