イタリアの有名レストランで研鑽を積み、2015年に「イル・リストランテ ブルガリ東京」のペストリーシェフに就任。2019年3月に発表された「アジアのベストレストラン50」にて、ベストペストリーシェフに輝いたファブリツィオ・フィオラーニ。その類まれなクリエーションはどこからくるのか?

BY YUMIKO TAKAYAMA

「写真を撮るためにお菓子を作っているのではない」とファブリツィオ。「目の前にデザートを置かれたらゲストは最初、目で味わう。そのあとは香り、テクスチャー、そして最後は味わい。その全部の感覚が“デザートを味わう”ということだ」

画像: スフレをミーレのオーブンに入れるファブリツィオ。調理の最中は真剣そのもの COURTESY OF MIELE

スフレをミーレのオーブンに入れるファブリツィオ。調理の最中は真剣そのもの
COURTESY OF MIELE

 彼の豪華な作品集『TRA L’ONIRICO E IL REALE(夢と現実の間)』(CHIRIOTTI EDITORI刊)には、グラフィティアートのBANKSYの作品「風船と少女」や葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」をモチーフにしたデザートなどが登場する。これらのアートシリーズは、彼にとって自分の生き方を表現しているというが、実はデザートのインスピレーションの80%は、日々の仕事や生活から得ることが多いのだとか。「特に日本で働いていた時は、イタリアにいる時よりも静かに考える時間があったので、いろんなアイディアが浮かんだ」と笑う。

画像1: 作品集『TRA L’ONIRICO E IL REALE(夢と現実の間)』より © CHIRIOTTI EDITORI, ITALY

作品集『TRA L’ONIRICO E IL REALE(夢と現実の間)』より
© CHIRIOTTI EDITORI, ITALY

画像2: 作品集『TRA L’ONIRICO E IL REALE(夢と現実の間)』より © CHIRIOTTI EDITORI, ITALY

作品集『TRA L’ONIRICO E IL REALE(夢と現実の間)』より
© CHIRIOTTI EDITORI, ITALY

 また、日本での経験の中で魅せられたのは日本独自の素材だ。繊細な甘みの和三盆や、独特な味わいの黒糖に惚れ込み、実際に波照間島まで生産者に会いに行った時の動画をうれしそうに見せてくれた。「アジアのベストレストラン50」の授賞式の会場で、黒糖のことを伝えるために自ら画像を編集したのだそうだ。

「おいしいものは世界共通。だから日本にいた時も、日本人向けに味付けを変えたりはしなかったよ。日本の寿司職人は相手がイタリア人だからって、寿司の味を変えないだろう? おいしいという感覚は共通言語なんだ」

 現在はローマに拠点を置くファブリツィオだが、「次の挑戦は何?」の質問に、キラッと目を輝かせながら「まだ言えないんだ」といたずらっぽく笑った。近い将来、きっとまた、見たことのないような斬新なデザートを生み出して、私たちを喜ばせてくれるに違いない。

 

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