日本から世界へ羽ばたこうとしているスーパーグループSnow Manの一員として快進撃を続ける目黒蓮。フェンディのグローバル広告キャンペーンモデルに抜擢された彼がひそかに抱く思いとは?

BY MICHINO OGURA, PORTRAITS BY TAKEMI YABUKI AT W, STYLED BY KATSUHIRO YOKOTA, HAIR & MAKEUP BY TOMOKO MIYAGAWA

画像1: 目黒蓮、真摯なまなざしの先に──
飛躍を遂げる心境を聞く
スペシャルインタビューが実現!

100年の歴史を誇るフェンディと目黒蓮のクラフツマンシップを巡る旅

 2025年が本格的に幕を開けようとしていた1 月初旬、フェンディの東京オフィスに設けられた特別な取材スペースに私たちは通された。会場に用意されたモニターにはSnow Manのメンバーであり、俳優としてもめざましい活躍をみせる目黒蓮の姿が映し出されている。2024年2 月にメゾン初のジャパンメンズブランドアンバサダーに就任した目黒は、それから一年もたたないうちに、2025年春夏 メンズコレクションのグローバル メンズウェア アンバサダーを務めることとなったのだ。

 今回、本誌は目黒の撮影とインタビューを行う貴重な機会を得ていた。モニターの映像は2025年1 月13日に世界で公開されたグローバル広告とその撮影風景。トップスターである彼の姿は日常的にメディアで目にしていたが、スリークなヘアに艶のあるメイク、鍛え抜かれた体のシルエットを強調したスタイルと、ヨーロッパの洗練をまとった彼は鮮烈な印象を醸し出していた。

 この広告の撮影は、2024年6 月にミラノで行われたフェンディ 2025年春夏 メンズコレクションに目黒が訪れた際に実現したもの。イタリア人アーティストのニコ・ヴァセラーリがクリエイティブ・ディレクションとフィルム・ディレクションを手がけている。"普遍的なスタイルへのオマージュ"と位置づけられたこのコレクションは、世界的なエリートたちのワードローブを思わせる、確かなテーラリング技術とスポーツテイストの軽やかさを併せ持った現代的なムードに満ちあふれている。目黒が登場するビジュアルには、そのモダンな世界観を表現するために、爽やかなブルーのカーテンで囲まれた空間が仕立てられた。

画像: 最新キャンペーンのビジュアルはミラノで撮影されたもの。日本から参加した目黒はアクセサリーおよびメンズウェア部門のアーティスティック ディレクター、シルヴィア・フェンディからアドバイスを受ける一幕も。和やかな雰囲気の撮影は信頼関係を築いていたからこそ成立した

最新キャンペーンのビジュアルはミラノで撮影されたもの。日本から参加した目黒はアクセサリーおよびメンズウェア部門のアーティスティック ディレクター、シルヴィア・フェンディからアドバイスを受ける一幕も。和やかな雰囲気の撮影は信頼関係を築いていたからこそ成立した

 メンズウェア部門のアーティスティック ディレクター、シルヴィア・フェンディと対話するシーンでは、時折笑顔が見られるなど、目黒が現地スタッフを信頼していることやコミュニケーションがとれていることがうかがえる。それもそのはず、ジャパンメンズブランドアンバサダーになることがアナウンスされた昨年2 月よりも前の2023年にローマにあるフェンディ本社を訪れており、昨年1月にはフィレンツェ近郊のカパヌッチアにある「フェンディ ファクトリー」を訪れるなど、メゾンのクラフツマンシップやクリエイティビティに直に触れ、その世界観を体現するには十分な体験が彼の中には蓄積されているからだ。

画像: 100年の歴史を誇るフェンディと目黒蓮のクラフツマンシップを巡る旅
画像: (上・左)目黒が「この機会を逃したくない」と真剣に撮影に挑んだという、2023年にローマのフェンディ本社を訪れた際のオフショット。メゾンを象徴する伝統的な建築物を背景に、さまざまなショットを撮影した。時にはディレクターと真剣に写真をチェックする姿も見られた

(上・左)目黒が「この機会を逃したくない」と真剣に撮影に挑んだという、2023年にローマのフェンディ本社を訪れた際のオフショット。メゾンを象徴する伝統的な建築物を背景に、さまざまなショットを撮影した。時にはディレクターと真剣に写真をチェックする姿も見られた

 日本人が起用されるのは初めてとなる今回のキャンペーンで、目黒はコレクションを象徴する9体のルックとジュエリーやバッグなどを身につけ、多数のビジュアルが撮影された。1990年に発表されたフェンディ初のメンズコレクションから変わることのないメゾンコードや、アーカイブを大切に思う気持ち、未来への明るい展望などのさまざまな思いを乗せて、目黒は見事に着こなしてみせたのだ。

画像: 2024年1月にイタリア・トスカーナ州のカパヌッチアにある「フェンディ ファクトリー」を訪問。職人たちが手作業で手がける伝統的な「セレリア」のレザーグッズができ上がる工程を見学。メゾンのクラフツマンシップを肌で感じた

2024年1月にイタリア・トスカーナ州のカパヌッチアにある「フェンディ ファクトリー」を訪問。職人たちが手作業で手がける伝統的な「セレリア」のレザーグッズができ上がる工程を見学。メゾンのクラフツマンシップを肌で感じた

画像: 同じく「フェンディ ファクトリー」で職人たちがレザーを裁断する様子。丹念にレザーを選別する姿も美しい

同じく「フェンディ ファクトリー」で職人たちがレザーを裁断する様子。丹念にレザーを選別する姿も美しい

目黒蓮に独占取材。フェンディの歴史と共鳴するとき

画像: ポロニットはボタンをはずすことでアシンメトリーに着こなせるデザイン。「セレリア」のステッチを施したデニムパンツと合わせたグラフィカルな装いがクールだ

ポロニットはボタンをはずすことでアシンメトリーに着こなせるデザイン。「セレリア」のステッチを施したデニムパンツと合わせたグラフィカルな装いがクールだ

 自然光が差し込むショールームで撮影の準備に取りかかる。フェンディ 2025年春夏 メンズコレクションの世界に沿って、今回は上品なアイボリーの背景をセット。取材ルームに用意された上質なソファと合わせて、ソフトでエレガントなムードを演出する。ほどなくして、準備を整えた目黒が静かに現れた。

 この日、T JAPANの取材のために選ばれたのはアシンメトリーなデザインが目を引くポロニットとデニム。すらりとした長身と均整のとれたボディをもつ彼によく似合う。やさしい表情で「よろしくお願いします」とスタッフにひとこと声をかけると、早速撮影が始まった。バッグを持ったほうがいいのか、どちらの肩にかけるのか、アクセサリーの見え方は大丈夫か、など自らスタッフとこまやかにコミュニケーションをとり、服をよりよく見せようとする彼のプロフェッショナルな姿勢に驚く。

 今回グローバル広告キャンペーンモデルに選ばれた感想を聞くと、彼らしい謙虚な答えが返ってきた。

「まずは"え、僕が⁉" という驚きを一番最初に抱きました。昨年、ジャパンメンズブランドアンバサダーに任命されたのですが、実はその前年の9月にローマでフェンディの本社を訪ねる機会がありました。僕はその撮影がチャンスだと思っていて、絶対に何か次につなげたい、みんなで良いものをつくるんだという心構えで挑んだことを覚えています。それから偶然が重なってメンズのディレクターに会うことができたり、ショップに足を運ぶことができたりと、貴重な機会が次々と訪れました」

「ジャパンメンズブランドアンバサダーを務めることになってから数カ月たち、"この子でグローバルキャンペーンを撮影したい" と声をかけてくださったと聞いて驚いたんです。どんな仕事にも通じることだと思いますが、その瞬間に全力を注いで、気持ちを乗せてお仕事をすると、必ず未来の自分に返ってくる。今回のことに関してもそうですが、どんなジャンルの仕事がきても、ひとつひとつ丁寧に向き合う。その大切さを僕は実感しているところです」

 今回のグローバル広告キャンペーンの撮影は海外のクリエイターたちとともに行なった。その熱気から刺激を受けたと目黒は思い返して言う。

「撮影中ずっと、アーティスティック ディレクターのシルヴィア・フェンディさんが近くで見守ってくださっていました。僕は日本で培ってきたことを活かして、どんなことを求められているのかを、その場で柔軟に想像しながら参加していました。シルヴィアさんはその瞬間で常に最高のものをつくりたいと、ちょっとしたアイデアを提案されるんです。アクセサリーをつけるのか、つけないのか、それによって洋服のデザインの見え方がまったく違うと、最後の最後まで良い写真にすることを諦めないんです。チームのみんなが同じ方向を向いて、納得のいくものにすることを目指している現場でしたね。僕もわりと往生際が悪いタイプなので、諦めないシルヴィアさんとやりとりするのはすごく楽しかったです(笑)」

 ひとつひとつの縁を大切につないできた目黒は、フェンディがもつ家族や職人たちを思いやるフィロソフィに共感するという。

「2024年の年越しはSnow Manの生配信をグループで行いました。自分たちでアイデアを出し合いながら、本当にゼロの状態からつくり上げた内容で、今回で2 回目になります。僕らメンバーだけではなくて、関わってくれるスタッフさんも全員で何か良いものをつくりたいという気持ちを共有していて、僕らもまるでファミリーのようだなと思いました。自分たちだけでは何もできないし、助けられてここにいるんだと感謝しながら過ごしています」

 今年で5 周年を迎えるSnow Man。事務所の所属グループでは最速の、CDデビュー4 年10カ月で5大ドームツアーを実現させ、1 月にリリースされた初のベストアルバム『THE BEST 2020 – 2025』は初日で110万枚を売り上げるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いをみせる。デビュー直後にパンデミックに見舞われるなど、決して順風満帆な道のりではなかったかもしれないが、その経験からひとりひとりが謙虚かつ実力を携えたグループとして成長。目黒とフェンディの取り組みだけではなく、昨年発表されたアルバム『RAYS』のリード曲である「EMPIRE」のMVがスペインで撮影されるなど、海外での活動も確実に視野に入ってきているところなのだろう。

「もちろんメンバーとそんな話もしますが、単に海外だからいい、ということではない気がしています。僕個人の考えですが、まずは日本のファンの方々に向けて、同じ場所で生活している僕のような人間が一生懸命挑戦している姿を見て、勇気づけられたり、感動してもらえたりしたらいいなと思って頑張っていることを大切にしたい。日本には素晴らしい音楽はもちろん、さまざまな文化があります。僕自身も日本のグループ、俳優として、その誇りをもって海外で挑戦してみたいという思いはあります。今回のグローバル広告の撮影でも思ったのですが、たとえ国が違っていても、どの現場でもその瞬間に良いものをつくりたいという気持ちは一緒。そこに日本とか世界とかは関係ないんですよね」

 目黒が身につけたウェアの一部にはメゾン創業時から受け継がれたきた「セレリア」のハンドステッチが施されている。ひとつひとつのステッチが連なり大きなうねりを生む。それはまるで、目黒がこれまで一瞬一瞬を大切にしてきた思いと重なるようだった。

画像: ミラノで開催されたフェンディ 2024-25年秋冬 メンズコレクション。目黒は名だたるセレブリティとともにフロントローでショーを見守った PHOTOGRAPHS: COURTESY OF FENDI

ミラノで開催されたフェンディ 2024-25年秋冬 メンズコレクション。目黒は名だたるセレブリティとともにフロントローでショーを見守った

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF FENDI

目黒 蓮(めぐろ・れん)
1997年、東京都出身。Snow Manのメンバーであり、俳優。2020年にSnow ManとしてCDデビュー。2022年に放映されたテレビドラマ「silent」ではハンディキャップを負う青年を好演し、社会現象となるほどの話題に。2023年には映画『月の満ち欠け』での演技が高く評価され、第46回日本アカデミー賞で優秀助演男優賞と新人俳優賞を受賞。Snow Man初となるベストアルバム『THE BEST 2020 – 2025』が発売中

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