2018年春夏メンズ・コレクションで大きな話題をさらったトム・ブラウン。ショー開始直前の息詰まる48時間にTが密着した

BY ALEXANDER FURY, PHOTOGRAPHS BY THIBAULT MONTAMAT, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

 2018年春夏のコレクションで、ブラウンは男性に女装をさせるのではなく、ドレス、スカート、ヒールといった典型的なフェミニンなアイテムをメンズ向けに提案することに決めた。例の金メッキされたベビー用のショートブーツはガラスのショーケースに納められ、まるで聖遺物のように、ショー本番のランウェイで展示されることになる。これこそ、"男性と女性の流動性"の探究とも言うべき今回のコレクションの出発点だ。"男性と女性の流動性"なんて陳腐な言い回しかもしれないが、ブラウンがやろうとしていることを説明するのには適切な表現だろう。

「自分のコレクションには政治的なメッセージは特に含まれていないけれど、オープンマインドであることの大切さはアピールしたいな」と彼は言う。「それは本当に簡単なことなんだけど、人って驚くほど新しい考えを受け入れようとしないから。『いやだ、こんなの絶対に着ないし』ってね。でもそれってそんなにタイヘンなこと?」

画像: 本番前の準備 日曜日 午後4時15分 ブラウンが会場として選んだのは、パリの左岸に位置する名門美術学校、エコール・デ・ボザール。ショー当日、早い時間から準備が始まった。会場の前でくつろぐこちらのモデルたちは、すでに頭を剃られている

本番前の準備 日曜日 午後4時15分
ブラウンが会場として選んだのは、パリの左岸に位置する名門美術学校、エコール・デ・ボザール。ショー当日、早い時間から準備が始まった。会場の前でくつろぐこちらのモデルたちは、すでに頭を剃られている

画像: シューゲージング 日曜日 午後4時35分 ステージの中央には、ガラスのショーケースに入ったブラウンの金メッキのベビー・シューズが。彼いわく、登場するモデルのひとりひとりが、通り過ぎる際にじっと靴を見ることになっている。「彼らの子ども時代へのオマージュさ」とブラウンは説明する。「幼かった頃、まだ自分の進む道を決める前のことを、リアルに思い出してもらおうという狙い」。金メッキが施されたフラット・シューズとヒール付きのウィングチップ・シューズも同様に、オブジェのようにショーケースに飾られている

シューゲージング 日曜日 午後4時35分
ステージの中央には、ガラスのショーケースに入ったブラウンの金メッキのベビー・シューズが。彼いわく、登場するモデルのひとりひとりが、通り過ぎる際にじっと靴を見ることになっている。「彼らの子ども時代へのオマージュさ」とブラウンは説明する。「幼かった頃、まだ自分の進む道を決める前のことを、リアルに思い出してもらおうという狙い」。金メッキが施されたフラット・シューズとヒール付きのウィングチップ・シューズも同様に、オブジェのようにショーケースに飾られている

画像: 待機 日曜日 午後5時30分 大事なベビー・シューズを見守る “護衛”の横に立つブラウン。今回、4人のモデルがこの役を務める。護衛が身にまとうのは、ブラウンのシグネチャーである半ズボンのスーツ。グレーのウール・ツイルのものだ。「昔、僕が半ズボンを履いているせいで、ミラノのフォーシーズンズ・ホテルのレストランに入店を何度か断られたことがあるんだ」とブラウンは苦笑しながら振り返る

待機 日曜日 午後5時30分
大事なベビー・シューズを見守る “護衛”の横に立つブラウン。今回、4人のモデルがこの役を務める。護衛が身にまとうのは、ブラウンのシグネチャーである半ズボンのスーツ。グレーのウール・ツイルのものだ。「昔、僕が半ズボンを履いているせいで、ミラノのフォーシーズンズ・ホテルのレストランに入店を何度か断られたことがあるんだ」とブラウンは苦笑しながら振り返る

画像: つかの間の息抜き 日曜日 午後6時 ショーの開始前、アメリカのコメディアン、アジズ・アンサリとポーズをとるブラウン。コメディアンがいるからといってユーモアを求めてるわけじゃないから、とブラウンは念を押す。彼のコンセプト、そしてショーはいたって真面目なものだ。「面白がって冗談を言ってたモデルがいたんだけど」とブラウンは振り返る。「彼を使うのはやめておいた。これは笑い事じゃないんだから。見てくれる人々にも、おふざけだとは思われたくない。気に入るかどうかは自由だけど、遊び半分でやっているとは思って欲しくないんだ」

つかの間の息抜き 日曜日 午後6時
ショーの開始前、アメリカのコメディアン、アジズ・アンサリとポーズをとるブラウン。コメディアンがいるからといってユーモアを求めてるわけじゃないから、とブラウンは念を押す。彼のコンセプト、そしてショーはいたって真面目なものだ。「面白がって冗談を言ってたモデルがいたんだけど」とブラウンは振り返る。「彼を使うのはやめておいた。これは笑い事じゃないんだから。見てくれる人々にも、おふざけだとは思われたくない。気に入るかどうかは自由だけど、遊び半分でやっているとは思って欲しくないんだ」

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