世界中の美食家から愛されるパリのスターシェフ、ギィ・マルタン。自らのシグネチャーにもフォアグラ料理をもつ彼が、このほど日本への輸入が解禁となったフォアグラの現状とその魅力を語る

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 フレンチの花形食材といえば、フォアグラ。その歴史は紀元前2500年頃に遡る。古代エジプトでガチョウの肥育が始まり、これを取り入れた古代ローマ人がガチョウにいちじくを食べさせて肥育。肥大したガチョウの肝臓を蜂蜜入り牛乳に浸して調理していた。その伝統はフランスに受け継がれ、ルイ16世をはじめ、美食家たちに濃厚な風味ととろけるような食感が愛されてきた。
 その後、ガチョウの餌となるトウモロコシが新大陸から伝来したことで、フランスでのフォアグラの生産効率は飛躍的にアップし、ガチョウばかりでなく、アヒルや鴨での生産も行われるようになった。

 現在、フランスは世界最大のフォアグラ生産国であり、最大輸出先が日本だ。2015年から16年にかけて2度の鳥インフルエンザの流行により、鴨やガチョウ数百万羽が殺処分され、2015年以降のフォアグラ生産量は44%も落ち込んだ。日本は輸入を禁止していたが、2017年10月、フランス農業・食料省は、国際獣疫事務局(OIE)の規定に基づいて鳥インフルエンザを駆逐し、フォアグラの輸出再開を許可したことを発表。今年になってやっと、フランスのフォアグラを再び日本で味わえるようになった。

画像: ギィ・マルタン 1957年、フランス・サヴォア地方生まれ。1991年にパリ1区のレストラン「ル・グラン・ヴェフール」の統括シェフに就任。2000年、同店でミシュランガイド三ツ星を獲得。2012年レジオン・ドヌール勲章オフィシエ。今年9月にパリ郊外に家庭料理の店をオープン。さらに、イタリア・プーリア州の古い村にある歴史的建造物を改装し、シャンブルドットもオープンした

ギィ・マルタン
1957年、フランス・サヴォア地方生まれ。1991年にパリ1区のレストラン「ル・グラン・ヴェフール」の統括シェフに就任。2000年、同店でミシュランガイド三ツ星を獲得。2012年レジオン・ドヌール勲章オフィシエ。今年9月にパリ郊外に家庭料理の店をオープン。さらに、イタリア・プーリア州の古い村にある歴史的建造物を改装し、シャンブルドットもオープンした

 1850年創業の「サラド社」は、フランス南西部に拠点をおき、フォアグラや鴨のマグレ(胸肉)、生ハムなどを手がける、老舗食材ブランドだ。ガストロノミーのみならず、フォアグラの魅力を幅広く発信していきたいと、パリの名店「ル・グラン・ヴェフール」の料理長・ギィ・マルタンを2010年、「フォアグラ・アンバサダー」に指名した。「フォアグラのラビオリ」というスペシャリテを持つマルタンこそ、アンバサダーにふさわしい、と。「サラド社」の招きで今秋来日したマルタンシェフに、フォアグラという食材の魅力と現状について話を聞いた。

「3年ぶりのフォアグラ解禁はとても喜ばしいですね。フランス人にとってフォアグラは、お祭りやお祝いの席に必ず登場する食材です。そうそう、日本の鯛みたいなものですね。特にクリスマスの食卓は、フォアグラなしでは始まらない。フォアグラを初めて食べたときのことを覚えているフランス人は大勢います。7歳の誕生日とか、クリスマスの食卓で、とかね。それくらい、フォアグラはフランスの食卓に欠かせないもの、伝統に根ざしたフランスの食文化なのです」。

 

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