京都生まれの京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!と、長きにわたり業界の人々が厚い信頼を寄せる、アマジュンこと天野準子さん。今昔とりまぜ、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを教えてもらいます。第14回は、「スマート珈琲店」をご案内します

TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

 京都に来る友人の多くは、ランチやディナーに京懐石の店や割烹を予約していることが多く、モーニングは意外と和食以外をリクエストされる率高し。そこで、今月は、「せっかく京都に来たのだから一食たりとも無駄にしたくない」という食いしん坊におすすめの朝食を紹介します。

寺町三条「スマート珈琲店」

画像: ホットケーキは昭和7年の創業時から変わらないメニュー

ホットケーキは昭和7年の創業時から変わらないメニュー

 昔は、京都旅行と言えば、寺社仏閣に湯豆腐、抹茶スイーツ…と、わかりやすく京都らしいものが求められていたが、最近は地元の人に愛される普段着の店や食に注目が集まっている。
 街のおうどん屋さんや中華料理店など、以前はご近所ユースだった店が行列必至の人気店になってしまうことも多く、「スマート珈琲店」はまさにその代表格だ。

 私の実家は「スマート珈琲店」のご近所にあり、ホットケーキ目当てに、小さい頃から祖母や両親によく連れてってもらったが、その頃はタバコ片手にコーヒーを楽しむおじさんたちで賑わっていて、いつ行っても並ぶことなく入れていた。

「メニューも店もなんにも変わってないんやけど。25年くらい前、兄が修行から戻ってきて、昼だけ2階で洋食ランチをやりだした頃から、雑誌でも取り上げてもらったり、旅行の人がぐんっと増えた気がします」と、3代目店主・元木章さん。

画像: 50年前から変わっていないという店内

50年前から変わっていないという店内

 オープン時間も昔から変わらず朝8時。モーニングメニューはないが、サンドイッチを朝食に楽しむ人で賑わっている。甘い朝食好きには、ホットケーキにするかフレンチトーストにするか悩ましいところだ。

画像: ホットケーキ、フレンチトースト各¥750

ホットケーキ、フレンチトースト各¥750

「スマート珈琲店」は、昭和7年に食堂として創業し、戦後に喫茶店に転身したが、ホットケーキは食堂時代から出しているメニューだそう。
 初代の奥様(現店主の祖母)のレシピで今も作られていて、分厚い鉄板で焼くことでふっくら膨れ上がり、これぞホットケーキのお手本というべき美しい焼き色に。自家製シロップも甘すぎず、ビシャビシャにかけてホットケーキにシロップをたっぷり吸わせて食べるのがおすすめだ。

 フレンチトーストは、厚切りの食パンを使い、卵液に漬けこまず、注文を受けてからさっとくぐらせ、揚げ焼きに。とろとろ系とは違う揚げパンのよう軽さが魅力だ。自家製シロップが添えられているが、テーブルに置いてある砂糖をかけて食べるとさらに揚げパン感が増し、懐かしい味わいに。
 1日の始まりを幸せな気分でスタートできます。

画像: 男女がコーヒーを飲んでいる姿が描かれた店のシンボルマークは初代によるものだそう

男女がコーヒーを飲んでいる姿が描かれた店のシンボルマークは初代によるものだそう

画像: 重すぎず、軽すぎず、苦すぎず、強すぎず…、「すぎない味」を心がけているという、5種類の豆をブレンドした自家焙煎コーヒー¥600

重すぎず、軽すぎず、苦すぎず、強すぎず…、「すぎない味」を心がけているという、5種類の豆をブレンドした自家焙煎コーヒー¥600

スマート珈琲店
住所:京都市中京区寺町通三条上ル天性寺前町537
営業時間:8:00~19:00(2Fランチは11:00~14:30L.O.)
定休日:無休(2Fランチは火曜休)
TEL. 075(231)6547

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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