「おいしいものは身体にいいのよ」。有元葉子さんはしばしばこの言葉を口にする。「野菜が身体にいいのはもちろんです。ただ、運動したら、肉や揚げものをたっぷり食べたいし、疲れたときには甘いものが欲しくなります」と有元さん。「見知らぬ土地で、スマホ頼みではなく、太陽の位置や見える景色を頼りに歩くと認知機能が高まると聞きました。食べることについても同様に、自分の身体の声を頼りにしてはいかがでしょう」有元葉子さん直伝の、真っ当においしく、体にやさしい理にかなった調理法と食べ方をお届けします

RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

Vol.1 フライドポテト

「揚げものは、油の質が大切です」

画像: 有元流フライドポテトはほんのひと手間で、まわりがカリッカリッ。中はホクホク

有元流フライドポテトはほんのひと手間で、まわりがカリッカリッ。中はホクホク

 情報が氾濫する今、私たちは“体によい”と言われればその食材を選び、反対ならやみくもに避けてしまっていないだろうか。例えば、揚げもの。おいしいけれど、“カロリーが高くてヘルシーではないから”、“太りたくないから”と控えている方も少なくないだろう。
「古い油を使っていたり、揚げてから時間が経ったりしたものは、油が酸化し、体にいいとは言えませんね。新しい油を使い、揚げ立てをいただけば、油の酸化は最低限で済むのです。だから、揚げものは家庭でするのがおすすめね」と有元さん。
「揚げる作業は大変と思われがちですが、調味に凝る必要はなく、油の力で素材の味を閉じ込めてくれるので、揚げるだけでおいしくなるんです」

 まず大切なのは、油の選び方。「原料は何か、どうやって作られているかを知ってから選んで欲しいのです。ラベルにすべてが書かれているわけではありませんが、せめて生産国は確認しましょう。私はイタリア産のオリーブオイルと、日本で作られた太白ごま油を使っています」

 そして、油の使い方にもコツがある。「最初は、野菜の素揚げに使います。二回目は、かき揚げなど衣をつけた野菜類や、ドーナッツなどの甘いお菓子。最後に、肉や魚を揚げておしまい。
油は早めに使いきることが大切です」

 今回はおろしたての油を使って、フライドポテトを。コツは、じゃがいもをゆでておくこと。じゃがいものでんぷんで、揚げ上がりがねっちりなってしまいがちだが、ゆでることででんぷんが流れ落ち、表面がカリッ、サクッに。次から次へと手が伸びるおいしさ。余ったら(多分、余らない…)、フライパンににんにくとバターを熱してフライドポテトを合わせ、溶き卵を加えて、薄焼きのフリッタータ(オムレツ)に。

<材料>
じゃがいも

揚げ油

<作り方>

画像: 1 じゃがいもは皮をむいて、くし形に切る。海水くらい(なめて塩からい程度)の塩水に15〜20分浸け、水で2〜3回ゆすぐ

1 じゃがいもは皮をむいて、くし形に切る。海水くらい(なめて塩からい程度)の塩水に15〜20分浸け、水で2〜3回ゆすぐ

画像: 2 鍋に1と同じ濃度の塩水を沸かし、1を入れて、5分煮る

2 鍋に1と同じ濃度の塩水を沸かし、1を入れて、5分煮る

画像: 3 ざるにあげてしばらくおく。熱くて水分がすぐに切れるため、じゃがいもをキッチンペーパなどでふかなくてすむ *この状態で冷凍可能。冷凍のまま揚げられる

3 ざるにあげてしばらくおく。熱くて水分がすぐに切れるため、じゃがいもをキッチンペーパなどでふかなくてすむ
*この状態で冷凍可能。冷凍のまま揚げられる

画像: 4 揚げ鍋にたっぷりの揚げ油(今回はオリーブオイル)を入れる。写真で使用しているのは、有元さん考案の揚げ鍋。カゴに素材を入れ、そのまま油に入れて揚げて、鍋の取手にカゴをかければ油切りもできる。揚げ鍋がなくても、深さのある鍋や中華鍋でもよい。深いほうが油のはねが少なくてすむ。はね防止網をのせれば、油が飛ぶのを防ぐことができるので便利

4 揚げ鍋にたっぷりの揚げ油(今回はオリーブオイル)を入れる。写真で使用しているのは、有元さん考案の揚げ鍋。カゴに素材を入れ、そのまま油に入れて揚げて、鍋の取手にカゴをかければ油切りもできる。揚げ鍋がなくても、深さのある鍋や中華鍋でもよい。深いほうが油のはねが少なくてすむ。はね防止網をのせれば、油が飛ぶのを防ぐことができるので便利

画像: 5 揚げ油を中温(170℃)に熱し、3のじゃがいもを入れる。量は、じゃがいも同士がくっつかないくらいがよい。最初は細かい泡がたくさん出る

5 揚げ油を中温(170℃)に熱し、3のじゃがいもを入れる。量は、じゃがいも同士がくっつかないくらいがよい。最初は細かい泡がたくさん出る

画像: 6 途中で全体をゆすって万遍なく油に浸かるようにする。カゴでなければ、網杓子などですくい上げてから再び入れる作業を繰り返す

6 途中で全体をゆすって万遍なく油に浸かるようにする。カゴでなければ、網杓子などですくい上げてから再び入れる作業を繰り返す

画像: 7 中温でゆっくりじっくりあげていくと、周囲がカリッとなる。泡が大きく少なくなってきて、こんがりきつね色になったら揚がった証拠

7 中温でゆっくりじっくりあげていくと、周囲がカリッとなる。泡が大きく少なくなってきて、こんがりきつね色になったら揚がった証拠

画像: 8 網などに移し、全体に塩を振る

8 網などに移し、全体に塩を振る

Vol.2 ミラノ風カツレツ

「おいしくヘルシーな揚げ物は、油選びと保存の仕方も重要」

画像: ミラノ風カツレツ。「最近、肉に塩をしないで調理し、出来上がってから塩などの調味料やスパイスを振って食べるようになりました。そのほうが塩分量が少なくてすみ、塩が効いている部分とそうでない部分のコントラストがおいしいんです」

ミラノ風カツレツ。「最近、肉に塩をしないで調理し、出来上がってから塩などの調味料やスパイスを振って食べるようになりました。そのほうが塩分量が少なくてすみ、塩が効いている部分とそうでない部分のコントラストがおいしいんです」

 第2回は「揚げ物・第2弾」として、ミラノ風カツレツの作り方を習う。本来、ミラノ風と名付けられたカツレツは仔牛肉で作るが、豚肉でおいしくできる。
「日本で仔牛肉はほぼ手に入りませんから、私は豚肉で作ります。仔牛肉に食感が似ているのはヒレ肉ですが、揚げ上がりのパサつき感が気になるので、肩ロース肉を選んでいます」と有元さん。
 パン粉は市販の生パン粉をフードプロセッサーで挽いてさらに細かくする。細かければパン粉が吸う油の量は少ないので、よりヘルシーに。肉にはあらかじめ塩をせず調理し、揚げたてにおいしい塩を振ってから、たっぷりのミニトマトとパセリを添える。おすすめの塩は、フランス産ゲランドの「フルール・ド・セル」。同様に鶏肉でも作れる。サクサクの衣とジューシーな肉、ソース代わりのトマトの甘み&酸味のコンビネーション。よく冷えた白ワインが合う。

 おいしくて体に優しい揚げ物は、油選びがまず大切。揚げ油は生産国と原材料が明記されているものを選ぶとよい。有元さんはイタリア産のオリーブオイル、日本の太白ごま油を常備している。
 有元さんは、揚げ油の使いまわしは3回まで、と言う。最初は野菜の素揚げ、次にかき揚げなどの衣をつけた野菜類やドーナッツなどの甘いお菓子。最後に肉や魚を揚げておしまいにするという。今回は肉を揚げたので、油はこれにて終了。

 ちなみに野菜の素揚げやかき揚げをした後の油は、速やかにキッチンペーパーを2枚重ねてざるにのせて漉し、保存瓶などに入れて冷蔵庫で保管する。家庭の揚げものではそれほど多くの油が残るわけではないので、保存に大きなオイルポットは必要ない。有元さんは手許にある瓶などを利用している。

<材料(2人分)>
豚肩ロース肉 約 150g を2枚
にんにく 2片
小麦粉、溶き卵、生パン粉 各適量
揚げ油 適量
おいしい塩 適量
ミニトマト 1パック
イタリアンパセリ 適量
レモン汁 1/2 個分

<作り方>

画像: 1 豚肉に軽くつぶしたにんにくをのせる。

1 豚肉に軽くつぶしたにんにくをのせる。

画像: 2 1を肉叩きでにんにくと一緒に肉を薄くなるまで叩きのばす。肉叩きがなければ、すりこぎや空き瓶を利用しても。

2 1を肉叩きでにんにくと一緒に肉を薄くなるまで叩きのばす。肉叩きがなければ、すりこぎや空き瓶を利用しても。

画像: 3 バットなどに、溶き卵、小麦粉、パン粉を用意し2の肉に順につけていく。小麦粉は粉ふりボトルでふりかけると、粉の無駄が出ない。生パン粉はフードプロセッサーにかけて細かくする。

3 バットなどに、溶き卵、小麦粉、パン粉を用意し2の肉に順につけていく。小麦粉は粉ふりボトルでふりかけると、粉の無駄が出ない。生パン粉はフードプロセッサーにかけて細かくする。

画像: 4 3のパン粉は手でぎゅっと押しつけるようにたっぷりつける。

4 3のパン粉は手でぎゅっと押しつけるようにたっぷりつける。

画像: 5 揚げ油(今回はオリーブオイルを使用)を中火(170℃)に熱し、4の肉を入れる。最初は油に細かい泡がたくさん出てくる。

5 揚げ油(今回はオリーブオイルを使用)を中火(170℃)に熱し、4の肉を入れる。最初は油に細かい泡がたくさん出てくる。

画像: 6 こんがりしてきて、トングなどで触るとコンコンという音がしたら揚がった証拠。揚がったら、肉を網などに移す。器に盛り、塩を振る。ミニトマトを半分に切ってのせ、粗みじんに切ったイタリアンパセリを振り、レモン汁をかける。

6 こんがりしてきて、トングなどで触るとコンコンという音がしたら揚がった証拠。揚がったら、肉を網などに移す。器に盛り、塩を振る。ミニトマトを半分に切ってのせ、粗みじんに切ったイタリアンパセリを振り、レモン汁をかける。

Vol.3 春巻き

「常温から徐々に油の温度を上げて、カリッサクッの食感に」

画像: ミニサイズの春巻きの皮を使って、小さめに作るのがおすすめ。普通サイズの皮なら、半分に切って使う

ミニサイズの春巻きの皮を使って、小さめに作るのがおすすめ。普通サイズの皮なら、半分に切って使う

 第3回は、常温の油に入れて揚げていくカリカリ、サクサクの春巻き。少なめの油でじっくり揚げていく方法をご紹介する。
「ゆっくり揚げれば、時間をかけた分、水分が抜けていくので、カリッとした仕上がりになります。低めの温度で揚げますから焦げませんし、具材を春巻きの皮で包んであるので、油もはねません。油が多すぎると、春巻きが油の中でぐるぐる回ってしまいます。そのため、油をひたひたよりも少なめにします」。

 鍋に敷き詰めるように春巻きを入れても大丈夫。しばらくは触らず、泡が小さくなってしゅわしゅわという音になったら、裏返して同様に揚げる。全体においしそうな揚げ色になったら出来上がり。何回かに分けて揚げる場合は、一旦火を消して、温度を下げてから同様に揚げる。

 チキンや肉だんごなどを揚げるときも同じようにすれば、表面がカリカリに。熱々がおいしいので、すぐ召し上がれ!

<材料(作りやすい分量)>
春巻きの皮(ミニ) 1袋(10枚)
小麦粉 適量
玉ねぎ(小) 1個
桜えび 40g
太白ごま油

<作り方>

画像: 1 玉ねぎは皮をむき、半分に切り、薄切りにする。小麦粉と水を同量ずつ合わせ、糊を作る。バットに玉ねぎ、桜えびをそれぞれ用意し、春巻きの皮を1枚ずつはがしておく

1 玉ねぎは皮をむき、半分に切り、薄切りにする。小麦粉と水を同量ずつ合わせ、糊を作る。バットに玉ねぎ、桜えびをそれぞれ用意し、春巻きの皮を1枚ずつはがしておく

画像: 2 まな板の上に春巻きの皮を写真のように置き、真ん中より手前に玉ねぎと桜えびを乗せる。奥の角に糊を置く

2 まな板の上に春巻きの皮を写真のように置き、真ん中より手前に玉ねぎと桜えびを乗せる。奥の角に糊を置く

画像: 3 手前から皮をかぶせ、空気を抜くようにきつく巻いていく。途中で左右の皮を内側に折りたたんでから巻き、最後にのりでしっかり留める

3 手前から皮をかぶせ、空気を抜くようにきつく巻いていく。途中で左右の皮を内側に折りたたんでから巻き、最後にのりでしっかり留める

画像: 4 春巻きを鍋に詰めて入れ、春巻きの背中が覗くくらいの量の油を鍋に入れ、中火にかける

4 春巻きを鍋に詰めて入れ、春巻きの背中が覗くくらいの量の油を鍋に入れ、中火にかける

画像: 5 ゆっくり揚げ、両面がきつね色になったら油から引き上げる

5 ゆっくり揚げ、両面がきつね色になったら油から引き上げる

画像: 6 網の上にのせて油を切り、熱々のうちに塩を振り、器に盛る

6 網の上にのせて油を切り、熱々のうちに塩を振り、器に盛る

Vol.4 ステーキ

「肉は塊肉を買ってたっぷり食べる。ステーキの厚さは譲れません」

画像: 肉には味付けせず、調味料と薬味をつけながらいただくのが有元流

肉には味付けせず、調味料と薬味をつけながらいただくのが有元流

 「自他ともに認める野菜好きですが、たまにたっぷり肉を食べたくなります。そんなとき、肉は必ず塊で買います。時々ですから、ちょっと贅沢してよい肉を選ぶんです。そして調理はシンプルに」と有元さん。いちばん好きなのは、2cmくらいに厚く切った牛肉を調味せず、さっと焼いただけのステーキ。塩や醤油、薬味類を用意して、各自が好きな味で。「お店で切ってもらうより、塊肉を買って自分で切るほうがなぜかおいしいのよ」。

 ステーキなら、火力は「薪、炭、ガス、電気」の順においしく焼き上がるのだとか。家庭で薪や炭は難しいが、ぜひ、フライパンを使ってガス火で焼いてみよう。おいしく仕上げたいなら、フライパンは鉄製で。高温に熱したフライパンに肉を入れ、たんぱく質をしっかり固めておいしい肉汁を逃さないようにするのが必須。それには鉄製が最適。

 肉の部位の特徴を知って選ぶのも、料理上手への近道だ。おおまかに、脂肪が少なくてやわらかいのがヒレやもも。有元さんは、もも肉の中で比較的やわらかなランプが特におすすめと言う。また、煮込みには肩ロースやブリスケをよく使うのだとか。適度な脂肪があってキメが細かく食べやすいロース肉の中でも旨みのある肩ロースや、肉質は硬めで旨みのある胸の部分のブリスケは煮込みにぴったり。

 ステーキを食べたくなったら、どのような塊肉を買い、使い切るかを教えてもらった。選ぶのは、ステーキによく合うランプや少し脂が欲しければイチボを塊で800〜1kg。これを厚さ2㎝に人数分切り分けてステーキに。残ったものはタリアータにしたり、醤油に漬けておいて次の日にさっと焼いて丼にしたり。タリアータは、イタリア風の牛たたきのこと。薄切りにして、好みの味で。

<材料(1人分)>
牛ランプ肉 厚さ2㎝ 1枚
きゅうり 1本
セロリ 適量
薬味と調味料(大根おろし、わさび、アリッサ*、すだち、七味唐辛子、醤油、塩) 各適量
オリーブオイル 適量
*モロッコのスパイシーな調味料

<作り方>

画像: 1 肉を約2㎝の厚さに切る。きゅうりは皮をむき、種をスプーンなどでこそげ取り、縦1/4のスティック状に切る。セロリは筋を取り、きゅうりと同様に切る

1 肉を約2㎝の厚さに切る。きゅうりは皮をむき、種をスプーンなどでこそげ取り、縦1/4のスティック状に切る。セロリは筋を取り、きゅうりと同様に切る

画像: 2 フライパンを熱してオリーブオイルを入れ、弱めの中火にし、ゆっくり焦げ目がつくまで肉を焼く

2 フライパンを熱してオリーブオイルを入れ、弱めの中火にし、ゆっくり焦げ目がつくまで肉を焼く

画像: 3 裏返して同様に焼き、指先で触ってみて、たんぱく質がしっかり固まった感じであればOK。ぶよっとまだやわらかければ、生っぽいのでさらに焼く。器に1の野菜と共に盛り、調味料と薬味を添える

3 裏返して同様に焼き、指先で触ってみて、たんぱく質がしっかり固まった感じであればOK。ぶよっとまだやわらかければ、生っぽいのでさらに焼く。器に1の野菜と共に盛り、調味料と薬味を添える

残った塊肉でタリアータ

<材料>
牛ランプ肉 800〜1kg
粗塩、胡椒 各適量
塩漬けケイパー、ローズマリーの葉先、オリーブオイル、バルサミコ 各適量

<作り方>

画像: 1 塊肉に粗塩、胡椒をまぶす。フライパンを熱し、オリーブオイルを入れて弱火にし、肉全体にゆっくり焼き色をつけていく

1 塊肉に粗塩、胡椒をまぶす。フライパンを熱し、オリーブオイルを入れて弱火にし、肉全体にゆっくり焼き色をつけていく

画像: 2 途中で油が足りなくなったら、オリーブオイルを足す

2 途中で油が足りなくなったら、オリーブオイルを足す

画像: 3 全体に焼き色が付いたら、蓋をして弱火で15〜20分、蒸し焼きにする。金串を刺し、それをくちびるに当てて温かかったら全体に火が入っている。アルミホイルに包み、1時間ほどおく

3 全体に焼き色が付いたら、蓋をして弱火で15〜20分、蒸し焼きにする。金串を刺し、それをくちびるに当てて温かかったら全体に火が入っている。アルミホイルに包み、1時間ほどおく

画像: 4 薄切りにし、器に盛り、塩を振り、塩漬けケイパー、ローズマリーの葉先をのせ、オリーブオイル、バルサミコをかける。

4 薄切りにし、器に盛り、塩を振り、塩漬けケイパー、ローズマリーの葉先をのせ、オリーブオイル、バルサミコをかける。

画像: 5 焼き汁に醤油を加えて煮詰めたタレをかけていただくのもおいしい

焼き汁に醤油を加えて煮詰めたタレをかけていただくのもおいしい

Vol.5 豚のポットロースト

「作り方は超簡単、香りも見た目もご馳走感満載」

画像: 今回はロースト可能な土鍋を使用。まず、肉の表面をよく焼きつけてたんぱく質を固め、ハーブ類を入れて蒸し焼き。お客さまには、レストランのように鍋中をお見せしてから切り分けよう

今回はロースト可能な土鍋を使用。まず、肉の表面をよく焼きつけてたんぱく質を固め、ハーブ類を入れて蒸し焼き。お客さまには、レストランのように鍋中をお見せしてから切り分けよう

 肉は塊で買うのがいちばんと有元さん。「豚肉も、塊肉が便利です。せっかくですから、白金豚や黒豚など銘柄豚を選ぶと失敗がないですね。今回は塊肉をそのまま料理しますが、自分で切り分けて冷凍することもあります。自分で切れば、料理方法に合わせて切り方を変えられ、市販品にない切り方ができるのが魅力です」。例えば、繊維に沿って切れば歯応えを、繊維を断ち切ればやわらかさを楽しめる。6〜7㎜幅の細切りにして野菜炒めや、きのこと合わせてクリームパスタに。小さく角切りにすれば、粉をはたいて揚げものに。塊肉は量が多いので、有元さんは真空パックをして冷凍保存している。真空パック器がなくても、ラップで空気に触れさせないようにピシッとくるめば充分だとか。

 ポットローストは、鍋で肉を蒸し焼きにする料理。鍋ひとつで手軽にできて、見た目も豪華。「鍋は厚手のものを使ってくださいね。にんじんや玉ねぎ、じゃがいも、さつまいも、ごぼう、れんこんなど根菜系の野菜を加えてもいいでしょう」。
 今回はロースト可能な土鍋を使い、肉の表面を焼いてからオーブンへ。もちろん、ガス火などにかけておいてもOK。時間はかかるが、放っておけるので、その間に簡単な前菜とサラダを作ることもできる。

「ローリエとローズマリーを枝ごと入れれば、見た目も素敵でしょう?ハーブの香りが漂っているお部屋にお客さまをお迎えするのも、充分なおもてなしです」。

画像: 「作り方は超簡単、香りも見た目もご馳走感満載」

<材料(作りやすい分量)>
豚肩ロース肉(塊) 800g〜1kg
にんにく 3片
ローリエ 3〜4枝
ローズマリー 2〜3枝
粗塩 5本指で2つかみくらい
黒胡椒 適量
マスタード 適量

<作り方>

画像: 1 肉に包丁の先で切れ目を深め(3〜4cm)に数ヶ所入れる。にんにくの薄皮をむき、2〜4等分する

1 肉に包丁の先で切れ目を深め(3〜4cm)に数ヶ所入れる。にんにくの薄皮をむき、2〜4等分する

画像: 2 にんにくを1の切れ目にギュッと差し込む。火が入ると肉が縮んでにんにくが出てきてしまうので、深く差し込んだほうがよい

2 にんにくを1の切れ目にギュッと差し込む。火が入ると肉が縮んでにんにくが出てきてしまうので、深く差し込んだほうがよい

画像: 3 塩を手のひらでずりずりとマッサージするようにまぶす。黒胡椒も挽きかけ、同様にまぶす

3 塩を手のひらでずりずりとマッサージするようにまぶす。黒胡椒も挽きかけ、同様にまぶす

画像: 4 土鍋もしくは厚手の鍋を中火強で熱し、オリーブオイルを入れ、肉全体に焼き目をつける

4 土鍋もしくは厚手の鍋を中火強で熱し、オリーブオイルを入れ、肉全体に焼き目をつける

画像: 5 ローズマリーとローリエを加え、弱火で1時間半、もしくはオーブン(190〜200℃)で1時間半、蒸し焼きにする。枝ごとのローリエがなければ、葉だけでもOK

5 ローズマリーとローリエを加え、弱火で1時間半、もしくはオーブン(190〜200℃)で1時間半、蒸し焼きにする。枝ごとのローリエがなければ、葉だけでもOK

画像: 6 5の肉を厚めに切り分け、器に盛り、ハーブ類も飾り、マスタードを添える

6 5の肉を厚めに切り分け、器に盛り、ハーブ類も飾り、マスタードを添える

Vol.6 とろける醤肉ジャンロウ

画像: 牛肉は大ぶりに切って。お箸でいただけるほどやわらかく煮込んだ牛肉を堪能してほしい。ゆで卵を加えても。その場合は、最後に加えて少し煮たら完成

牛肉は大ぶりに切って。お箸でいただけるほどやわらかく煮込んだ牛肉を堪能してほしい。ゆで卵を加えても。その場合は、最後に加えて少し煮たら完成

「ひたすら煮込むだけ。とろける牛肉の贅沢な味わいをどうぞ」

「醤肉(ジャンロウ)」は牛肉の中国風醬油煮。長時間煮て、とろけるようになった肉はお箸でちぎれる。牛の脂をしっかり取り除き、酒と醤油だけで煮込むので、すっきりキレのよい仕上がりに。酒の肴によし、白いご飯のおかずにもよし。
「お肉の料理ではありますが、肉の旨みを吸った干し椎茸と昆布のおいしさは格別です。我が家では、干し椎茸と昆布の料理と呼んでいるほど」

 牛の「ブリスケ」という部位を使う。ブリスケとは、前足の付け根あたりの前側部分。よく動かすところなので、筋肉質で硬め。コラーゲンが多く、煮込み料理によく使われる。手に入らなければ、すね肉でもよい。「牛肉は煮ると縮みますから、半分に切ったりせず、大きいまま煮込みます。ことことひたすら煮込むだけなので時間はかかりますが、手はかかりません。せっかくならたくさん作って、残りは切り分けて牛丼に、ラーメンに。刻んで粒山椒と一緒にご飯に混ぜても」

 上手に作るポイントは、塊肉がちょうど入る深めの鍋を用意すること。クッキングシートと落とし蓋をして水分が蒸発しすぎないようにし、煮汁を対流させて味が全体に均一にしみこむようにする。また、クッキングシートについた余分な脂を取り除けば、すっきりした味わいになる。2日間かけてじっくり煮込むので、味がしっかりしみて、口の中でスッと溶けるような肉のやわらかさを味わえる。

画像: 「ひたすら煮込むだけ。とろける牛肉の贅沢な味わいをどうぞ」

<材料 作りやすい分量>
牛のブリスケ 800g〜1kg
昆布 25cm角1枚
干し椎茸(どんこ) 7〜8枚
生姜 大1個
酒 1カップ
醤油 1/2カップ〜1カップ

<作り方>

画像: 1 肉を深鍋に入れ、水をひたひたに入れる。強火にかけ、煮立ったらアクをすくい、火を弱める

1 肉を深鍋に入れ、水をひたひたに入れる。強火にかけ、煮立ったらアクをすくい、火を弱める

画像: 2 干し椎茸は石突きを取り、笠と軸に切り分ける。生姜は皮付きのまま2〜3等分する。1の鍋に昆布、干し椎茸、椎茸の戻し汁、生姜、酒を加え、1時間ほど煮る。常に肉が水分に浸っている状態をキープできるよう、水を適宜足しながら煮る

2 干し椎茸は石突きを取り、笠と軸に切り分ける。生姜は皮付きのまま2〜3等分する。1の鍋に昆布、干し椎茸、椎茸の戻し汁、生姜、酒を加え、1時間ほど煮る。常に肉が水分に浸っている状態をキープできるよう、水を適宜足しながら煮る

画像: 3 2に醤油1/4カップほど加える。煮汁の水位が肉よりも下がってきたら、クッキングシート、落とし蓋の順にのせ、さらに30分ほど煮る。出汁だけ少し飲んでみて、おいしいと感じるくらいの味加減にする。足りなければ醤油を足す。この状態のまま、次の日までおく(暖かい季節なら粗熱をとって冷蔵庫へ。真冬ならそのまま)

3 2に醤油1/4カップほど加える。煮汁の水位が肉よりも下がってきたら、クッキングシート、落とし蓋の順にのせ、さらに30分ほど煮る。出汁だけ少し飲んでみて、おいしいと感じるくらいの味加減にする。足りなければ醤油を足す。この状態のまま、次の日までおく(暖かい季節なら粗熱をとって冷蔵庫へ。真冬ならそのまま)

画像: 4 次の日、落とし蓋と脂がついているクッキングシートを取り、出汁に残っている白い脂の塊も丁寧に取り除く。

4 次の日、落とし蓋と脂がついているクッキングシートを取り、出汁に残っている白い脂の塊も丁寧に取り除く。

画像: 5 やや強火に4をかけ、沸いてきたら弱火にし、味見をしながら醤油を適宜足して1時間ほど煮る。火を止め、そのまま冷ます。食べる直前に温め直し、肉、椎茸、昆布を食べやすく切り、汁と共に器に盛る

5 やや強火に4をかけ、沸いてきたら弱火にし、味見をしながら醤油を適宜足して1時間ほど煮る。火を止め、そのまま冷ます。食べる直前に温め直し、肉、椎茸、昆布を食べやすく切り、汁と共に器に盛る

Vol.7 はすの、白いちらしずし

画像: Vol.7 はすの、白いちらしずし

具は季節の食材を2〜3種類。 メープルシロップを使ったすし酢で上品な味わいに。

「ちらしずしは大変、という声を聞きますが、私は季節の食材を使い、1年を通してよく作ります」。有元流ちらしずしは、さっとおいしく仕上げる知恵がたくさん。簡単&時短のポイントをご紹介しよう。

 ポイントその1。すし酢の甘みに、砂糖ではなくメープルシロップを使う。砂糖を溶かすために温める必要がなく、酢、メープルシロップ、塩を混ぜるだけで、すぐに味を決められる。また、メープルシロップのすっきりした甘みで、酢飯が上品な味に。
 ポイントその2。具をそれぞれ下ごしらえして用意するのは大変だが、有元さんは2〜3種類で充分と言う。今回は、れんこんとしらすだけ。冷蔵庫にちょうど細ねぎがあったので、直前に味のアクセントとして加えたが、なくてもよい。「たくさんの具材を揃えて作るちらしずしはご馳走ですね。でも、具は少なく、ささっと作るふだんのちらしもいいものですよ。これからの季節なら、新生姜、きゅうり、大葉、筍、木の芽、炒りごまなどから2〜3種類組み合わせるだけ。もちろん、これに鯛や鯵、穴子、卵などを加えれば、豪華になりますね」。 
 ポイントその3。具を混ぜ込む作業によって米の粘りが出てしまうので、酢飯と具を重ねるだけに。今回は、酢飯の上に具材を重ね、酢飯ごとしゃもじで上下をひっくり返し、さらに残りの具を重ねて完成させた。器に盛るのであれば、酢飯→具材→酢飯→具材と重ねるだけでもよい。
 ポイントその4。水を張ったボウルを必ず用意する。しゃもじや菜箸を水に濡らしながら使うと、ご飯がくっつかず美しく盛り付けできる。

 手軽で清々しく、初夏にぴったりなちらしずし、すぐにでもトライしてみてほしい。

画像: 具は季節の食材を2〜3種類。 メープルシロップを使ったすし酢で上品な味わいに。

<材料 作りやすい分量>
米 3合
すし酢
 千鳥酢 75cc
 メープルシロップ 大さじ2
 塩 小さじ2/3
酢ばす
 れんこん 適量
 すし酢 上記と同量
しらす 両手一杯分
千鳥酢 適量
細ねぎ 適量

<作り方>

画像: 1 ご飯をいつもより硬めに炊く。すし酢の材料を合わせる(酢ばす用も必要なので2倍量作る)。ご飯が炊き上がる直前に、飯台を水で湿らせ、余分な水分をふきんでふきとる。飯台とぬれぶきん、水を張ったボウルとしゃもじ、すし酢、うちわをあらかじめセットしておく。

1 ご飯をいつもより硬めに炊く。すし酢の材料を合わせる(酢ばす用も必要なので2倍量作る)。ご飯が炊き上がる直前に、飯台を水で湿らせ、余分な水分をふきんでふきとる。飯台とぬれぶきん、水を張ったボウルとしゃもじ、すし酢、うちわをあらかじめセットしておく。

画像: 2 炊き上がったご飯を一気に飯台にあける。熱々のご飯にすし酢を回しかけ、しゃもじでご飯を切るようにさっと混ぜる。うちわであおぎながら、ご飯をそっとひっくり返し、粗熱をとる。この作業には、水を張ったボウルが必須。しゃもじや菜箸を水に浸けながら作業すれば、ついたご飯が取れやすく、ひっつきにくい。

2 炊き上がったご飯を一気に飯台にあける。熱々のご飯にすし酢を回しかけ、しゃもじでご飯を切るようにさっと混ぜる。うちわであおぎながら、ご飯をそっとひっくり返し、粗熱をとる。この作業には、水を張ったボウルが必須。しゃもじや菜箸を水に浸けながら作業すれば、ついたご飯が取れやすく、ひっつきにくい。

画像: 3 すし飯ができたら、ぬれぶきんをかけておく。

3 すし飯ができたら、ぬれぶきんをかけておく。

画像: 4 米を炊いている間に酢ばすを作る。れんこんは皮をむき、スライサーで薄切りにする。たっぷりのお湯を沸かし、酢少々(材料外)を加えて、れんこんが湯の中で踊るくらいの強めの中火で透き通るまでゆでる。

4 米を炊いている間に酢ばすを作る。れんこんは皮をむき、スライサーで薄切りにする。たっぷりのお湯を沸かし、酢少々(材料外)を加えて、れんこんが湯の中で踊るくらいの強めの中火で透き通るまでゆでる。

画像: 5 4のれんこんをざるにあげ、すし酢に漬ける。

5 4のれんこんをざるにあげ、すし酢に漬ける。

画像: 6 しらすは千鳥酢に漬けておく。細ねぎは小口切りにする。4のすし飯が人肌ほどに冷めたら、具をのせていく。まず細ねぎを全体に散らし、しらすを全部のせる。

6 しらすは千鳥酢に漬けておく。細ねぎは小口切りにする。4のすし飯が人肌ほどに冷めたら、具をのせていく。まず細ねぎを全体に散らし、しらすを全部のせる。

画像: 7 5の酢ばすをキッチンペーパーに一旦おいて、水分を軽くとり、半量を全体にのせる。

7 5の酢ばすをキッチンペーパーに一旦おいて、水分を軽くとり、半量を全体にのせる。

画像: 8 しゃもじで全体をそっとひっくり返していく。このとき、混ぜないようにすること。

8 しゃもじで全体をそっとひっくり返していく。このとき、混ぜないようにすること。

画像: 9 残りのしらす、酢ばすをのせて完成。しゃもじでそっとすくって器に盛る。

9 残りのしらす、酢ばすをのせて完成。しゃもじでそっとすくって器に盛る。

Vol.8 フレンチトースト

画像: Vol.8 フレンチトースト

熱々のメープルシロップ&バターを仕上げにかけて、リッチな仕上がりに

 有元さんのフレンチトーストは華やかでリッチ、ボリューム感があるので、食事にもなるし、おやつにもなる。「うちのフレンチトーストは、厚く切ったフランスパンに季節のフルーツを添え、熱々のメープルシロップとバターをたっぷりかけます」。

 今回はボリュームを出すために、バケットではなくバタールを使用。パンは厚さ5cmに切るのがポイント。卵液をしっかり浸してオーブンで焼き上げる。浸す時間は冷蔵庫で半日、できればひと晩浸してほしい。固くなった古いパンであれば、ひと晩は浸したほうがよい。中までしっかり卵液が染み込むことで、ふわふわしっとり焼き上がる。「前の晩に用意すれば、朝は焼くだけです。パンに卵液をたっぷり染み込ませたいので、卵液は多めの量になっています」。

 フルーツがあれば華やかなひと皿に。今回はいちご、キウイ、バナナで。ベリー類やあんず、桃、ブドウでも。そして、熱々のメープルシロップとバターが最高に美味しく仕上げてくれる。
「メープルシロップとバターは、たっぷり贅沢にかけてください。冷たいフルーツと熱々のシロップ&バターで冷温のコントラストも楽しめます。常日頃に食べるものではないので、いただくときはおいしいバターをふんだんに使いましょう」。

画像: 熱々のメープルシロップ&バターを仕上げにかけて、リッチな仕上がりに

<材料 4〜5人分>
バタール(厚さ5cm) 4~5切れ
卵 3個
牛乳 1と1/2カップ
オリーブオイル 適量
フルーツ(好みのもの) 適量
バター 100g
メープルシロップ 2/3カップ

<作り方>

画像: 1 パンを5cm厚さに切る。卵を溶き、牛乳と合わせた卵液に、パンを冷蔵庫で半日〜ひと晩浸す。オーブンを170℃に予熱する。フライパンを火にかけて温め、オリーブオイルを薄く敷き、パンを並べ、少し焦げ目がついたら、フライパンごとオーブンに入れて25〜30分焼く。卵液が余ったらパンにかけてしまう。オーブンに入れられないフライパンなら、フライパンで片面だけ焦げ目をつけたパンを耐熱容器に移し、同様に焼く。

1 パンを5cm厚さに切る。卵を溶き、牛乳と合わせた卵液に、パンを冷蔵庫で半日〜ひと晩浸す。オーブンを170℃に予熱する。フライパンを火にかけて温め、オリーブオイルを薄く敷き、パンを並べ、少し焦げ目がついたら、フライパンごとオーブンに入れて25〜30分焼く。卵液が余ったらパンにかけてしまう。オーブンに入れられないフライパンなら、フライパンで片面だけ焦げ目をつけたパンを耐熱容器に移し、同様に焼く。

画像: 2 いちご、キウイは食べやすく切っておく。バナナは色が変わるので、盛り付ける直前に切る。どれも冷蔵庫で冷やしておく。

2 いちご、キウイは食べやすく切っておく。バナナは色が変わるので、盛り付ける直前に切る。どれも冷蔵庫で冷やしておく。

画像: 3 焼き上がりに合わせて、バターとメープルシロップを小鍋に入れて中火にかけ、バターが溶けて沸いてきたら火を止める。

3 焼き上がりに合わせて、バターとメープルシロップを小鍋に入れて中火にかけ、バターが溶けて沸いてきたら火を止める。

画像: 4 器に1のパンと2のフルーツを盛り合わせ、3のバターシロップをたっぷりかける。器はやや深めのものがおすすめ。

4 器に1のパンと2のフルーツを盛り合わせ、3のバターシロップをたっぷりかける。器はやや深めのものがおすすめ。

Vol.9 グリーンサラダ

画像: 全ての材料を和えた後、ボウルの底にオイルと酢が残っていないのが、ベストな状態

全ての材料を和えた後、ボウルの底にオイルと酢が残っていないのが、ベストな状態

3つのポイントを押さえて、シャキッとみずみずしいグリーンサラダに!

 葉野菜をドレッシングで和えるだけのグリーンサラダ。野菜のシャキッした口当たり、ドレッシングを隅々まで均等にまとっていることが美味しいサラダの条件だろう。
 べちゃっとなってしまって、という声も多く聞くが、「コツさえ覚えれば簡単です。ひとつひとつの工程を丁寧にこなすことも大切ですね」。

 葉野菜はレタス、サニーレタス、フリルレタス、ロメインレタス、エンダイブなどのレタス類を数種類合わせると、さまざまな味わいと食感を楽しめる。
「レタスよりサニーレタスやエンダイブなど、しっかりした食感のものが私は好みです。これにトレヴィスやクレソン、ルッコラ、からし菜など、苦味のあるものをプラスすれば、葉野菜だけでも飽きずにたくさん食べられます」。

 美味しく仕上げるコツは3点。「葉野菜をピンとさせる」「水気をしっかり切る」「水分を出さないように油と酢、塩で和える」。
「葉野菜を水に浸けた後、冷蔵庫に入れておくとシャキッと元気になります」。

 ドレッシングを前もって作っておく方法もあるが、有元さんはオイル→酢→塩の順に加え、和えていく。「まず油で野菜をコーティングすれば、酢を加えてもべちゃっとなりません。最初に塩を振ってしまうと水分が出てきてしまいますから、塩は最後に」。 
 シンプルな料理だからこそ、調味料は納得のいくものを使えば、美味しさへの近道にもなる。有元さんは、塩はフランス産ゲランドのフルール・ド・セルを使用。「塩粒をところどころに感じるので、塩の量は少なくてすみます」。
 今回はオリーブオイル+白ワインビネガーで作ったが、太白ごま油&千鳥酢の組み合わせもおすすめ。「オリーブオイルと白ワインビネガーの場合、3:1の割合を目安に作ります。太白ごま油と千鳥酢の場合は、酢が少し多めでもいいでしょう。酢に少し甘みを加えても美味しいです。甘みはメープルシロップや蜂蜜を好みで」。

画像: 3つのポイントを押さえて、シャキッとみずみずしいグリーンサラダに!

<材料>
葉野菜(レタス類、トレヴィス、クレソンなど) 適量
オリーブオイル 適量
白ワインビネガー 適量
黒コショウ 適量
塩 適量

<作り方>

画像: 1 葉野菜は水にしばらく浸けてから、ざっと洗い、ざるを重ねたボウルに入れて蓋(ラップでも)をして冷蔵庫に数10分〜ひと晩入れておく。食べる直前にサラダスピナーでよく水を切り、大きめのボウルにひと口大にちぎって入れ、オリーブオイルを回しかける。

1 葉野菜は水にしばらく浸けてから、ざっと洗い、ざるを重ねたボウルに入れて蓋(ラップでも)をして冷蔵庫に数10分〜ひと晩入れておく。食べる直前にサラダスピナーでよく水を切り、大きめのボウルにひと口大にちぎって入れ、オリーブオイルを回しかける。

画像: 2 サーバーなどで底からふんわり持ち上げるようにしっかり和える。全体にオイルをまとわせるため、足りないようなら、オイルをプラスしてさらに和える。

2 サーバーなどで底からふんわり持ち上げるようにしっかり和える。全体にオイルをまとわせるため、足りないようなら、オイルをプラスしてさらに和える。

画像: 3 黒胡椒を挽きかけ、ざっと混ぜ、白ワインビネガーを回しかけて、さらに和える。

3 黒胡椒を挽きかけ、ざっと混ぜ、白ワインビネガーを回しかけて、さらに和える。

画像: 4 最後に塩を振り、さらに混ぜて出来上がり。写真のステンレス製のボウル(平鉢)とサーバー(サラダハンド)は、有元さんのオリジナルキッチンブランド「YOKO ARIMOTO PRODUCTS」のもの。

4 最後に塩を振り、さらに混ぜて出来上がり。写真のステンレス製のボウル(平鉢)とサーバー(サラダハンド)は、有元さんのオリジナルキッチンブランド「YOKO ARIMOTO PRODUCTS」のもの。

Vol.10 豚の生姜焼き

画像: メープルシロップを隠し味に。豚肉とメープルシロップの相性の良さは格別!

メープルシロップを隠し味に。豚肉とメープルシロップの相性の良さは格別!

驚くほど簡単に、香ばしくやわらかな生姜焼きが完成!

 大人気のおかず、豚肉の生姜焼き。巷には十人十色の自慢のレシピがあるようだが、有元さんの作り方は驚くほどシンプル。たれに肉を漬け込んだり、事前に調味料を合わせたりする手間なしに、肉が香ばしくやわらかく仕上がる。
「薄切り肉よりも厚めの肉を選びます。脂がバランスよく入っている、やわらかくて歯切れのよい肩ロース、もしくはロースがよいでしょう。生姜焼き用として売られているものでいいですよ」。

 肉の片面だけに片栗粉を振り、その面を内側にして半分に折るのがポイント。片栗粉が付いていない外側をこんがり焼くことで、カリッとした食感と香ばしさが生まれる。また、半分に折ることで片栗粉がはがれず、溶け出した片栗粉でとろみがついて、最後に入れる調味料がしっかり馴染む。

 こんがり焼いたら、おろし生姜をたっぷりのせ、調味料を入れて肉にからませる。「おろし生姜はお好みですが、私はたっぷりのせます。ときには、おろしにんにくもプラスして」。甘味と醤油は好みで増減するとよい。「少し甘みのあるほうが美味しいので、メープルシロップを隠し味に使っています。砂糖を使う場合は、甘みが強いのでメープルシロップの1/3〜半量に減らしましょう」

 肉を焼く場合、かたくなってしまうからと、どうしても焦って調理しがちだが、有元レシピは慌てずゆっくり。「まず肉に火を入れてしまえば、一旦火を止めてしまっていいんです。余分な脂を取り除き、おろし生姜をのせて酒を入れたら、再度火にかけて一気に仕上げます」。焦らずゆったり料理できることも、美味しく仕上げるコツかもしれない。

 

画像: 驚くほど簡単に、香ばしくやわらかな生姜焼きが完成!

<材料>
豚肉(生姜焼き用) 200g
おろし生姜 大1片分
片栗粉 適量
酒 大さじ2〜3
メープルシロップ 大さじ2〜3
醤油 大さじ2強
太白ごま油 適量
キャベツのせん切り 適量

<作り方>

画像: 1 豚肉を広げ、片面に片栗粉を茶漉しなどで振り、片栗粉を振った面を内側にして半分に折る。

1 豚肉を広げ、片面に片栗粉を茶漉しなどで振り、片栗粉を振った面を内側にして半分に折る。

画像: 2 フライパンを熱し、太白ごま油をたっぷり入れる。1を折ったまま入れ、両面をこんがりするまで、強めの中火でしっかり焼く。いったん火を止め、余分な脂を少しだけ残し、キッチンペーパーに吸い取る。

2 フライパンを熱し、太白ごま油をたっぷり入れる。1を折ったまま入れ、両面をこんがりするまで、強めの中火でしっかり焼く。いったん火を止め、余分な脂を少しだけ残し、キッチンペーパーに吸い取る。

画像: 3 肉の上におろし生姜をのせる。

3 肉の上におろし生姜をのせる。

画像: 4 酒を加え、再び中火にかける。アルコール分が飛んだら、メープルシロップ、醤油を加え、ジュッと煮立たせる。

4 酒を加え、再び中火にかける。アルコール分が飛んだら、メープルシロップ、醤油を加え、ジュッと煮立たせる。

画像: 5 肉をひっくり返し、生姜と調味料を肉に馴染ませて火を止める。器にせん切りキャベツと共に盛る。

5 肉をひっくり返し、生姜と調味料を肉に馴染ませて火を止める。器にせん切りキャベツと共に盛る。

Vol.11 ほろ苦野菜サラダとパスタ

画像: 季節の野菜サラダと、ゆでたてのパスタ・アリオ・オーリオ・ペペロンチーネを一皿に。 ランチにもおすすめ

季節の野菜サラダと、ゆでたてのパスタ・アリオ・オーリオ・ペペロンチーネを一皿に。
ランチにもおすすめ

パスタと楽しむ、ほろ苦野菜サラダ

「サラダをパスタに添えてひと皿で食べるのが好きです」。Vol.9でご紹介した、おいしいサラダの作り方
をマスターしたら、この食べ方をぜひ、楽しんでみてほしい。「アリオ・オーリオ・ペペロンチーネのようなシンプルなパスタだけのときでも、野菜も少しは食べたいですね。パスタとサラダをひと皿にしてみたら、別々のお皿に盛っていただくのとは違い、サラダのシャキシャキした爽やかな口当たりとパスタとの一体感が楽しくて、飽きずに食べ進められます」。

 添える野菜は、ほろ苦系が合う。今回はサラダからし菜とマスタードリーフの2種類を使ったが、トレヴィス、水菜、サニーレタス、クレソン、エンダイブ、ルッコラ、わさび菜などを2〜3種類合わせても。

 ほろ苦野菜に合うよう、ビネガーにひと工夫をするのがポイント。白ワインビネガーと千鳥酢を同量で合わせ、メープルシロップを少々。白ワインビネガーのキリリとした酸味に、千鳥酢のマイルドさが加わり、野菜の苦味が穏やかに感じられる。「メープルシロップは甘みのためではなく、ミックスしたビネガーを優しい味わいにするために加えています」。このミックスビネガーは合わせたあとで保存もできる。

 サラダもパスタも作り方がシンプルで簡単。だからこそ、この料理でいちばん気をつけたいのは“段取り”だ。作り方を時系列でご紹介するので、最初はこの通りに作ってみて。「シャキシャキのサラダとゆでたてのパスタの美味しさをのせたひと皿を、楽しんでくださいね」。

画像: パスタと楽しむ、ほろ苦野菜サラダ

<材料 2人分>
⚫︎ほろ苦野菜サラダ
ほろ苦野菜(サラダからし菜、マスタードリーフ)  両手のひら2杯分
オリーブオイル 適量
ミックスしたビネガー* 適量
塩、胡椒 各適量
*白ワインビネガーと千鳥酢1:1の割合に、メープルシロップ少量を合わせる。

⚫︎パスタ・アリオ・オーリオ・ペペロンチーネ
スパゲッティ  160〜200g
にんにく(みじん切り) 1〜2片分
アンチョビ 4〜5本
赤唐辛子 1本
オリーブオイル 大さじ2〜3

<作り方>

画像: 1 グリーンサラダ(Vol.9)の作り方で、「ほろ苦野菜サラダ」を作り始める。野菜にオリーブオイルをあえたら作業をいったんストップし、暑い時期なら冷蔵庫に入れておく。 Vol.9「 グリーンサラダ」はこちらから

1 グリーンサラダ(Vol.9)の作り方で、「ほろ苦野菜サラダ」を作り始める。野菜にオリーブオイルをあえたら作業をいったんストップし、暑い時期なら冷蔵庫に入れておく。

Vol.9「 グリーンサラダ」はこちらから
画像: 2 スパゲッティをゆでるため、大きな鍋にお湯を沸かし始める。別の鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて中火にかけ、にんにくの香りが出たら、アンチョビはそのまま、唐辛子をちぎって種ごと入れる。ヘラで混ぜて全体が馴染んだら火を止める。

2 スパゲッティをゆでるため、大きな鍋にお湯を沸かし始める。別の鍋ににんにくとオリーブオイルを入れて中火にかけ、にんにくの香りが出たら、アンチョビはそのまま、唐辛子をちぎって種ごと入れる。ヘラで混ぜて全体が馴染んだら火を止める。

画像: 3 2のスパゲッティ用のお湯が沸騰したら、海水程度の濃度になるよう塩(水1ℓあたりに30g強の塩・分量外)を入れて、パスタをゆでる。

3 2のスパゲッティ用のお湯が沸騰したら、海水程度の濃度になるよう塩(水1ℓあたりに30g強の塩・分量外)を入れて、パスタをゆでる。

画像: 4 パスタをゆでている間に、1のサラダにミックスしたビネガーを加えて混ぜ、塩も加えて合わせる。詳しくはグリーンサラダ(Vol.9)を参照してください。

4 パスタをゆでている間に、1のサラダにミックスしたビネガーを加えて混ぜ、塩も加えて合わせる。詳しくはグリーンサラダ(Vol.9)を参照してください。

画像: 5 3のスパゲッティがゆで上がったら、2のソースの鍋を火にかける。パスタをトングなどでソースの鍋に移し、全体をよく和える。パスタについた水分でソースを乳化させるので、ゆで汁は加えなくてよい。写真のように、サラダのボウルや鍋を並べて作業すると効率がよい。

5 3のスパゲッティがゆで上がったら、2のソースの鍋を火にかける。パスタをトングなどでソースの鍋に移し、全体をよく和える。パスタについた水分でソースを乳化させるので、ゆで汁は加えなくてよい。写真のように、サラダのボウルや鍋を並べて作業すると効率がよい。

画像: 6 スパゲッティを器に盛り、4のサラダをたっぷりのせる。

6 スパゲッティを器に盛り、4のサラダをたっぷりのせる。

画像: 有元葉子(ありもとようこ) 料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。 公式サイトはこちら

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら

料理家 有元葉子の「おいしいものは身体にいいのよ」記事一覧へ

T JAPAN LINE@友だち募集中!
おすすめ情報をお届け

友だち追加
 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.