BY JUNKO ASAKA
「サントレッグ」社の代表取締役を務める木下 恵氏は「出発点はシャンプー用のヘアブラシでした」と語る。皮膚が弱く、髪質の細い知人が、バネ秤(はかり)の技術をもとに、髪や地肌を傷つけずに洗えるシャンプーブラシを独自に開発。毛足が柔らかく、それでいてへたらないそのブラシを木下氏がオーダーメイドで製造し、友人知人に渡して喜ばれていたという。
「あまり評判がいいので、それじゃあプロの方に試してもらおう、と何軒かのサロンで使っていただいたところ、お客さまから『ブラシが気持ちいいい! 何を使ってます?』『同じブラシをわけてほしい』というお声が相次いだんです」。そこから販売が始まったシャンプーブラシがたちまち人気を呼び、現在までに累計110万本を販売。その独自の構造で特許も取得している。
昨年6月、その定評あるシャンプーブラシを中心とした、大人の男性のためのライフスタイルブランド「572(ゴーナナニ)」をリリース。572とは、シャンプーブラシ1本に配されたピンの数だ。髪を洗う際、この「572 スカルプシャンプーブラシ」で洗髪時にブラッシングすることで、手や指では届かない毛穴の細部まで洗うことができるという。
「頭皮にある毛穴は4万個。頭髪は10~12万本といわれています。指で洗うと、つねに髪をこすってダメージを与えやすいうえに、この毛穴のへこみに溜まった脂や汚れを十分に洗い出すことができない。572のブラシは、ピンの長さを変え、先端を丸く仕上げることで、髪を過剰にこすらず、毛穴汚れをムラなく洗うことができるうえに、頭皮全体のマッサージをすることによって血行も促進します」と木下社長。水に塗れた髪のキューティクルが開いた段階でブラッシングすることにより、トリートメント剤の浸透があがる効果も期待できる。
じつは昨年「572」の発売についで、キッズ向けのバスグッズブランド「LoZooRo(ロゾロ)」もデビューしている。キュートなクマやキツネなどの動物をモチーフに、ベビー用のヘアブラシや子ども用ヘアブラシ、シャンプーやソープなどがラインナップ。これらのプロダクトデザインを手がけたのは、南青山の「Restaurant 8abllish」ほかを運営する株式会社エイタブリッシュの共同代表であり、絵本『ぼくアポロ』『わたしチャー』を手がけるアーティストととしても活動するクリエイティブディレクターの川村明子さんだ。