料理やお酒を家で楽しむことが、より一層求められている昨今。季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第8回は、鮮やかな真紅の彩り、奥行きのある味わい、豊富な栄養といいことづくめのビーツをクローズアップ

BY YUKIKO HIRANO

【今月の野菜とお酒:ビーツとマスカットベリーA】

画像: ビーツは栄養の宝庫。中でも硝酸塩は、体内に入ると一酸化窒素に変換され、血流を良くする働きや身体を温める効果が。カリウムやビタミン、食物繊維なども豊富

ビーツは栄養の宝庫。中でも硝酸塩は、体内に入ると一酸化窒素に変換され、血流を良くする働きや身体を温める効果が。カリウムやビタミン、食物繊維なども豊富

 ウクライナ発祥の料理、ボルシチでおなじみのビーツは、数年前までは缶詰などでしか入手できなかったが、ここ数年、日本各地で生産されるようになり、ずいぶん身近な野菜になった。「食べる輸血」「奇跡の野菜」と呼ばれるほど栄養価も高いスーパーフードだが、日本の家庭への浸透度はまだ途上の段階。「そんなビーツですが、“甘味のある根菜”と捉えれば、実は和食に幅広く使うことができます。そして、ごぼうを凌ぐほど特徴的な土の香りは、赤ワインが非常によく合います。ペアリングは素材だけではなく、調理の仕方や調味料、他の食材の存在などの要素が複雑に絡み合い、牛肉でさえ白ワインの方が合うことがままあります。それでも圧倒的な強さをもつビーツを使った料理が引き寄せるのは、赤ワイン。今回は日本を代表する赤ワイン、マスカットベリーAを合わせてみました」(平野さん)

レシピ1:ビーツの豚汁

 ビーツの甘味は味噌との相性も抜群。ビーツと根菜を、オイルと少量の塩でゆっくりとオイル蒸しにして、しっかりと野菜の旨みを抽出するのが平野流。「引き出された野菜出汁は野菜の甘味と水分が凝縮され、鍋の中で一体感を持ちます。昆布や鰹の出汁は、このレシピでは出番がありません」(平野さん)。

画像: ビーツと味噌がこんなに合うなんて…!と感激すること間違いなしの美味しさ。根菜ならではの土の香りと、ほんのりした甘さが豚汁をさらに味わい深く引き立てる

ビーツと味噌がこんなに合うなんて…!と感激すること間違いなしの美味しさ。根菜ならではの土の香りと、ほんのりした甘さが豚汁をさらに味わい深く引き立てる

<材料 4人分>
ビーツ小1個(200g)、にんじん1/2本、大根5cm、ごぼう20cm、長ねぎ1本、舞茸1パック、油揚げ1枚、豚バラ薄切り肉200g、味噌大さじ5~6、太白ごま油(またはサラダ油)小さじ2、塩少々

<作り方>
 ビーツ、大根はいちょう切りにする。にんじんは半月切り、ごぼうはたわしで皮をこすって洗い、細めの乱切りにする。長ねぎは斜め1cm幅に切る。油揚げは熱湯を回しかけ、縦半分に切り、1cm幅に切る。舞茸は小房に分ける。豚肉は食べやすい長さに切る。
 鍋に太白ごま油を熱し、ビーツ、ごぼう、にんじん、大根、長ねぎの青いところを加え、塩少々をふり、ふたをして中弱火で4〜5分蒸し煮する。時々ふたをとって野菜が汗をかくように、ゆっくりと炒め合わせる。
 豚肉を加えて炒め合わせ、水6カップを加える。煮立ったらアクをとり、野菜に柔らかく火が通るまで煮る。途中で油揚げ、残りの長ねぎ、舞茸も加える。
 味噌を加えて溶き入れ、ひと煮立ちさせ、碗によそう。

レシピ2:ビーツのバルサミコきんぴら

 ごぼうの代わりにビーツを使うことで、にんじんとも相まって、まるでデザートのような深い甘みのある真紅のきんぴらに。「ビーツの土臭さをバルサミコ酢、マスカットベリーAの酸味が心地よく調和してくれます」(平野さん)

画像: 目にも鮮やかな赤いきんぴらは、なんとも華やか。おせち料理にもおすすめ

目にも鮮やかな赤いきんぴらは、なんとも華やか。おせち料理にもおすすめ

<材料 2〜3人分>
ビーツ200g、にんじん100g(ビーツの半量)、くるみ25g、オリーブオイル大さじ1強、赤唐辛子1本、バルサミコ酢、醤油、みりん 各大さじ1

<作り方>
 ビーツ、にんじんは皮付きのまま5mm幅の拍子切りにする。
 フライパンにオリーブ油と赤唐辛子を入れて熱し、1を入れて炒める。バルサミコ酢、醤油、みりんを加えてしんなりとするまで炒める。

画像: 固いビーツは丸ごとの調理は時間がかかるが、細切りにして炒めれば短時間調理が可能

固いビーツは丸ごとの調理は時間がかかるが、細切りにして炒めれば短時間調理が可能

【今月のお酒セレクト:ファットリア・アルフィオーレ 一輪の花】

画像: レシピ2:ビーツのバルサミコきんぴら

「日本原産のマスカットベリーAは透明感のある赤い色、フレッシュな酸味、そして湿気のある日本の土壌を反映してか、湿り気のある根菜のニュアンスを感じさせます。和食、味噌、醤油との相性は秀逸です」(平野さん)。ファットリア・アルフィオーレは2015年に宮城県のイタリアンレストランから生まれたワイナリー。一輪の花はマスカットベリーA 83%(山形)、メルロー17%(山形)。樽による酸化熟成により、穏やかで丸みのある味わい。「ビーツを使った和食に寄り添い引き上げてくれる、そんなワインと言えます」

平野由希子さんの新刊が登場!

 ともに日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理それぞれに造詣の深い平野由希子さんと高橋雅子さんの共著『すぐおいしい じっくりおいしい ワインつまみ』が発売された。つまみとワインの相性が一目でわかる目印つきで、簡単なのに洒落た味わいのレシピを120品以上も掲載。食べたいレシピに合わせてワインを選ぶもよし、手に入れたワインに合わせて料理を作るもよし――ワインをこよなく愛する料理家ふたりによる共著だからこそ実現した、家飲みのひとときがさらに幸せな時間になる一冊だ。

画像: 『すぐおいしい じっくりおいしい ワインつまみ』¥1,100 平野由希子・高橋雅子 著/池田書店 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

『すぐおいしい じっくりおいしい ワインつまみ』¥1,100
平野由希子・高橋雅子 著/池田書店
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。公式サイトはこちら

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