点灯していない時の佇まいも美しい“名作”と呼ばれるペンダントライトたち。近年は往年の名作もLEDに対応したモデルが登場し、選ぶ楽しさがますます広がっている。そこでLEDにも対応した名作ペンダントライトを厳選して紹介。新しい季節の始まりに、明かりをデザインして、住まいの景色を一新しよう

BY EMI ARITA

まるで光の彫刻。レ・クリントの「サイナスライン」

 1943年に創業し、今年で80周年を迎えるデンマーク王室御用達の照明ブランド、レ・クリント。柔らかな光を拡散する規則的な折りのあるランプシェードのデザインは、創業当時から受け継がれてきたもの。20世紀を代表するデンマークの建築家、P.V.イェンセン・クリントが日本の折り紙をヒントに、紙を規則的に折り上げて手づくりのランプシェードを生み出したことがそのデザインの原点であり、今なお変わらず、創業の地であるデンマークの工房で職人たちがひとつひとつ手折りで仕上げている。

 そんなレ・クリントの手がけるランプシェードの中でも異彩を放つのが「サイナスライン」だ。1971年にポール・クリスチャンセンが生み出した波打つような曲線と彫刻のようなフォルムは、それまで直線的なデザインが多かったブランドのデザインに革命をもたらし、今ではブランドのアイコン的存在になっている。一見すると、波や風などの自然物をモチーフにしているようにも見えるが、実は数学的な関数の描くサインカーブをモチーフとして開発されたデザインであり、その計算しつくされたシェードは、美しい光と影のコントラストを住まいにもたらしてくれる。

画像: 照明「サイナスライン(KP172A)」<Φ330mm×H310mm、全長1760mm(シェード含む)>¥63,800/レ・クリント  COURTESY OF LE KLINT

照明「サイナスライン(KP172A)」<Φ330mm×H310mm、全長1760mm(シェード含む)>¥63,800/レ・クリント

COURTESY OF LE KLINT

レ・クリント
TEL. 03-3543-3453
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アアルトのアイコン的ライト、アルテックの「ゴールデンベル」

 一枚の真鍮から作られ、「ゴールデンベル」の愛称でも親しまれているアルテックの「A330S ペンダント」。フィンランドの建築家アルヴァ・アアルトが1936年にヘルシンキにあるサヴォイレストランの内装の一部として生み出したもので、下に向かった開口部から光が放つことで眩しさを軽減し、さらにシェードに刻まれた穴から光が輪のように分散される機能的な構造は、デザイン性と機能性を兼ね備えた、アルヴァ・アアルトの哲学が体現された姿と言える。

 現在販売されている「A330S ペンダント ゴールデンベル サヴォイ」は誕生から80年の時を経て2017年に復刻されたもの。従来の「A330S ペンダント ゴールデンベル」同様に接合を施さない一つの真鍮を使用しつつ、あえて仕上げにクリア塗装をせず、真鍮そのままの魅力を活かしているのが特徴。無塗装の真鍮により、生産された直後から酸化が始まり、年月を重ねるごとに訪れる経年変化による味わいを愛でる楽しさも加わった。

画像: 照明「A330S ペンダント ゴールデンベル サヴォイ」<W170mm×D170mm×H20 cm、全長 1000mm(コード含む)>¥69,300/アルテック  COURTESY OF ARTEK

照明「A330S ペンダント ゴールデンベル サヴォイ」<W170mm×D170mm×H20 cm、全長 1000mm(コード含む)>¥69,300/アルテック

COURTESY OF ARTEK

アルテック
TEL. 0120-610-599
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シンプルを極めた現代の名作。フロスの「グローボール」

 1962年にイタリアを代表するデザイナー、カスティリオーニ兄弟を中心に設立され、世界的に活躍するデザイナーが手がけた数々の名作照明を送り出すモダン照明のトップブランド、フロス。最新の技術力を活かしながら、インテリアとしてのデザイン性を追求する数あるフロスのプロダクトの中でも、現代を代表する名作照明として愛されているのが、ロンドン生まれのデザイナー、ジャスパー・モリソンが手がけた「グローボール」だ。

 1998年に発表された「グローボール」は、吹きガラスを使用したシェードに、正円ではなく、少しつぶれた楕円形をした独特なフォルムが特徴。ランプを挿入するガラス開口部を極限まで小さくすることで、点灯するとガラスシェード全体が一点の影なく発光し、その姿はまるで光だけが宙に浮いているような美しい光景を描き出す。究極にシンプルな造形でありながら、光の美しさを最大限に引き出してくれる「グローボール」は、洋室だけでなく、和の空間にも似合う。

画像: 照明「GLO-BALL S2」<H360mm ×Φ450mm、全長2700mm >¥104,500/フロス  PHOTOGRAPH BY SANTI CALECA

照明「GLO-BALL S2」<H360mm ×Φ450mm、全長2700mm >¥104,500/フロス

PHOTOGRAPH BY SANTI CALECA

フロス ジャパン
TEL. 03-6421-0840
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グレアフリーを叶えたルイスポールセンの「PH 5」

 時代とともに新たな技術を取り入れながら、今なお進化をし続けているのが、ルイスポールセンの「PH5」。誕生したのは1958年。近代照明の父とも呼ばれ、数々の名作照明を生み出してきたポール・ヘニングセンが、光が直接目に入らず、どこから見ても眩しさを感じさせないために発案した画期的なペンダントライトなのだ。

 光の反射角度を操る「対数螺旋」というカーブに基づいた大小異なる3枚のシェードを重ねたデザインにより、眩しさを感じさせない100%グレアフリーを実現。大部分の光を下方に向けるとともに、下方と側面に光を放つことで器具自体も照らし出し、柔らかく温かな光を空間にもらたしてくれる。近年はLEDの登場により、新たな光の演出を楽しめる豊富なカラーリングも登場。造形美と機能美を携え、いつの時代も魅了し続けるペンダントライトの傑作。

画像: 照明「PH 5」<H360mm×Φ450mm、全長3000mm>¥155,100/ルイスポールセン COURTESY OF LOUIS POULSEN

照明「PH 5」<H360mm×Φ450mm、全長3000mm>¥155,100/ルイスポールセン 

COURTESY OF LOUIS POULSEN

ルイスポールセン ジャパン
TEL. 03-3586-5040
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ミッドセンチュリーのアイコン、&Traditionの「フラワーポット」

 ドーム型のアッパーシェードと、そこからぶら下がっているような丸みを帯びた下側のシェードが作るシルエットが特徴的な&Tradition(アンド・トラディション)の「フラワーポット」。1960年代〜70年代のデザイン界に多大な影響をもたらしたデンマークのデザイナー、ヴァーナー・パントンが1968年に生み出し、ミッドセンチュリーの代名詞として親しまれている名作照明のひとつ。

 「フラワーポット」は、1960年代後半、ベトナム反戦を訴えた「フラワーパワー運動(武器ではなく花を)」にちなんで名づけられ、時代的アイコンとなり世界中に広まったもの。光源が直接に入らず、眩しさを感じさせない構造に、独特の色彩で魅了するヴァーナー・パントンの作品らしく、黒や白のほか赤、青、黄など豊富なカラーラインナップが揃う。ベーシックなカラーにするもよし、インパクト大なビビッドカラーを選ぶもよし。インテリアに合わせて好みのスタイルで取り入れて。

画像: 照明「FlowerpotVP1」<W230mm×H180mm、全長1800mm>¥61,600/アンド・トラディション COURTESY OF &TRADITION

照明「FlowerpotVP1」<W230mm×H180mm、全長1800mm>¥61,600/アンド・トラディション

COURTESY OF &TRADITION


&Tradition(林物産)
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