季節にふさわしいもの、ときめくものをさりげなく――。ギフトコンシェルジュの真野知子さんが、日本の作り手たちによる素敵な贈りものを紹介する連載第5回

BY TOMOKO MANO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 暮らしの道具として使われてきた「うちわ」。浴衣の帯にはさんで夏祭りに出かけたり、夕暮れ時にあおいで涼む情景は、日本の夏の風物詩。小さな風を送って暑さをしのぐのはもちろん、夏のしつらえとして目でも涼をとる風流な「京うちわ」がこちら。創業300年以上の歴史をもつ『阿以波』の京うちわ、そのルーツは宮廷で用いられた「御所うちわ」にあるという。上質な竹を使い、柄の部分には金彩を施した優美な細工を施してある。竹は丹波、紙は越前・八尾の手漉き楮紙、柄の部分は栂(とが)・杉材を用いるなど、国内産の材料にこだわり、骨となる竹の加工から紙の貼り合わせ、縁取り、仕上げに至るまで、すべての工程が手作業で行われている。

画像: 大輪の朝顔に金色の輝きを添えて。影もまた美しい花を咲かせる 特型両透うちわ「1892 朝顔 G」¥24,000

大輪の朝顔に金色の輝きを添えて。影もまた美しい花を咲かせる
特型両透うちわ「1892 朝顔 G」¥24,000

画像: 淡い水色に銀を添えた、涼やかなうちわ 並型両透うちわ「896 渓流 B」¥18,000

淡い水色に銀を添えた、涼やかなうちわ
並型両透うちわ「896 渓流 B」¥18,000

画像: 古来、うちわは風をおこして魔を払うといわれる縁起物。相手の幸福を願う気持ちとともに贈りたい

古来、うちわは風をおこして魔を払うといわれる縁起物。相手の幸福を願う気持ちとともに贈りたい

 柄が透けて見える繊細な「透かしうちわ」は、先代が考案したもの。家電の技術が発達した現代の暮らしの中で、目で見て涼を楽しむことができる、飾るうちわとしても作られている。透けて見えることでよりいっそうの涼感があり、鮮やかな色合いと華やかな絵柄が花鳥風月を部屋の中に呼び込む。ふうわりとあおげば優しい風とともに、美しい影絵が躍るのもまた一興だ。昔ながらの日本家屋にも、マンションなど現代の暮らしの空間にも合うようにと、サイズやデザインを進化させているというのも老舗らしい心配り。立てかけて飾れば、床の間や玄関を夏の顔に彩る。「今年の夏も暑くなりそうですね。涼やかに夏をお過ごしください」――そんな一筆箋を添えて、贈りたい。

問い合わせ先
京うちわ 阿以波(あいば)
TEL. 075(221)1460
公式サイト

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