昨今は、毎日のように新作ドラマが配信されるが、時間も集中力も限られているので、大人が楽しめる良質な作品を選びたい。『ゲーム・オブ・スローンズ』を生み出したHBOや、まだまだ寡作ながら確実に良作を送り出しているAppleTV+の作品など、今話題のドラマを一気見してパワーチャージを!

BY KANA ENDO

華麗ならざる一族の骨肉の後継者争いーー『メディア王~華麗なる一族~』

 一代で莫大な財を成したローガン・ロイ(ブライアン・コックス)。テレビ局、新聞社、旅行会社、テーマパークなどさまざまな事業を展開する巨大コングロマリットを経営している。そんな帝国の頂点に君臨するローガンが病に倒れることで、4人の子どもたちによる骨肉の後継者争いがはじまる。外部と手を組み買収を仕掛けたり、父親に取り入ろうと猫なで声を使ったり、兄弟を失脚させるために暗躍したりと、金、地位、権力を巡る欲望むき出しの相続争いを描いていく。

画像: 父親のローガン・ロイは、FOXチャンネルやウォール・ストリート・ジャーナルなどを経営する巨大メディア企業の創設者であるルパート・マードックをモデルにしているとも言われている © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

父親のローガン・ロイは、FOXチャンネルやウォール・ストリート・ジャーナルなどを経営する巨大メディア企業の創設者であるルパート・マードックをモデルにしているとも言われている
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「メディア王」というタイトルからもわかるように、本作は現代版の「リア王」とも評されている。もし彼らが現実世界にいたら、大嫌いになってしまいそうなキャラクターばかりなのだが、なぜかぐいぐい引き込まれてしまう。長男のコナーは浮世離れしていて間抜けだし、次男ケンダルは最もまともに見えるが、いざというところでいつもミスをする。三男ローマンは、ソーシャル力しかない、経営の知識ゼロのおちゃらけキャラ。唯一の娘であるシヴォーンは一見政治力に長けているようだが、夫からしてどうもいけ好かない。シヴォーンの夫のトムやローガンの大甥のグレッグなど、脇を固める強烈な個性のキャラクターも本作の魅力のひとつだ。

画像: 本国版のタイトルである『Succession(サクセッション)』は相続や継承者という意味を表す © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

本国版のタイトルである『Succession(サクセッション)』は相続や継承者という意味を表す
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 そもそも父親であるローガンが子どもたちのことを全く信用しておらず、たとえ争っていても家族なのだから……、といったドラマにありがちな展開がないところも、むしろ清々しい。序盤はどのキャラクターにも肩入れすることができずイライラしっぱなしなのだが、次第に手段を選ばず無我夢中で画策する彼らを応援してしまう。2020年のエミー賞ではシーズン2が「作品賞ドラマシリーズ部門」を受賞している本作。果たして誰が後継者になるのか。今後も続いていく大作になる予感がするので、シーズン3が今年2月に配信開始されたこのタイミングで追いついておくのが得策だ。

画像: プライベートジェットやクルーザーなど、豪華なバカンスシーンも見どころのひとつ © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

プライベートジェットやクルーザーなど、豪華なバカンスシーンも見どころのひとつ
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画像: 『メディア王~華麗なる一族~』 シーズン1〜3がU-NEXTにて見放題で独占配信中 © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC. 動画視聴はこちら

『メディア王~華麗なる一族~』
シーズン1〜3がU-NEXTにて見放題で独占配信中
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ソーシャルメディア時代の若者の苦悩を耽美に描く『ユーフォリア/EUPHORIA』

『ユーフォリア』はZ世代が主役のドラマだ。主人公のルー(ゼンデイヤ)は17歳で、幼い頃から不安障害を抱え、それが原因でドラッグ中毒に陥ってしまう。何度リハビリしても、ドラッグで得られる一瞬の多幸感(=ユーフォリア)を求めて元に戻ってしまう生活を送っていた。そんなルーが通う高校にトランスジェンダーのジュールズ(ハンター・シェーファー)が転校してくる。一筋縄ではいかない複雑な事情を抱えた二人は親友になっていく。そんな二人を中心として、時には大人を巻き込みながらドラッグ、セクシュアリティ、暴力、出会い系、SNSといった現代の若者たちを取り巻くさまざまな苦悩を描く。

画像: シーズン1は『ゲーム・オブ・スローンズ』に次ぐHBO史上2番目に最も視聴されたシリーズとなった © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

シーズン1は『ゲーム・オブ・スローンズ』に次ぐHBO史上2番目に最も視聴されたシリーズとなった
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 ディズニーチャンネル出身で明るい優等生子役のイメージが強かったゼンデイヤは、この作品で演技派俳優としての地位を確立した。少年のようなスラリとした体躯を生かして、ドラッグ中毒に悩む女子高生のダークサイドを見事に演じ、エミー賞主演女優賞を最年少で受賞。また、この作品は、ジュールズがトランスジェンダーであるということを特段強調することなく自然に描いているところも注目すべき点だ。ジュールズ役のハンター・シェーファーは現実世界でもトランスジェンダーで、この当事者キャスティングが本作の魅力を深化させているのは言うまでもない。シェーファーのまるで妖精のようなファッションやメイクが音楽と相まって、視聴者も幻想的なユーフォリアに包まれる。

画像: モデルやLGBTQの活動家として活躍してきたハンター・シェーファーは本作で俳優デビュー。初演とは思えない感情が揺さぶられる見事な演技で、存在感を見せつけた © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

モデルやLGBTQの活動家として活躍してきたハンター・シェーファーは本作で俳優デビュー。初演とは思えない感情が揺さぶられる見事な演技で、存在感を見せつけた
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 本作はHBOがA24(注目を浴びる映画制作・配給会社)とタッグを組み、製作総指揮はラッパーのドレイクが務めている。A24ならではの、叙情的でまるでミュージックビデオのようなキラキラした詩的な映像で構成されており、それは本作においてある意味“救い”となっている。というのも、登場人物はティーンだが決して明るいだけの作品ではなく、内容は深く哀しく、見ていて心が痛くなるシーンもある。そんなダークな内容をスタイリッシュな映像とビリー・アイリッシュ、BTS、ドレイク、リル・ウェイン、NAS、Lizzo、メーガン・ザ・スタリオンといった今を生きるアーティストたちの楽曲が癒やしてくれる。人生には正解がない。それでも自分が信じた道へ傷つきながら進んでいく若者たちの決断に、最高のカタルシスを味わえるだろう。4月22日よりシーズン2が配信されたばかりの絶好のタイミングにぜひ。

画像: ゼンデイヤやハンター・シェーファーの他、シドニー・スウィーニー、ジェイコブ・エロルディ、アレクサ・デミー、アンガス・クラウド、バービー・フェレイラなど今をときめくZ世代俳優が勢揃いする © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC.

ゼンデイヤやハンター・シェーファーの他、シドニー・スウィーニー、ジェイコブ・エロルディ、アレクサ・デミー、アンガス・クラウド、バービー・フェレイラなど今をときめくZ世代俳優が勢揃いする
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画像: 『ユーフォリア/EUPHORIA』 シーズン1/2がU-NEXTにて見放題で独占配信中 © 2022 HOME BOX OFFICE, INC. ALL RIGHTS RESERVED. HBO® AND ALL RELATED PROGRAMS ARE THE PROPERTY OF HOME BOX OFFICE, INC. 動画視聴はこちら

『ユーフォリア/EUPHORIA』
シーズン1/2がU-NEXTにて見放題で独占配信中
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時代に合った理想のリーダー像を描く『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

 アメリカ、カンザス州出身で大学アメフトのコーチをしていたテッド・ラッソ(ジェイソン・サダイキス)は、サッカーのルールを知らないにもかかわらず、とある理由でイギリスのプロサッカーチームの監督をすることに。未経験の監督を小バカにする選手たちや不信感しか持たない地元ファンを前に、ラッソ監督は悪戦苦闘しながらも常に明るくポジティブな姿勢で問題を解決し、徐々にチームや地元民の心を掴んでいく。キャストは『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』にも出演し、本作でゴールデン・グローブ賞を受賞したジェイソン・サダイキスや『ゲーム・オブ・スローンズ』でセプタ役を怪演したハンナ・ワディンガムなど。

画像: 2021年のエミー賞で「作品賞コメディシリーズ部門」など合計7賞を獲得した本作。面白さは折り紙付き ©APPLE TV+

2021年のエミー賞で「作品賞コメディシリーズ部門」など合計7賞を獲得した本作。面白さは折り紙付き
©APPLE TV+

 このドラマの最も魅力的な点はテッド・ラッソ監督の人間性だ。オヤジギャグばかり言う陽気なアメリカのおじさんかと思いきや、実に懐の深い人物。そもそもサッカーのルールを知らないにも関わらず、監督のオファーを受けたこともふざけているのだが、冗談を言う傍らで、選手やチームスタッフ一人ひとりをしっかり見ており、折に触れて的確なアドバイスをする。サッカーのルールを知らないラッソ監督に、選手は不信感を抱き、当然最初は試合に勝つことができない。だが、監督が意見箱を設け、シャワーの水圧が弱いといった小さな問題から一つ一つ解決していくことで、徐々に信頼を得て、チームの団結力が高まっていく。つまりリーダーに必要なのは経験や知識ではなくて、誠意と行動力なのだ。

画像: 従来のドラマでは敵対しがちな妙齢のバリキャリ女性と若いモデル女子が、恋愛やキャリアの悩みで見事に支え合うシスターフッド要素にも心が温まる ©APPLE TV+

従来のドラマでは敵対しがちな妙齢のバリキャリ女性と若いモデル女子が、恋愛やキャリアの悩みで見事に支え合うシスターフッド要素にも心が温まる
©APPLE TV+

 ラッソ監督の影響で、鼻につくスター選手も品位に欠ける大金持ちの元チームオーナーも、だんだんと良い人へと変わっていき最後にはホロリとさせられる。とはいえ、善人ばかりで退屈するなんてことはなく、緩急をつけた演出も非常に巧妙だ。例えば、ラッソ監督が、スポーツ業界のおかしな慣例やちょっと気取ったイギリス文化を「紅茶って茶色いただのお湯じゃん」といったようにズバズバと突っ込んでいくところは実に痛快。ユーモアたっぷりなのに心温まり、見終わるとすっきり爽快感があるドラマなのだ。軽妙な会話が決め手なので吹き替えで見るのもおすすめ。目下シーズン3の撮影中とのことなので、今後の展開に期待が高まる。

画像: 一話30分程度と、昨今のドラマのなかでは短めなので、つい次から次へと続けて見てしまう ©APPLE TV+

一話30分程度と、昨今のドラマのなかでは短めなので、つい次から次へと続けて見てしまう
©APPLE TV+

画像: 『テッド・ラッソ: 破天荒コーチがゆく』 Apple TV+にてシーズン1/2が配信中 ©APPLE TV+ 動画視聴はこちら

『テッド・ラッソ: 破天荒コーチがゆく』
Apple TV+にてシーズン1/2が配信中
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※今回紹介している3作品はすべて2022年4月28日時点での配信作品です

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