BY MIYUKI NAGATA, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO
「オバジC シリーズ」が誕生したのは2001年のこと。誘導体の形ではなく、ダイレクトに肌に働く「ピュアビタミンC」を配合した美容液は、毛穴やくすみ、ハリなど幅広い効果で、多くのファンを獲得してきた。濃度別に「C5セラム」と「C10セラム」の2種類でデビューし、3年後の2004年に「C20セラム」を発売。それから15年の月日を経て、ついにピュアビタミンCを極限まで配合した「オバジC25セラム ネオ」が登場する。さまざまな技術的ハードルをクリアしながら、オバジがビタミンCの濃度を追求し続ける理由を、開発を手がけたロート製薬 スキンケア製品開発部部長の高橋京子さんに聞いた。
「ビタミンCはメラニンの合成を阻害したり、酸化ダメージを防いだり、コラーゲンの生成に欠かせなかったりと、肌に対してマルチな効果があります。そしてその効果は、濃度が高くなるほど発揮されることもわかっています。ならば高濃度を目指さない手はありません」と高橋さん。
しかし20%から25%への道のりは非常に厳しいものだった。「まず高濃度で溶かすのが課題でした。粉体のビタミンCを水やいろいろな溶媒で溶かすのですが、20%と同じ方法では25%は溶けません。温度を上げると溶ける量は増えますが、気温の低い地域で結晶化する可能性が出てくる。さまざまな溶媒、通常は化粧品に使わないような原料まで含めて検討しましたが、なかなかこの問題を突破することはできませんでした」
可能性が見えては消えていく日々。25%配合は不可能なのではと、あきらめムードが漂うことも一度や二度ではなかったという。しかしある日、転機が訪れる。「それまでは“いかに溶かすか”を検討してきましたが、そこから“いかに結晶化させないか”にポイントを絞ることにしたのです。結晶化は、同じ構造を持つ分子どうしがギュッと集まることで起こります。ここに少しだけ違う構造をもつものを加えれば、結晶化を抑制できるのではないかーー。そこから試行錯誤した結果、ビタミンCエチルにたどり着いたのです」
ビタミンCエチルはビタミンC誘導体の一種だ。“ピュアビタミンCを、ビタミンC誘導体を使って高濃度で安定配合する”というこの技術は、ビタミンC相互溶解技術として特許を取得した。ちなみにこのビタミンCエチル、25%にはカウントしていないという。「25%はあくまでピュアビタミンCの量。25という数字にこだわったのではなく、より高濃度を追求した結果です。今後も研究は続けていきますが……今は25%が限界です(笑)」
ピュアビタミンC25%配合への道筋が見えたあとの処方も、決して容易なものではなかった。「最初の試作品は、正直言ってかなりべたつきのあるものでした。そこから使用感を調整していったのですが、配合する成分の量が少しでも変わると、またビタミンCの結晶化が起こったり、ビタミンC以外の成分が溶けなくなったりと、バランスがとても難しい。安定性も変わってくるので、処方を変えては安定性を見て、という繰り返しが続きました」
かくして15年の年月をかけ、さまざまな困難を克服して「オバジC25セラム ネオ」は誕生した。不可能を可能にした、そのモチベーションは何だろう? 「オバジCは長く愛用してくださるお客さまが多く、うれしいお声が開発者である私たちのもとにも届きます。効果の追求はオバジブランドとして当然ですが、さらに進化することでお客さまの信頼と期待に応えたい。その思いがあったからこそ、続けられたのだと思います」
20%から25%へ、小さなようでとてつもなく大きな“5%の進化”。そこには、たとえ何年かかろうとも妥協することのない研究者たちの情熱があった。ロート製薬のコーポレート・アイデンティティは“NEVER SAY NEVER”。決してあきらめず、不可能を可能に変えていく。オバジC25セラム ネオは、そんな熱いスピリットが生んだ美容液なのである。
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