今回のリストは、江戸時代の春画と現代写真のコラボレーション展、ファッションデザイナー、ドリス・ヴァン・ノッテンが選出した現代アーティストによる“解釈作品”展、そして奈良美智が“僕の大好きなせんせい”と敬愛する画家、櫃田伸也の個展

BY MASANOBU MATSUMOTO

『INTERPRETATIONS, TOKYO ー 17世紀絵画が誘う現代の表現』
原美術館

 ファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンは、美術に造詣が深いことでも知られている。フランシス・ベーコンやジェームズ・リーヴといった作家の作品、または中国やトルコの古い装飾様式など、アートがコレクションのテーマになることもしばしばある。

 2009年に東京・青山にフラッグシップショップをオープンさせた際も、自身が所有する17世紀ヨーロッパの画家、エラルート・デ・ライレッセの2枚の絵画を使った、粋な演出を行なった。美術家の堂本右美と写真家の蜷川実花に、その2つの絵を“解釈”した作品の制作をオファーしたのである。こうして完成した2人の作品、そしてライレッセの2枚の絵画は青山店のアイコンとして、いまも店内に飾られている。

画像: エラルート・デ・ライレッセ (左から)《パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う》、《アキレスとアガメムノンの口論》

エラルート・デ・ライレッセ
(左から)《パリスとアポロがアキレスの踵に矢を向け命を狙う》、《アキレスとアガメムノンの口論》

 そして、この青山店がオープン10周年を迎えた今年、日本人作家を招集したライレッセの絵画の“再解釈プロジェクト”が再び行われることになった。今回、ヴァン・ノッテンが最終的に選んだのは、コム デ ギャルソンの2016年秋冬コレクションに自身のアートワークが採用されたことで知られる安野谷 昌穂(あのたに まさほ)、フラクタル図形やビルなどのモチーフを増殖させながら独自の風景を描く石井七歩(なほ)、被写体が侵食し合う、濃密な鉛筆画で世界的に注目を集める佐藤 允(あたる)。3名いずれも、その独自性とともに“同時代性”を備えたアーティストだ。2009年から10年を経た今、彼らによって2枚の絵画がどう新解釈されるのかーー。

画像: (左から)《パリスとアポロがアキレスの踵に 矢を向け命を狙う》を解釈した蜷川実花の作品(タイトルなし)、《アキレスとアガメムノンの口論》を新解釈した堂本右美の《but then I thought...》

(左から)《パリスとアポロがアキレスの踵に 矢を向け命を狙う》を解釈した蜷川実花の作品(タイトルなし)、《アキレスとアガメムノンの口論》を新解釈した堂本右美の《but then I thought...》

画像: 青山店1階レディースフロアに飾られている大庭大介の2枚のアクリル画《Spectrum》 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF DRIES VAN NOTEN

青山店1階レディースフロアに飾られている大庭大介の2枚のアクリル画《Spectrum》
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF DRIES VAN NOTEN

 そのお披露目の場として、東京・品川の原美術館で、3日限りの展覧会を開催。3人の作品に加え、ベースにとなったエラルート・デ・ライレッセの2枚の絵画、2009年の堂本右美と蜷川実花、また青山店に飾られている現代美術家の大庭大介の絵画も合わせて会場に並ぶ予定だ。

『INTERPRETATIONS, TOKYO ー 17世紀絵画が誘う現代の表現』
会期:3月29日(金)〜3月31日(日)
会場:原美術館
住所:東京都品川区北品川4-7-24
開館時間:11:00〜17:00(日曜 〜20:00)
入館料:一般 ¥1,100、大学・高校生 ¥700、中・小学生 ¥500
電話: 03(3445)0651
公式サイト

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