東南アジアの現代アートにフィーチャーした大規模な展覧会が開催。アートの視点で捉えた東南アジアのダイナミズムを体感したい

BY MASANOBU MATSUMOTO

画像: コウ・グワンハウ(シンガポール) 《シュ・ティエシェン――アーカイブから見る作家の100 年》 2014年 南洋理工大学CCAレジデンシー・スタジオ(シンガポール)の 印刷物、資料現物 PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO

コウ・グワンハウ(シンガポール)
《シュ・ティエシェン――アーカイブから見る作家の100 年》
2014年 南洋理工大学CCAレジデンシー・スタジオ(シンガポール)の 印刷物、資料現物
PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO
 

 シンガポールに住む知人アーティストは、かつてこう話していたことがあった。「数年前、シンガポールには大きな国立美術館ができたし、インドネシアでは早くからビエンナーレ(国際美術展)が開催されている。けれど現代美術をコレクションしている美術館や、自国の人が運営し、世界に顧客をもつアートギャラリーはまだ少ないし、美術の”制度”もまだ未熟。一党政治の国は、表現の自由はあるものの、自主規制してしまう作家も多い」。そうした事情を反映してか、本展の招待作家の中にも、海外の美術学校でアートを学んだ者や、自国とは別の場所に拠点を持つ者もいる。しかしその一方で、教育や啓蒙、発表や活動、環境作りを作家たち本人が組織化しマネジメントする、中小規模のアーティスト・コレクティブ(集団)も盛んなのも、東南アジアのアートシーンの特徴だ。

画像: ルアンルバ(インドネシア) 《ルルの学校》 2015年 印刷物、資料現物 PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO

ルアンルバ(インドネシア)
《ルルの学校》 2015年 印刷物、資料現物
PHOTOGRAPH BY MASANOBU MATSUMOTO
 

 本展では、主だったアーティスト・コレクティブのアーカイブ資料も作品としてプレゼンテーションされている。コウ・グワンハウの《シュ・ティエシェン――アーカイブから見る作家の100年》では、スマホ用のアプリケーションも開発。資料にデバイスをかざすと、より詳細な情報が得られる仕組みを作った。多くのアーティスト・コレクティブが短命で終わる中、長く続いているインドネシアのルアンルバは、アーカイブとともにコピー機も設置。気になる資料はコピーして持ち帰ることができる。

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