英虞湾の賢島にたたずむ「志摩観光ホテル」。豊かな自然の恵みを最上のかたちで味わい、静かな時間のなかでくつろぎ、心身を養生することが叶う歴史あるホテルだ。その魅力を、さまざまな角度から4回にわたりレポートする

BY YUMIKO TAKAYAMA, PHOTOGRAPHS BY KAN KANBAYASHI

「ザ クラシック」からつながる「ザ クラブ」へ足を運ぶと、昭和にタイムスリップしたかのような趣ある空間に、ホテルの歴史をたどる資料が展示されている。2016年のサミットの映像や各国の首相が囲んだ食卓、使用した食器などのほか、ここを定宿にしていた作家の山崎豊子が執筆時に用いた机なども置かれていて、興味深い。

画像: 「ザ クラブ」内にあるカフェ&ワインバー「Lien(リアン)」。ジャズライブの演奏も

「ザ クラブ」内にあるカフェ&ワインバー「Lien(リアン)」。ジャズライブの演奏も

 そして、ぜひおすすめしたいのがカフェ&ワインバー「Lien(リアン)」だ。大きな梁と吹き抜けの天井、よく磨きこまれた床など、開業当時の雰囲気を感じさせる落ち着いた空間はなんとも居心地がいい。地元の食材をふんだんに使ったパスタセットやアフタヌーンティー(要予約)のほか、夜はライトアップした庭園を眺めながら厳選されたワインやカクテル、軽めのディナーを堪能できる。日によっては上質なジャズライブも開催されるという。

画像: 黄昏どきの「ザ ベイスイート」。聞こえるのは、湾に寄せるゆるやかなさざなみと鳥の声のみという、静かなロケーション

黄昏どきの「ザ ベイスイート」。聞こえるのは、湾に寄せるゆるやかなさざなみと鳥の声のみという、静かなロケーション

「ザ クラシック」から歩いて5分ほどの「ザ ベイスイート」へは、専用車での送迎もある。美しい曲線を描くフォルムが特徴的な「ザ ベイスイート」は、50室オールスイートルーム、全室100㎡以上。英虞湾を見渡すパノラマの絶景を楽しめるとあって評判だ。

画像: 広めのベッドルーム。一段高いステージベッドには、あらゆる世代のゲストに快適な眠りを提供する気遣いが

広めのベッドルーム。一段高いステージベッドには、あらゆる世代のゲストに快適な眠りを提供する気遣いが

たとえば「G7伊勢志摩サミット」時に各国首相が滞在した「コーナーツインルーム」は2面の窓をすべて開放することができ、バスルームからも緑豊かな島々が点在する英虞湾を見渡せる。広くゆったりとした贅沢な客室で、森と海と空をすぐ近くに感じながら過ごす――。これぞ極上の休日だろう。

画像: ソファとテーブルのあるリビングルームでは、窓の外の景色を眺めながらくつろげる

ソファとテーブルのあるリビングルームでは、窓の外の景色を眺めながらくつろげる

画像: 森や海を眺めながら入浴できる夢のようなビューバス

森や海を眺めながら入浴できる夢のようなビューバス

 そしてもちろん、「志摩観光ホテル」は伊勢志摩の贅沢な食材を使った料理のすばらしさにも定評がある。朝食は和食と洋食から選べるのだが、「ザ ベイスイート」にある日本料理「浜木錦」にて“神饌(しんせん)”をイメージした朝食がいただける宿泊プランも用意されている。伊勢神宮では毎日、神様の食材「神饌」の献上が行われている。神に差し上げたお食事のお下がりをいただく「神人共食」によって、人々は神に守られていることを感じることができるのだという。こちらの“神饌”の朝食では、日々お供えされる品目である米や酒、魚や貝、海藻などの海産物、季節の野菜、果物を食材に用いた膳を楽しめる。

画像: 「神饌」をイメージした和食の朝食。左の膳の「さめたれ」(右下)は、この地域特有のサメの干物を炙ったもので、噛むほどに旨味が深まる味わい

「神饌」をイメージした和食の朝食。左の膳の「さめたれ」(右下)は、この地域特有のサメの干物を炙ったもので、噛むほどに旨味が深まる味わい

 伊勢海老の野菜浸し、蒸し鮑の酢の物、伊勢志摩産ひじきの信田煮、あおさ入りだし巻き卵、干し鯛など、地元でとれた贅沢な食材がところ狭しと並ぶ和の膳。出汁をきかせた上品な味つけで、ひと口ごとに体がゆっくり目覚めていくのがわかる。特に印象深いのが「海の七草粥」。あらめ、めかぶ、あおさなどの7種類の海藻に、あわびの粉末が入っており、かつおの風味豊かな出汁をかけていただくのだが、磯の香りが口いっぱいに広がり、ほっとするおいしさだ。

画像: 地元で採れる、あらめ、あかもく、めかぶ、ひじき、くろのり、あおさ、わかめ、あわびの粉末が入った「海の七草粥」。かつおの出汁餡をかけていただく

地元で採れる、あらめ、あかもく、めかぶ、ひじき、くろのり、あおさ、わかめ、あわびの粉末が入った「海の七草粥」。かつおの出汁餡をかけていただく

 目で、耳で、舌で、この地の恵みを存分に楽しむほかにも、サイクリングツアーやゴルフ、星空観察会や煎茶道体験など、ゲストのニーズに合わせて多彩なアクティビティが用意されている。朝の「リラクゼーションヨガ」もそのひとつだ。体をていねいにほぐしながら呼吸に意識を向け、心身を穏やかに目覚めさせていくことに重点を置いたレッスンで、初心者でも安心して参加できる。

画像: 「ザ クラシック」内のフィットネスジムで週3回 、AM7:00〜8:30に行っている宿泊ゲスト専用の「リラクゼーションヨガ」。1日が元気に過ごせそう ※ 事前予約制、参加無料

「ザ クラシック」内のフィットネスジムで週3回 、AM7:00〜8:30に行っている宿泊ゲスト専用の「リラクゼーションヨガ」。1日が元気に過ごせそう ※ 事前予約制、参加無料

 充実した一日のしめくくりには、日本の夕陽百選にも選ばれた英虞湾の夕焼けを眺めたい。ホテルが運航する「ラウンジクルーズ志摩」の『サンセットクルーズ』が人気だ。静かな湾に浮かぶ真珠を育てる筏を船上から眺め、さわやかな風に吹かれながら湾を進むと、時おり魚の群れが海面を跳ねる。青い空と海がゆっくりとオレンジ色へと変わっていくマジックアワーは、日々の疲れを忘れるほどに幻想的だ。

画像: 英虞湾がオレンジ色に染まる「サンセットクルーズ」<16:00〜18:00の間の1時間1艘チャーター>¥33,000(税込)※ 季節、天候や日没時間によって運行スケジュールの変更あり

英虞湾がオレンジ色に染まる「サンセットクルーズ」<16:00〜18:00の間の1時間1艘チャーター>¥33,000(税込)※ 季節、天候や日没時間によって運行スケジュールの変更あり

 ここには余計なもの、過剰なものはなく、あるのはおおらかな海と空、この地の恵みを最大限に活かした美食、そして穏やかで真心のこもった居心地のよいサービス。昭和、平成、そして令和――古きよき時代から未来まで、異なる時空が重なり合う不思議な感覚を肌で感じつつ、特別な時間を楽しんだ。

 次回は、このホテルの名を国内のみならず全世界に知らしめた料理を手がける総料理長、樋口宏江シェフのインタビューをお届けする。

志摩観光ホテル(SHIMA KANKO HOTEL)
住所:三重県志摩市阿児町神明731
電話: 0599(43)1211(ホテル代表)
客室数:164室(「ザ クラシック」114室、「ザ ベイスイート」50室)
料金:¥36,800~(1泊1室2名利用時の朝・夕食付1名分の料金。消費税・サービス料込)
宿泊予約センター:
フリーダイヤル:0120-333-001(平日9:00〜22:00、土・日・祝日9:00〜20:00)
公式サイト

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