BY YUMI YAMAGUCHI, PHOTOGRAPHS BY YUKO IIDA
そして翌日、コスタリカでも秘境中の秘境とされる南部のオサ半島に向かった。国内線で玄関口となるプエルト・ヒメネスへ。そこから送迎車に揺られること約45分、約1,000エーカー(東京ドーム約86個に相当)の私営保護区の森に囲まれた「LAPA RIOS(ラパ・リオス)」に到着した。リゾートのロゴマークは、赤に青と黄色がアクセントになった、何とも美しい鳥。日本語でコンゴウインコ、英語でスカーレット・マカウと呼ぶ。「ラパ」とは、この鳥のコスタリカでの呼び名だ。
ロッジの開業は1993年。オーナーが初めてこの土地に来た時、川を赤く埋め尽くすように飛ぶコンゴウインコに感動し、スペイン語で「コンゴウインコの川」を意味する「ラパ・リオス」と名づけたのだった。
生物多様性に富んだコスタリカでは、日本の3分の1以下の小さな国土にもかかわらず、地球上の生物の約5%が生息するという。その半分、約2.5%がなんとオサ半島に生息するのだとか。ラパ・リオスは、奇跡の半島の突端、熱帯雨林に囲まれた海沿いの高台に建つ。17棟のバンガローが点在し、一番遠い部屋だと、メイン棟まで歩いて10分くらいかかる。携帯電話は圏外、部屋にも電話はなく、レセプションとの連絡はトランシーバー。ネットが通じるのはパブリックエリアの一部だけ。でも、満天の星を仰ぎ、野鳥の声で目を覚ます日々は、幸せな時間だった。
宿泊料金には、三食とノンアルコールの飲み物、敷地内でのアクティビティが含まれる。隣接してコルコバード国立公園があり、追加料金でツアーを手配することも可能。だが、真っ赤なコンゴウインコがほぼ100%の確率で見ることが出来るほか、ナマケモノやさまざまなサルや野鳥など、この地域に生息する野生動物のほとんどを敷地の保護区内で見ることができる。
いくつもある無料ツアーの中で、一番のおすすめは、朝と午後に行われるバード・ウオッチングだ。ラパ・リオスには、5人の専属ネイチャーガイドがいるが、私たちを案内してくれたエドウィンは、開業間もない95年からラパ・リオスで働くベテラン。ハウスキーピング担当からガイドになったという。
コンゴウインコなど、野鳥観測の定番スポットは、牧場の近くだった。鳥の好きな木を植えるなどして、彼らがすみやすい環境を作ってきたと話してくれた。エドウィンの指さす先に、真っ赤なコンゴウインコが群れをなしてあらわれた。そして、次の瞬間、真っ青な空に羽ばたいた。