BY ALEXANDER FURY, PHOTOGRAPHS BY THIBAULT MONTAMAT, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)
ブラウンは、この7年間続けてきたように、今回もパリでメンズ・コレクションを発表した。この秋は、ブランドの成功と影響力のもうひとつの成果として、51歳になるデザイナーはウィメンズ・コレクション(これは売上高のおよそ35%を占める)のショーもニューヨークからパリに移す予定だ。
なにしろパリの灯は時折グレーに見えることがあり、そう言う意味でもコレクションの背景としてふさわしい。メンズ・コレクションのショーが開催される2日前、8区の優雅なオッシュ大通りに尋ねたブランドのショールームも、まさにそう思わせる場所だった。あちこちのすりガラスの窓から注ぐ昼下がりの陽射しがフィルターをかけられたようにやわらいで、白を基調とした部屋がグレーがかって見える。そのためか、ところどころにあるカラフルなアイテムが、ここではまるで蛍光を放っているようだ。
アドヴィル(イブプロフェン系の市販薬)の箱、パン屋のエリック・カイザーの、キャンディーレッドのストライプが印象的な持ち帰り用コンテナ、金メッキされた小さなベビーシューズ—―。アドヴィルやパンの意味はわかる。食べることは必要だし、頭痛は職業上のリスクとも言える。だが、このベビーシューズは果たして……?