再生医療研究、皮膚形成テクノロジーなど「化粧品の枠を超えた」化粧品の時代がやってきた。美容ジャーナリスト齋藤 薫が俯瞰する、“効く化粧品”の劇的進化とは

BY KAORU SAITO, PHOTOGRAPH BY MICHINORI AOKI

画像1: 化粧品は
もう60代からの肌を見捨てない
BY 齋藤 薫<Vol.4>

 化粧品は本当に効くのか? 以前もこの連載で、同じテーマを取り上げている。そのときももちろん、化粧品はちゃんと効くのだという結論を出したはずだ。しかし、ほんの数年前のその効き目と、今このページで語る効き目は、もはや次元が違うと言ってもいい。

 すでにその存在はご存じのはずだが、予想を大きく超える空前の大ヒットとなったポーラの“シワ取りセラム”は今年1月1日のデビューだった。あえて“シワ取り”と言わせてもらうが、これは日本の薬事法が生まれて初の“シワを改善すると公に認められた製品”。しかもそれが、単なる手続き上の認証ではなく、これまでのエイジングケアとは次元が違う改善効果をもたらす、実のある認証だったことがコスメ界を改めて騒然とさせた。表情ジワを“傷”と勘違いして本当のシワにしてしまうという、皮膚自体がもつメカニズムを解明。それを阻止する成分“ニールワン”を発見し、美容医療に匹敵(ひってき)するようなシワ改善、必然的にたるみ改善効果もあることが、世界一厳しいといわれる日本の薬機法(旧・薬事法)を動かした。

 しかしこれが突然変異ではなく、時代の大きな流れを象徴するものであることは、この6月にデビューしたエリクシールのクリームもまたシワ改善で薬機法をクリアしたことで明らかになった。こちらは以前から知られているレチノールの仕事。つまり新成分の発見ではなく既存の成分による新処方でもこのような快挙が成し遂げられたことは、化粧品そのものの大きなレベルアップを意味している。

 そして、これら国が認めたシワ改善効果は、ひとつの目安として“美容医療のボトックスやヒアルロン酸注射に追随する仕上がり”を望めると考えていい。美容医療の施術はそれを数分で行うが、化粧品は奥からじっくり2カ月かけて行う、という違い。ただどちらも継続しなければいけないことを考えると、化粧品の継続効果のほうがはるかに経済的ともいえるうえに、化粧品の仕上がりは肌みずからがもたらす結果だから、やはりあくまでナチュラルだ。美容医療のような後ろめたさもない。いよいよ化粧品の逆襲が始まったと考えるべきなのだ。

 かくして化粧品の新領域のひとつが“美容医療とわたりあえる新効果”なら、注目すべき新領域の二つめは、“異業種からの参入ブランドが、コスメの領域を超える最先端コスメをデビューさせたこと”。正直、これからのコスメの進化はこうした異業種それぞれの専門分野における先端テクノロジーにかかっていると言ってもいいが、そういう意味での期待の星は、富士フイルムとロート製薬。くしくもこの2社は、再生医療でも今最先端の技術を持っており、これを駆使した製品を揃って今秋デビューさせたのだ。

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