東南アジアの現代アートにフィーチャーした大規模な展覧会が開催。アートの視点で捉えた東南アジアのダイナミズムを体感したい

BY MASANOBU MATSUMOTO

 よく現代アートが“難しい”“分かりにくい”と言われるのは、美醜だけを問うものではないからだろう。コンテンポラリーが“同時性”と訳されるように、そこで重要なのは、社会や制度の中で生きるアーティストが何を考え、どう作品を発表したか、だ。その点、東南アジアの多くの国は、長い間、欧米の植民地支配下にあり、また独立後も独裁政治により、表現の抑圧や弾圧が続いた国もある。と同時に、急ピッチで経済成長を遂げているエリアもある。歴史的にも、地学的にも、経済的にも大きな特徴をもつ東南アジアに生きる美術家が作品に込めるメッセージは、比較的ストレートでわかりやすい。むしろ、現代アートが苦手な人こそ見るべき展覧会と言えるかもしれない。

画像: リー・ウェン(シンガポール) 《奇妙な果実》 2003年 Cプリント COURTESY OF IPRECIATION, SINGAPORE

リー・ウェン(シンガポール)
《奇妙な果実》 2003年 Cプリント
COURTESY OF IPRECIATION, SINGAPORE
 

画像: FX ハルソノ(インドネシア) 《声なき声》1993-94年 シルクスクリーン、キャンバス、木の椅子、スタンプ PHOTOGRAPH BY MAKOTO GONDOU

FX ハルソノ(インドネシア)
《声なき声》1993-94年 シルクスクリーン、キャンバス、木の椅子、スタンプ
PHOTOGRAPH BY MAKOTO GONDOU
 

 例えば、リー・ウェンの《奇妙な果実》。アーティスト本人が、黄色の絵の具で体を染めた「イエローマン」となって街中を練り歩くパフォーマンス作品のシリーズだ。シンガポール人である自分の肌の色を強調し、パブリックな場に身をさらけ出すことで、黄色人種としてのアイデンティティを際立たせて見せる。FX ハルソノの作品に描かれているのはインドネシアの指文字。それぞれのパネルの前には、アルファベットのスタンプが置いてあり、鑑賞者は片隅の置かれた紙に、それを順番に押していく。完成するのは「DEMOCRACY」の文字だ。これが鑑賞者の参加型の作品であること、そして、スタンプという契約的な作業を伴うことの意義は明快だ。

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