フードライター北村美香が自信をもっておすすめする美味の店。その技と思いを凝縮した「食べるべきひと皿」とともに、おいしさの理由をひもとく連載第9回

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY YUKO UEHARA

 酷暑が続いた今年の夏。そろそろ夏の疲れが出てくるころ。食欲がなくてという方にも、つい夏太りしちゃってという方にもおすすめしたいスイーツが「豆花」。台湾の甘味で、「トウファ」と読む。豆腐に似ているが、ふわふわとろりの優しい味わい。初めて台湾で食べたときは、「豆腐がスイーツなの!?」と驚いた。
 吉祥寺・大正通りにある台湾カフェ「月和茶」は、週末には行列ができる人気店だ。私の目当ては、ご主人の楊 明龍(ヨウ メイリュウ)さん手作りの豆花。この季節は冷やして、寒い時期には温かく。どちらも美味しい。

画像: 「吉祥豆花」¥680 台湾では、豆花を固めるための凝固剤に何を使うかで店の味が決まると言われている。「月和茶」では、さつまいものでんぷんを加えることで、なめらかな口当たりに仕上げている。トッピングもヘルシーで、甘さ控えめなので、食欲のないときの軽食代わりにも

「吉祥豆花」¥680
台湾では、豆花を固めるための凝固剤に何を使うかで店の味が決まると言われている。「月和茶」では、さつまいものでんぷんを加えることで、なめらかな口当たりに仕上げている。トッピングもヘルシーで、甘さ控えめなので、食欲のないときの軽食代わりにも

 楊さんの朝は豆花作りで始まる。カフェを始めた20年前から変わらない。温めた豆乳にすまし粉とさつまいものでんぷんを加えて混ぜ、静かにおいて30〜40分。ふわりとかたまってきたら出来上がり。凝固剤の種類や量によって口当たりが決まるので、この塩梅が難しいという。これに甘さ控えめのシロップをかけ、トッピングをのせる。トッピングは日替わりで、すべて手作り。この日は、甘くゆでたピーナッツと金時豆、ゆでたハトムギと黒タピオカ、米粉の麺、マンゴー餅、タロいも、紫いも、さつまいものお団子。シックな色合いでヘルシー感も満載だ。

画像: 細い階段を上がって2階へ。古民家風の店内では、本場台湾の茶芸館の雰囲気を味わうことができる

細い階段を上がって2階へ。古民家風の店内では、本場台湾の茶芸館の雰囲気を味わうことができる

 台南出身の楊さん、豆花は毎日のおやつだったそうだ。「台湾人なら誰もが食べていた懐かしい味です。豆花の入った壺をのせたリヤカーを、おじいさんが引いて売りに来ていました。お椀を持って出て、すくい入れた豆花に薄甘いシロップをかけてもらう。台南はさとうきびの産地なので、シロップは地元の砂糖を使っていたんでしょう。当時はトッピングなんてなかったけれど、いまでは台南にも台北にも専門店があり、たくさんの種類のトッピングがそろっていて華やかです」

画像: ご主人の楊 明龍さん。もともとデザイン関係の仕事をしていて、経堂にカフェをオープン。10年前に吉祥寺へ移転した。メニューの写真は全部、楊さんが撮影するほどの腕前

ご主人の楊 明龍さん。もともとデザイン関係の仕事をしていて、経堂にカフェをオープン。10年前に吉祥寺へ移転した。メニューの写真は全部、楊さんが撮影するほどの腕前

 月和茶はカフェなのだが、一品料理も見逃せない。台湾の国民食「魯肉飯(ルーローファン)」は、甘辛く煮た肉そぼろをご飯にかけた丼。このお店のそれは、楊さんのお母さんの味。男ばかり4人の兄弟を育てたお母さんは、肉をそぼろではなく、大きめの角煮にしてボリュームアップしていたそうだ。肉がごろごろ入っていてもぺろりと平らげることができるのは、薄味だけれどしっかり味のしみた繊細な仕上がりだから。

 美容効果の高いイソフラボンが豊富なヘルシーな豆花。疲労快復効果の高いビタミンBを含む豚肉をたっぷりのせた魯肉飯。秋に向けて元気をチャージするため、この週末も食べに行きます!

画像: 「楊家魯肉飯(台湾風肉煮込みかけご飯)」 ランチタイム(11:30〜15:00)は、サラダ・スープ付き¥900、単品¥1,050。ボリュームたっぷり、調味料控えめでやさしい味わい

「楊家魯肉飯(台湾風肉煮込みかけご飯)」
ランチタイム(11:30〜15:00)は、サラダ・スープ付き¥900、単品¥1,050。ボリュームたっぷり、調味料控えめでやさしい味わい

月和茶(ユエフウチャ)
住所:東京都武蔵野市吉祥寺本町2-14-28大住ビル2F
営業時間:平日11:30〜18:00(LO 17:00)、日曜・祝日・13日(土)11:30~19:00(LO 18:00)
※ 月によって営業時間が変わるので、公式サイトをご確認ください
定休日:火曜
電話: 0422(77)0554
公式サイト

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