毎春恒例のNY・メトロポリタン美術館のファッション展。その今年のテーマが物議を醸している。ファッションエディターのバネッサ・フリードマンが関係者に取材した

BY VANESSA FRIEDMAN, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

画像: (写真左)エル・グレコによる枢機卿(すうききょう)フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像(1600年頃) (写真右)クリストバル・バレンシアガによるイブニングコート(1954-‘55年秋冬) PHOTOGRAPHS: THE METROPOLITAN MUSEUM OF ART / DIGITAL COMPOSITE BY KATERINA JEBB

(写真左)エル・グレコによる枢機卿(すうききょう)フェルナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像(1600年頃)
(写真右)クリストバル・バレンシアガによるイブニングコート(1954-‘55年秋冬)
PHOTOGRAPHS: THE METROPOLITAN MUSEUM OF ART / DIGITAL COMPOSITE BY KATERINA JEBB
 

 NY・メトロポリタン美術館(メット)の服飾部門であるコスチューム・インスティテュートは、宗教論争に足を踏み入れようとしている。

 この5月10日からコスチューム・インスティテュートで開催されている、高い影響力を誇るファッション展の2018年度のタイトルは『Heavenly Bodies: Fashion and the Catholic Imagination.(天なる体―ファッション、そしてカトリックからのイマジネーション)』。会場は、5番街にあるメット内のアナ・ウィンター・コスチューム・センターと中世美術の展示スペース、そして別館のクロイスターズ美術館という3つのギャラリーにわたり、その総面積は5万8,600平方フィート(約5,444平方メートル)にも及ぶ。ヴァチカンのローマ教皇庁から貸与された、教会にまつわる衣服や装飾品が50ほど。そのほか、メットの宗教美術のコレクションの中のさまざまな作品、そしてカトリック教の図像や服装からインスピレーションを受けた150点あまりのファッションデザイナーのアイテムを展示する。

 展示品は、ヴェルサーチやドルチェ&ガッバーナのアイコンアイテムのようにわかりやすいものから、聖体拝領式のドレスにインスパイアされたシャネルのウェディングドレス、画家フランシスコ・デ・スルバランの描いた修道士のローブにインスパイアされたヴァレンティノのクチュールドレスなど少々予想外なものまで多岐にわたる。同部門の展覧会としては過去最大規模であり、同時にもっとも挑発的なものにもなるだろう。それは何も、タイトルのあきれた言葉遊びのせいだけではない(「ヘヴンリー・ボディーズ」は、天体を意味するとともに、聖なる身体という意味を含んでいる)。

「コスチューム・インスティテュートが開催するあらゆる展覧会は、議論を巻き起こす可能性をもっています」と語るのは、この企画を担当するキュレーターのアンドリュー・ボルトンだ。「本展は、おそらくほかのどんな展覧会よりもその可能性が高いでしょうね。しかしこの展覧会でフォーカスしたいのは、われわれがカトリックから発したイマジネーションの産物だと捉えているものの共通仮説であり、それがどんな種類の神学や社会学とも違って、いかにアーティストやファッションデザイナーたちを魅了し、どのように創作のアプローチとなってきたかということ。美は、ときに信仰をもつ者ともたない者とをつなぐ懸け橋となってきたのです」

 そんなわけで、バレンシアガのワンシームのウェディングドレスは、巨大な十字架が掲げられたクロイスターズ美術館内の礼拝堂に展示されている。シチリア島にあるモンレアーレ大聖堂のモザイク画からインスパイアされたドルチェ&ガッバーナの2013-‘14年秋冬シーズンのモザイク柄ウエアは、メットが所有するビザンチンのモザイク画と対比するように展示された。展示のポイントは、具体的な表現とその発想源とのあいだをつなぐことだ。

 

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