1960年代から50年以上にわたり、ヒット曲を世に送り出した筒美京平。日本人ならばきっと誰もが知る名曲の数々が、豪華な出演陣により、4月17・18日の二日間、東京国際フォーラムにて再現される

BY OGOTO WATANABE

「木綿のハンカチーフ」「セクシャル・バイオレットNo.1」「ギンギラギンにさりげなく」「なんてったってアイドル」etc,etc。タイトルを見るだけで、旋律や歌詞とともにその時代の情景が脳裏に浮かんでくる。60年代はグループ・サウンズ、’70~’80年代はアイドル黄金時代の歌謡曲から演歌まで、90年代以降はJ-POPにも――。筒美京平は各時代を彩るヒット・ナンバーを繰り出し続けた。シングル売上枚数は7,600枚を超え、国内作曲家、歴代1位。半世紀にわたり日本の歌謡界とポップスを牽引してきた不出世の作曲家だ。

 幼少よりピアノを愛し、クラシックのピアニストを志したこともあるという。少年時代から、進駐軍が持ち込むレコードやFEN(現・AFN米軍放送網)を通じて洋楽にも早くから馴染んでいた。青山学院大学の経営学部に進学すると、ジャズにも親しんだ。1963年、大学を卒業すると日本グラモフォン(現・ユニバーサルミュージック)に入社し洋楽ディレクターを担当。その傍ら、大学の先輩でもある作詞家・橋本淳のすすめで、すぎやまこういちに師事し作編曲を学び、67年に作曲家として独立した。

画像: 筒美京平(KYOHEI TSUTSUMI) 作曲家。1940年、東京生まれ。1966年「黄色いレモン」で作曲家デビュー。1969年「ブルー・ライト・ヨコハマ」(歌/いしだあゆみ)で日本レコード大賞作曲賞受賞。’71年「また逢う日まで」(歌/尾崎紀世彦)、’79年「魅せられて」(歌/ジュディ・オング)にて日本レコード大賞受賞。’80年代のアイドル歌謡も数多く手がける。昭和から平成にかけて約3,000曲を作り、ヒットチャートを席巻。2003年、紫綬褒章を受章。’20年10月死去 COURTESY OF NICHION,INC.

筒美京平(KYOHEI TSUTSUMI)
作曲家。1940年、東京生まれ。1966年「黄色いレモン」で作曲家デビュー。1969年「ブルー・ライト・ヨコハマ」(歌/いしだあゆみ)で日本レコード大賞作曲賞受賞。’71年「また逢う日まで」(歌/尾崎紀世彦)、’79年「魅せられて」(歌/ジュディ・オング)にて日本レコード大賞受賞。’80年代のアイドル歌謡も数多く手がける。昭和から平成にかけて約3,000曲を作り、ヒットチャートを席巻。2003年、紫綬褒章を受章。’20年10月死去
COURTESY OF NICHION,INC.

 筒美の作品は一度聞くと耳に心地よく残る。イントロからサビ、ラストに至るまですべての旋律がキャッチーだ。同時に歌詞もインパクトを持って立ちあがり、耳に飛び込んでくる。ひとつひとつの言葉が持つ、本来の響きや抑揚が損なわれることなくうねり、歌詞と旋律が見事に一体化しているのだ。詞の魅力が、メロディーとリズムによって増幅されていく。作詞家・松本 隆とタッグを多く組み、次々とヒットチャートを塗り替えていったが、ふたつの巨星の才能が反応しあうナンバーは、今も私たちが自然と口ずさめるものばかりだ。

 また、どんなジャンルの歌い手であろうと、その声質や特徴を的確に見抜き、多彩なアプローチで歌い手の持ち味に合わせるばかりか、その潜在的な魅力まで引き出したという。自らを“職業作曲家”と称し、めったに表に出ることはなかった。“職人”に徹し、時代の空気を鋭く察し、“売れる”作品をひたすらに創出した。昭和の歌謡界に前人未到の金字塔を打ち立て、平成には小沢健二やピチカートファイブなどのアーティストとのコラボレーションも手がけ、常に第一線で良質な音楽を世に届けてきた。心の琴線に触れる筒美の楽曲は、現在のシティポップの源流をなし、近未来の音楽シーンにも着実に受け継がれていくだろう。日曜の夜の定番、国民的アニメ「サザエさん」の主題歌は流れ続けて52年目。もはや筒美の創り出した旋律は、日本人の音感に刷り込まれているといっても過言ではない。

画像: 「筒美京平 TOP 10 HITS」¥2,200 2021年4月14日(水)発売 シングル総売上NO.1作曲家・筒美京平のウルトラヒットストーリー。コロムビア、ソニー、ビクター、ユニバーサルから同時発売 © SONY MUSIC DIRECT(JAPAN)INC., © NIPPON COLUMBIA, © VICTOR ENTERTAINMENT, © UNIVERSAL MUSIC

「筒美京平 TOP 10 HITS」¥2,200
2021年4月14日(水)発売
シングル総売上NO.1作曲家・筒美京平のウルトラヒットストーリー。コロムビア、ソニー、ビクター、ユニバーサルから同時発売
© SONY MUSIC DIRECT(JAPAN)INC., © NIPPON COLUMBIA, © VICTOR ENTERTAINMENT, © UNIVERSAL MUSIC

 このたび、筒美京平の手がけたナンバーが、日本のポップス・歌謡史をともに築いてきた歌手やミュージシャンにより再現される。4/17日(土)・18日(日)の二日間、東京国際フォーラムに筒美作品の数々が響き渡る。出演者のゴージャスな顔ぶれから、彼がいかに日本の音楽シーンに貢献したかが見てとれる。「芽ばえ」「赤い風船」「飛んでイスタンブール」「ロマンス」……。起承転結も鮮やかなメロディーが映し出すのは、人生の風景、誰かの物語だ。約3分間の映画のような一曲に、聞く者の記憶の中の情景も呼び起こされる。

 この一年余り、世界は大きく変わった。変動の続くなか、バーチャルではなく生の音楽にひととき身を浸し、時代の軌跡を体感したい。軽やかな筒美メドレーは時空を超えて人々を魅了し、ポジティブなエネルギーで満たすはずだ。

~ 筒美京平 オフィシャル・トリビュート・プロジェクト ~
ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート

日程:2021年4月17日(土)、2021年4月18日(日)
時間:開場 16:00/開演 17:00
会場:東京国際フォーラム ホールA
住所:東京都千代田区丸の内3-5-1
料金:¥15,000(税込)<全席指定>※ 未就学児入場不可
電話: 050(5533)0888(ディスクガレージ)<平日12:00~15:00>
公式サイト

<出演>
麻丘めぐみ / 浅田美代子 / 伊東ゆかり / 稲垣潤一(4/17日) / 岩崎宏美(4/18日) / 太田裕美 / 大友康平 / 大橋純子 / 郷ひろみ / ジュディ・オング / 庄野真代 / C-C-B / 中村雅俊 / 野口五郎 / NOKKO / 野宮真貴 / 早見優 / 平山三紀 / 藤井隆 / ブレッド&バター / 松崎しげる / 松本伊代 / 森口博子 / Little Black Dress / ROLLY ほか

<演奏>
『 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズ 』
船山基紀(音楽監督・指揮)/ 中西康晴(Keyboards)/ 安部潤(Keyboards)/ 土方隆行(Guitar)/ 増崎孝司(Guitar)/ 吉川忠英(A.Guitar)/ 高水健司(Bass)/ 山木秀夫(Drums)/ 斉藤ノヴ(Percussion)/ AMAZONS(Chorus):大滝裕子・斉藤久美・吉川智子 / ルイス・バジェ(Trumpet)/ 竹内悠馬(Trumpet)/ 鍵和田道男(Trombone)/ アンディ・ウルフ(Saxophone)/ 石亀協子(Strings)

<予定演奏曲目 / 全曲作曲:筒美京平>
青い地平線 / 赤い風船 / 甘い生活 / AMBITIOUS JAPAN! / 時代遅れの恋人たち / セクシー・バス・ストップ / セクシャルバイオレットNo.1 /センチメンタル・ジャーニー / 抱きしめてTONIGHT / たそがれマイ・ラブ / 東京ららばい / ドラマティック・レイン (4/17日) / 飛んでイスタンブール / 夏色のナンシー / にがい涙 / 人魚 / ブルー・ライト・ヨコハマ / また逢う日まで / 真夏の出来事 / 魅せられて / 芽ばえ / 木綿のハンカチーフ / よろしく哀愁 / リップスティック / ロマンス(4/18日) / Romanticが止まらない / Oneway Generation ほか

※ 50音順。都合により曲目が変更になる場合があります。

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