戦後十余年で海外へ。ハーブに導かれ、食文化研究家として活躍してきた北村光世。インタビュー後編では、困難多き時代にも日々を“健やかに生き抜く”知恵が詰まった4つのレシピを紹介する

BY NAOKO ANDO, PHOTOGRAPHS BY MASANORI AKAO

 ここに紹介する料理は、北村が長年の経験で培った“健やかに生きる知恵”が凝縮されたものだ。「手羽中のローズマリー風味」は、コラーゲンたっぷりの手羽中をオリーブオイル、ローズマリー、レモンでマリネし、オーブンで焼いたもの。オリーブオイルでコーティングされた手羽中は内側はふっくら、外はパリッと仕上がる。香りづけのローズマリーは抗酸化作用、血行促進に加え、健脳作用にも優れるといわれる。手頃な素材で手軽に作れ、夢中でかぶりつくほどおいしくて健康的。

「鯖の味噌煮ローリエ風味」は味噌煮にハーブという組み合わせ。ローリエが鯖独特の臭みを抑え、薄力粉をつけてオリーブオイルで焼くので、皮がはがれずにきれいに仕上がる。北村は近年食育にも力を入れ、近隣の保育園の給食にレシピを提供しているが、魚嫌いの子もおかわりするほどの人気メニューに。「すし飯のハーブ風味」は、米酢の瓶にフレンチタラゴンを加えて風味を移した自家製タラゴンビネガーをすし酢に用いる。タラゴンの自然な甘みで、砂糖やみりんを使わずとも風味豊かに仕上がる。保存も効くため、何かと重宝する。

 どの料理にも、北村は庭にひょいと出て摘んできたハーブを使う。「ハーブはルームフレグランスや入浴剤にも活用。抗菌作用もあるし、よい香りをかぐと気分もいいものよ。ローズマリーとローリエは常緑で育てやすいからおすすめよ」。余すところなく使い、種を採って、また育てる。「暮らしの中で何かを育ててみる。“育てて使うこと”を生活に取り入れると、喜びの連鎖が生まれます」

画像: 北村光世(MITSUYO KITAMURA) 1939年、京都府生まれ。青山学院大学スペイン語教授を務めたのち、食文化研究に専念。イタリアの地域に根ざした食文化を研究し、ハーブとオリーブオイルを使った料理やハーブを活用する暮らしを紹介する

北村光世(MITSUYO KITAMURA)
1939年、京都府生まれ。青山学院大学スペイン語教授を務めたのち、食文化研究に専念。イタリアの地域に根ざした食文化を研究し、ハーブとオリーブオイルを使った料理やハーブを活用する暮らしを紹介する

 調味料を多用しないのも北村のレシピの特徴だ。最小限の調味料で最大限おいしく食べる。「素材をよく見て、素材にやさしい調理法でうま味を抽出する。料理も教育も同じ。よく観て、中にあるよい力をじっくり引き出すことが大事」昭和、平成、令和と軽やかに駆け抜けながら、北村は先人なき道を切り拓いてきた。「振り返ると、すべてつながっているのね。無駄なことなどないと後になってわかる。いつも目の前にあることに一生懸命取り組んできただけ。そうしていると、案外悪いことにはならないものよ」

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