BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY YUKO UEHARA
酷暑が続いた今年の夏。そろそろ夏の疲れが出てくるころ。食欲がなくてという方にも、つい夏太りしちゃってという方にもおすすめしたいスイーツが「豆花」。台湾の甘味で、「トウファ」と読む。豆腐に似ているが、ふわふわとろりの優しい味わい。初めて台湾で食べたときは、「豆腐がスイーツなの!?」と驚いた。
吉祥寺・大正通りにある台湾カフェ「月和茶」は、週末には行列ができる人気店だ。私の目当ては、ご主人の楊 明龍(ヨウ メイリュウ)さん手作りの豆花。この季節は冷やして、寒い時期には温かく。どちらも美味しい。
楊さんの朝は豆花作りで始まる。カフェを始めた20年前から変わらない。温めた豆乳にすまし粉とさつまいものでんぷんを加えて混ぜ、静かにおいて30〜40分。ふわりとかたまってきたら出来上がり。凝固剤の種類や量によって口当たりが決まるので、この塩梅が難しいという。これに甘さ控えめのシロップをかけ、トッピングをのせる。トッピングは日替わりで、すべて手作り。この日は、甘くゆでたピーナッツと金時豆、ゆでたハトムギと黒タピオカ、米粉の麺、マンゴー餅、タロいも、紫いも、さつまいものお団子。シックな色合いでヘルシー感も満載だ。
台南出身の楊さん、豆花は毎日のおやつだったそうだ。「台湾人なら誰もが食べていた懐かしい味です。豆花の入った壺をのせたリヤカーを、おじいさんが引いて売りに来ていました。お椀を持って出て、すくい入れた豆花に薄甘いシロップをかけてもらう。台南はさとうきびの産地なので、シロップは地元の砂糖を使っていたんでしょう。当時はトッピングなんてなかったけれど、いまでは台南にも台北にも専門店があり、たくさんの種類のトッピングがそろっていて華やかです」
月和茶はカフェなのだが、一品料理も見逃せない。台湾の国民食「魯肉飯(ルーローファン)」は、甘辛く煮た肉そぼろをご飯にかけた丼。このお店のそれは、楊さんのお母さんの味。男ばかり4人の兄弟を育てたお母さんは、肉をそぼろではなく、大きめの角煮にしてボリュームアップしていたそうだ。肉がごろごろ入っていてもぺろりと平らげることができるのは、薄味だけれどしっかり味のしみた繊細な仕上がりだから。
美容効果の高いイソフラボンが豊富なヘルシーな豆花。疲労快復効果の高いビタミンBを含む豚肉をたっぷりのせた魯肉飯。秋に向けて元気をチャージするため、この週末も食べに行きます!
月和茶(ユエフウチャ)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-28大住ビル2F
営業時間:平日11:30〜18:00(LO 17:00)、日曜・祝日・13日(土)11:30~19:00(LO 18:00)
※ 月によって営業時間が変わるので、公式サイトをご確認ください
定休日:火曜
電話: 0422(77)0554
公式サイト