RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

有元家の定番。塩むすびに、フライパンで焼く気軽な卵焼き。これは甘めの関東風の味付け。糠漬けの古漬けに千切りの生姜を和えたものを添えている。深い緑の織部焼の器がお米のみずみずしさ、卵焼きの少し焦げ目のついた黄金色を引き立たせる
12月まで楽しめる新米シーズン。つやつやと輝く新米の甘みと香りは、炊き立てのご飯や塩むすびで存分に味わいたい。Vol.15に続き、炊き立てご飯のおいしい食べ方として、今回は塩むすびをご紹介する。
「新米の味を楽しみたいので、この季節はよく塩むすびを作ります。手と手でご飯をむすぶから、”おむすび”ですね。手のひらをよくぬらして塩をのせ、軽く5〜6回むすびます。“軽くむすぶ”とは、手とご飯の間に空気が入っているような感じです。その後、指先でころころと転がして形を整え、さらに3回ほど軽くむすびます」
軽やかにむすんだおむすびは、口のなかでふわっとほどけて、新米の旨みがいっぱいに広がり、塩がご飯の甘みをさらに引き立ててくれる。
「ぎゅっと握らないので米粒がつぶれず、ご飯のおいしさを存分に感じられます。形がいびつでも、大きさが揃ってなくてもいいんです。我が家は具材を入れず、塩むすび一辺倒です。塩むすびと甘い卵焼き、糠漬けを大皿に盛り合わせるのがうちの定番。具材は入れないので、鮭を焼いて添えることも。大皿に盛り合わせれば、おもてなしのときも華やかで喜ばれますよ」
<材料 1人分>
炊き立てのご飯 適量
塩 適量
<作り方>

1 ご飯を炊いて、おひつに移す(炊き立てのご飯をおひつに移すやり方は、Vol.15を参照)。ボウルに水を入れ、塩を用意する。水のボウルに手を浸してしっかりぬらし、手のひらに塩をたっぷりのせて広げる。

2 ご飯適量をしゃもじで手のひらにのせる。

3 ご飯がまとまるように手のひらで5〜6回軽くまとめる。形を整え、さらに3回ほど軽く握る。表面はしっかり、中はふんわり。

4 大きさは大小あってOK。三角や俵形に形をきちんと揃えなくていい。
<塩むすびに添える卵焼きの作り方>
■材料 2〜3人分
卵 3個
酒 大さじ2〜3
メープルシロップ 大さじ2~3
塩 ひとつまみ
太白ごま油 適量

1 ボウルに卵を割り入れて溶く。酒、メープルシロップ、塩を加えて混ぜ、卵液を作る。フライパンに太白ごま油を入れ、卵焼きを作る。

2 焼き上がったらまな板の上にのせ、粗熱が取れたら切り分けて、おむすびとぬか漬けの古漬けに生姜の千切りを和えたものと盛り合わせる。

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら
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