TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
北大路「ototojet」

「手鞠とおかず」¥5,500
「ototojet」があるのは北大路の住宅街。路地奥の町家で、完全予約制の寿司の販売とディナー営業を行っている。

2023年に伏見から北大路に移転。地下鉄北大路駅から徒歩12分
実は「ototojet」は23年前、京都・伏見で鮮魚店としてスタートした。店主・辻井知貴さんは石川県出身で、小さい時から魚を食べて育ち、ふぐ料理店での修業後、魚料理の店を出したいと考えたが、「おいしい天然魚を仕入れられるようになりたい」と、鮮魚店を選択したそう。鮮魚店では海鮮丼や魚を使った惣菜を販売。魚料理のケータリングも行われるようになった。私が初めて「ototojet」の存在を知ったのも、今から5年ほど前のとあるイベント。天然魚を使ったアートのように美しい盛り付けに目を奪われた。辻井さんは華道をたしなんでいて、生け花のように『魚を生ける』をコンセプトに料理を手がけているそうだ。

天然魚のみを使用。この日は天然マグロのトロ、赤身、淡路島の赤ウニ、活赤貝、車エビ、桜鯛など。細身のにぎりが整然と並ぶ「にぎり鮨」¥6,600
持ち帰りの寿司も季節を映し、凜と美しい。鰻以外は、すべて天然魚を使用するため、商品は季節によって変わり、鯖寿司も塩鯖や冷凍鯖を使って一年中提供する寿司店が多いが、こちらでは脂ののった鯖が手に入る時期のみ作られている。
手鞠鮨とおかずを組み合わせた折り詰めもあり。おかずには、鰆の西京漬や出汁巻など、正統な和食に加え、ヤナギダコと穂先筍の炊き合わせ・ココナッツ風味といったオリジナリティあふれる料理も盛り込まれている。

「手鞠とおかず」¥5,500。手鞠鮨は噛んだ時の歯切れを考え俵型に。この日は兵庫・香住のカニや桜鯛の桜葉〆、木の芽を飾った活モンコイカなど
現在、持ち帰り商品は1〜2ヶ月前にInstagramで発表されるが、1ヶ月前には予約が埋まってしまうことも。旅行者からの予約が多く、最終日にピックアップし、新幹線の中や帰路についてから食べるという人がほとんどだとか。
キャンセルが出たり、数日前でも購入可能な場合もあり、京都旅の日程が決まったらまずはInstagramのダイレクトメッセージから連絡してみるのがお勧めだ。

予約した商品は土間のカウンターで受け取れる

ディナーは天然魚を中心とした和食のコースに。外国人のゲストも多く、ペスカタリアンから支持されている。コース¥18,000〜。テイクアウトの商品ラインアップや受取日、ディナーのオープン日は1〜2ヶ月前にInstagramで告知。予約はDMから行える
「ototojet」
住所:京都府京都市北区紫野石龍町39−1
営業時間:商品の受け取り時間12:00〜19:00、ほかディナー営業あり
定休日:不定休
TEL. なし
公式インスタグラムはこちら

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント
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