PHOTOGRAPHS BY TAKASHI HOMMA, STYLED BY NAOKO SHIINA AT AOSORA, EDITED BY JUN ISHIDA
妹島和世
建築家
「コム デ ギャルソンを知ったのは、大学生時代。川久保さんが少しずつ服を作り始められた頃だと思います。多分、何かの雑誌で拝見したのだと思います。初めて購入したのは、伊東豊雄さんの事務所で働き始めた80年代前半ですね。骨董通りにあったメンズ店を、事務所が近いのでお昼休みにちょっと見に行くのが楽しみでした。私にとってコム デギャルソンの魅力は型と素材の組み合わせにあります。川久保さんのビジョンの表れなのでしょうが、それを知らなくても洋服そのものからパワーを感じます」
安藤サクラ
女優
「今日のスカートに合わせたシャツは私の父が若い頃着ていたもので、夫が譲り受けたものです。私も気に入っていて一緒に着ています。父も母も昔からコム デ ギャルソンが好きで、小さい頃はお店に行って服を見るのが楽しみでした。周りのカッコいいと憧れる大人はみなコム デ ギャルソンを着ていて、身近というよりは憧れの服。父についてベネチア映画祭に行くときなどに着る特別なときの服でもありました。ずっとコム デ ギャルソンをサラッと着こなせるような大人になりたいと思っていましたが、自分も30代になり、最近は母からのおさがりも増えてきたので、もっと挑戦していきたいと思います。変わることなく素敵なものだから次の世代にも受け継いでいきたいです」
西 加奈子
小説家
「メンズのシャツのキュートさが好きになって、そこからレディースも着るようになりました。それまではコム デギャルソンを着るにはある種の意気込みが必要なように思っていたのですが、お店で見るとベーシックなデザインも多くて自分のほかの服とも合わせやすい。特にメンズライクなものやビッグサイズのものが好きで着ています。以前、お店で見たことのない絵がプリントされたTシャツを発見して店員さんに尋ねたら、90歳のインドのおばあさんが描いたものと聞きました。いったいどうやって見つけたのでしょうね? コム デ ギャルソンの服にはストーリーがあると思います。作り手の『思い』を感じる服ですね」
長嶋りかこ
グラフィックデザイナー
「旦那さんがコム デ ギャルソンを着ているのを見て、シンプルなのにささやかな遊びがあったりして気が利いているデザインだなと思い、私も着始めました。最初はベーシックなものが多かったんですけど、だんだん形が複雑なものにも挑戦したくなり、着てみたら面白くて。動きづらい服は特別なときに着ています。普段着ているのは、シンプルだけどちょっとした試みがなされているもの。コム デ ギャルソンと気づかれないこともしばしばありますよ。ベーシックだからこそ、永く着られるし、着ていきたい服ですね」
福森 伸、順子
しょうぶ学園施設長、副施設長
「川久保玲さんは、私にとってずっと敬愛している雲の上の人。若い頃は自分はまだ未熟だと思い、買えませんでした。近年もういいかなと思い、ときどき着ています。仕事の場などで、つい常識に縛られてしまいそうになって迷うとき、コム デ ギャルソンを着ると、これでいいんだと自分の軸に戻れる気がします。着ると自然に背すじが伸びる 服です」(順子)。「僕は買い物にあまり興味はないけれど、いいなと思い手を伸ばすとコム デ ギャルソン、ということが多い。着ていてラクなんです。otto & orabuのライブでも、30年近く前のジャケットを虫が食ったとこはかがりつつ、愛用しています」(伸)
村治佳織
ギタリスト
「高校卒業後、パリに留学したのですが、そこで出会った服飾関係の友人からコム デ ギャルソンの話を聞き、帰国してすぐにモスグリーンのジャケットを買いました。当時はまだ洋服に着られてしまった感がありましたね。自分が強くないと着ることのできない服だと思いました。今は、ステージなどでもよく着ています。服自体に強い存在感があるので、バッハからピアソラまで、どんな曲にも合うんです。また海外では、日本人のクリエイティビティを身に纏っている気がして、励みにもなりますね。コム デ ギャルソンを着ると気持ちに一本芯が通るようで、そうした面持ちで人と向き合えるように思います」
HAIR BY KENICHI FOR SENSEN OF HUMOUR AT EIGHT PEACE(for SHIN FUKUMORI, FUKUMORI JUNKO, KAORI MURAJI), KEIKO TADA AT MOD’S HAIR. MAKEUP BY MASAYO TSUDA AT MOD’S HAIR