TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
京都には独自の進化を遂げた中華がある。最近では京都中華と呼ばれることもあり、ここ数年、京都にやってくる友人から「中華を食べたい」というリクエストをよく受ける。そこで今月は地元人に愛される町中華を紹介。第2弾は京都中華の流れをくむ「広東料理 芙蓉園」をご案内します。
四条河原町「広東料理 芙蓉園」
「広東料理 芙蓉園」の初代は、今はすでに閉店しまった京都中華の先駆け「第一樓」や「鳳舞」を開いた高華吉さんの日本で初めてのお弟子さん。現在は、二代目・加地数男さんが父の味を引き継いでいる。
京都中華は、ニンニクや香辛料を使わないあっさり薄味を特徴とするが、こちらでは、ニンニクのみならず、ショウガも一切使っていないという。京都中華の流れを組みつつ、独自の工夫やアレンジを加えたメニューも多く、人気の鶏肉入り卵焼き、鳳凰蛋(ホウオウタン)も初代が考案したものだ。
広東料理から独自の進化を遂げた京都中華は鶏ガラスープを味のベースにした料理が多く、ホウオウタンも鶏ガラスープをたっぷり使い、卵も半熟とろとろに。しかもこちらでは、鶏ガラスープを毎日、追いたして作っているそうで、スープの味が濃い。醬油と砂糖が入ったちょっと甘めの味付けで、私は長らくこれがこの店のオリジナルと気づかず、京都中華の定番だと思っていたぐらい親しみやすい味わい。チャーハンと一緒に食べるのもお気に入りだ。
もう一つ、「広東料理 芙蓉園」に来たら絶対オーダーするのが焼売。焼売の種は豚挽き肉とタマネギのみとシンプルに。焼き豚を作った後の漬けダレで味付けしているため、そのままでもおいしい甘辛味に。蒸さずに鶏ガラスープで炊いて火を通しているのもめずらしい。「父が店を始めた時、厨房が小さいし、大きい蒸籠が置けなかったから、炊いたみたいです」と、加地さん。市販の皮では炊くと破れてしまうため、皮まで自家製。運ばれた時に、湯気と共にスープの香りが立ち上がり、食欲をそそる。
2品のほかにも、クレープのような卵入りの生地で包んだ春巻きや京都の米酢を使ったまろやかな酢豚など、毎日でも食べられる優しい味の京都中華が勢揃い。京都一の繁華街、四条河原町から徒歩すぐなので是非。
広東料理 芙蓉園
住所:京都市下京区市之町240
営業時間:昼は二部制12:00~、13:10~、17:30~20:00(L.O.)
定休日:火曜、水曜
TEL. 075-351-2249