BY KIMIKO ANZAI
1743年の創業以来、シャンパーニュの世界を牽引してきたメゾンの代表挌が「モエ・エ・シャンドン」だ。卓越したブレンディングの技が生み出すメゾンのアイコン「モエ・エ・シャンドン モエ アンペリアル」は、1869年に登場以来、アンディ・ウォーホルなど世界中のセレブレーションたちに愛され、数多くの伝説を作ってきた。
そして、創業280年を迎え、新たな伝説となるべく誕生したのが「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」だ。ステンレスタンクで熟成させたフレッシュ感のある2013年ヴィンテージのワインに、個性豊かな7つの傑出したヴィンテージの熟成ワインをブレンドした特別なキュヴェ。“パーフェクト”な2012年、果実味の豊かな2010年、緊張感のある2008年、太陽を感じる2006年、爽やかな2000年に加え、二次発酵後に瓶内で澱とともに熟成させたエレガントな2004年を加えて、複雑で深みのある味わいに仕上げている。蜜入りのリンゴやバニラ、ヘーゼルナッツ、ブリオッシュなど美しい熟成を重ねたシャンパーニュならではのアロマが感じられ、テクスチャーも滑らかだ。
特筆すべきは、この「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」がメゾン初の“ノン・ドザージュ(糖分添加ゼロ)”であることだろう。ヴィンテージの選別、ブレンド、ワインの熟成度合いを見極めたうえでのさらなる熟成技術によって、ブドウの風味を純粋に表現できたことで、ドザージュ(加糖)いらずのブリュット・ナチュール(極辛口)となっている。いわば、“熟成ヴィンテージワインのみで造られた芸術的シャンパーニュ”なのだ。
最高醸造責任者 ブノワ・ゴエズ氏は語る。
「『コレクション アンペリアル クリエイション No.1』の礎となったのは、シャンパーニュ地方最大といえるメゾンのリザーヴワインライブラリーでした。潤沢なリザーヴワインが、私に多くのインスピレーションを与えてくれました。実は、このプロジェクトは私の人生をかけた集大成とも言えるものでした。メゾンの創業280年に向けて、24年前から少しずつ準備してきました。通常のヴィンテージワインを造る際にも、この『コレクション アンペリアル クリエイション No.1』のことを念頭におきつつ、試飲を重ねて熟成度合いを観察してきました。この新しいキュヴェは、『モエ・エ・シャンドン』のオートエノロジー(高度な醸造学)の技を結集したものです。同時に、メゾンの歴史を語るものでもあるのです」。
ゴエズ氏は、この「オートエノロジー」について、こんな話もしてくれた。
「この『コレクション アンペリアル クリエイション No.1』は、ドレスにたとえれば“オート・クチュール”です。そして、“ヴィンテージ”はオーダーメイド、『モエ アンペリアル』はダークブルーのスーツやブラックドレスのような着心地のよいプレタ・ポルテのようなもの。そう考えると、『コレクション アンペリアル クリエイション No.1』がどのようなキュヴェなのかがわかりやすいと思います。
また、今回、このアーティストのダニエル・アーシャムとのコラボレーションにより、アートピースと世界限定85本の限定デザインボトルが制作された。これはシャンパーニュ地方の白亜質土壌をモチーフにした彫刻レリーフがボトルを包んだもので、アバンギャルドでありながらもどこか清らかさを感じさせるアートな1本となっている。
「メゾンの新しい歴史として、2043年に迎えるメゾン創業300周年という節目に向けて、順次新しいシャンパーニュを発表し、『コレクション アンペリアル』のポートフォリオを充実させていく予定です。熟成したヴィンテージが奏でる魅力を、皆様に知っていただけたらうれしいです」とゴエズ氏。
「コレクション アンペリアル クリエイション No.1」をゆっくりテイスティングしていると、その深い味わいから、「ヴィンテージワインだからこそ」と思える美しいハーモニーが感じられる。この知性をも感じさせるようなスペシャルな1本は、大切な人と何かを祝う日に開けてみたい。
MHD モエ ヘネシー ディアジオ
TEL: 03-5217-9777
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