BY ALEXANDER FURY, PHOTOGRAPHS BY THIBAULT MONTAMAT, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)
「これが原点」とブラウン。このベビーシューズは彼自身が幼い頃に履いていたもので、靴を金メッキにして飾っておくことが家族のしきたりなのだそうだ。「ずっと思ってたんだけど、小さい頃は誰もが同じところからスタートするよね。最初はみんなほとんど同じような服を着ている」と彼は言う。「でも、どこかの時点でそれが変わる」
そう話していた時、一人のモデルが現れた。彼はグレーのウール・ツイルの細長いベスト風のドレスと、その下に袖なしのシャツドレスを着ている。3インチのヒール付きの尖ったウィングチップを履き、バランスを保つのが難しそうだ。ブラウンは彼に歩み寄って、シャツドレスの裾を微調整する。「とてもストレートなコンセプトなんだ」と柔らかな口調でルックを解説する。「それでいてとても挑発的でしょ」。彼は、シャツドレスかベストの裾を指先でいじり、笑みを浮かべる。「これで間違いなし!」

花婿 土曜日 午後4時15分
ラストルックとしてブラウンが用意したのは、伝統的な新郎と新婦の婚礼衣装のハイブリッドをまとったモデル。通常であれば花嫁がこの役を務めるが、こうしたモデルをフィナーレに登場させるのはオートクチュールのショーの通例だ(ちなみにパリでは、オートクチュールのコレクションはメンズ・コレクションの発表が終わった翌週から始まる)

後ろ姿 土曜日 午後5時5分
ウェディング・スーツの背面に見えるのは、レースがあしらわれたシアサッカーのブライダルガウンと、布でできたブーケ。ブラウンは、モデルが後ろに回した手で花束を握って歩けるようリハーサルした。この衣装に合わせる靴は、高めの4インチのウィングチップが指定された

調髪 日曜日 午後4時
日曜夜のショーを前に、舞台裏で調髪してもらうブラウン。彼はモデルたちにも同じことを要求したので、全員の頭が本番までに剃られる予定だ