RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA

人参は小さめなら丸ごと1本を煮込んでもよい
ひたすら煮込むだけの贅沢ビーフシチュー
有元さんのビーフシチューは贅沢で豪快。牛肉を1kg、ワインを丸ごと1本使う。作り方はひたすら煮込むだけ。ひと晩おいて、味が馴染んだら人参を加えて煮込んで出来上がり。
「お肉をいただくときは、おいしい肉をたっぷり食べたい。だから、塊肉を大きく切り分けて煮込みます。野菜は人参だけ。やわらかくなるまで煮ると、一際甘くなってひとりで1本、ペロリと食べられます。小さい頃の娘たちはこの人参が大好物で、人参を食べたいからビーフシチューを作ってと言われたものです」
肉を切り分けたら、香味野菜(玉ねぎ、人参、セロリ)をゆっくりじっくり炒めて旨みを出した「ソフリット」と呼ばれる香味野菜の炒め煮と共に煮込みます。ただただ煮込むだけですが、2日間かけて、じんわり肉に味を染み込ませるのがコツ。水を一切使わず、ワインとパッサータ(なければトマトの水煮)で煮込む。
「普段のおかずというより、ハレの日の料理ですから、できればワインもおいしいものを選んで欲しいですね。出来上がりの味が違ってきます」
さらに上等なひと皿に仕上げたい場合には、牛肉と人参を取り出してから裏漉し、もしくはブレンダーで攪拌すればなめらかなソースに。器に牛肉と人参を盛り、このソースをかければ出来上がり。この料理、一見難しそうに見えますが、煮込むだけなので、大掃除の合間に作っておき、年始のおもてなしにいかがでしょう。

牛肉は信頼のおける肉屋さんで購入。シチュー用とオーダー

<材料>
牛塊肉(シチュー用) 約1kg
A 玉ねぎ(みじん切り) 大1個
人参(みじん切り) 1本
セロリ(みじん切り) 2本
にんにく(みじん切り) 2片
オリーブオイル 適量
パッサータ(※) 700g
赤ワイン 1本
人参 中4本
醤油 大さじ1
バター 適量
塩、胡椒 各適量
(※)イタリアのトマトピュレのこと。なければ、トマトの水煮缶2缶を使用
<作り方>

1 牛肉を4等分にし、軽く塩、胡椒する。煮込み用の深鍋を横に置いておく。フライパンを熱し、オリーブオイルを入れ、肉を入れて全体に焼き目が付いたら、深鍋に入れていく。

2 1のフライパンにオリーブオイルを足し、Aのにんにくを入れて炒め、香りが立ったら残りのAを上から順に加えて炒める。ゆっくりじっくり炒めて、野菜が透き通ってしんなりしたら、1の深鍋に入れる。

3 2のフライパンにワイン1カップを入れて、焦げ目をこそげ取り、深鍋に入れる。残りの赤ワインを注ぐ。強火にかけ、沸いたら弱火にして、アクを丁寧にすくいながらコトコトと1時間煮る。

4 パッサータを加え、さらに1時間ほど煮て火を止め、一晩おく。

5 人参は皮をむき、1本のまま、または半分に切る。それを鍋に入れて強火にかける。沸き始めたら中火にし、塩を加え、人参がやわらかくなるまで15分ほど煮る。最後に醤油を加えて火を止める。器に盛り、好みの量のバターをのせる。

有元葉子(ありもとようこ)
料理家。素材を生かしたシンプルで力強い料理と、環境にも配慮した心地よい暮らし方に多くの共感が集まり、著書は100冊を超える。使いやすく美しい調理道具「ラバーゼ」シリーズを提案し、東京でセレクトショップ「SHOP281」を経営。イタリア・ウンブリアと信州にも家を持ち、東京と信州、イタリアでの生活を楽しむ。
公式サイトはこちら
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