BY HIROKO NARUSE, PHOTOGRAPHS BY HIROKI WATANABE AT LATERNE, STYLED BY YUMI TAKASHIBA, FORTUNE-TELLING BY TAMAKO SUISHO
占術研究家の水晶玉子氏は2025年をどう読み解くのだろうか。来年は「確実に世の中が変わった」と実感することが増えていく一年になりそうだという。
「2024年は十干の占いでは『甲(きのえ)』で"木の陽の気" を表す年でしたが、2025年は『乙(きのと)』で"木の陰の気" を示す年。甲が一本の樹木だとすると、来年の乙は草や花が草原に大きく広がるように、目に見える変化が世界に広がっていくというイメージなんです。さらに来年の干支の『巳』という字は鎌首をもたげた蛇の形を表していて、何かが起立していく、はっきりとした形が見えてくるという年になりそうです」
オリエンタル占星術でいうと、来年は「柳宿(りゅうしゅく)」。「柳や草原の草は、嵐が来てもしなってやりすごします。2025年は『柔軟性』というのがとても大きなポイントなんです。柳も乙も巳の字もみんな、ニョロニョロと、柔軟なものがイメージされる。長くて柔らかくて、ちょっと流れるようなものが重要なキーワードになってくる一年です」
西洋占星術では、幸運の星の木星が、6月10日に蟹座に移る。「蟹座は自分の故郷や家庭、心のふるさとも表していて、とてもノスタルジックな感性で何かを選んでいく、ということが起こってくる。木星が、好奇心を広げる双子座を進んでいく間に増えた選択肢の中から、何かを守ろうという気持ちが強くなり、何かが選ばれていくという感じ。伝統とか古いものとか、自分のルーツ、原点といったことを感じるときなので、古いものからインスパイアされて、今風に解釈されたものが受け入れられてくると思います」
「そして、限界や現実を表す土星が5月25日から9月1日までの約3カ月、魚座から牡羊座に入るんです。さらに夢と理想を表す海王星も、4月30日から10月22日まで、ほぼ一緒に牡羊座に入る。もうひとつ大きいのは、天王星という改革の星が、一時的に7月7日から11月8日までの間、牡牛座から双子座に入ること。こういった動きの遅い星の、星座間の移動がたくさんあり、社会のイメージや空気感というようなものががらっと大きく変わってくるんです」
それでは、実感として何が一番変わるのだろうか?
「世の中の気配が根本から動いて、"物よりも情報" とか、"形あるものよりも知識" というような感じで、価値観が大きく変わってくる。たとえば時計でも、ノスタルジーの観点から、老舗のオーソドックスなデザインだけれど実は中身は昔とは機能がまったく違うといった、伝統と革新が融合しているようなものが注目されてくるのではないでしょうか」
"風の時代は2020年に始まった"と言われているが、実際のところ、まだ実感できないという人も多いのではないだろうか。
「2025年は、それがどんなものかというのがよく見えてくる。風の時代の始まりは、すなわち土の時代の終わり。土の時代の象徴は、ずばり経済なんです。だからある意味では時計も、富やステータスの象徴だった。でも風の時代は、もう少し感性が軽やかになってくる。その軽やかさって、たとえばフェアトレードやSDGsのような視点で現れてくるのかもしれません。今までは高価な宝石をただこれみよがしに使ったりするのがいいという価値観もあったけれど、そういうのはもう違うんじゃないか、という感性が現れてくるのが風の時代です」
そんな激動の時代を進むにあたって心にとどめておきたい、水晶氏からのメッセージを最後にお届けする。
「世の中が大きく変わっていくときに、"私の方針はこうだから" とか"私は今までこうやって生きてきたから" とこだわっていると、生きづらくなってしまいます。そこを『柔軟に』というのが2025年の豊かな生き方。自分自身が納得できていれば、"あのときはこうでしたが、今はこういうふうに思います" と言うのが2025年らしいんです。そんな軽やかさや自由さが、実は2025年を一番生きやすくするんじゃないかと思います。"みなと同じなら安心" ではなく、個々の自立した意思が、価値観をよい方向に転換させる。富や財力ではなく、筋の通った理性とか理論でしか束ねられない、しなやかな考え方のほうが、まっすぐで硬いものよりも実は強い。"柔よく剛を制す" の精神ですね。心の持ち方一つで日々の生き方も変わってきます。時計も、単に高価なものだからいいというのではなく、人が丹精込めて作り、そこに込められた思いや物語、職人技みたいなものにも2025年は注目してほしいですね。スマホがあるから時計はなくてもいいという人も増えてきているけれど、時代が大きく転換していくときだからこそ、時が移ろっていく様子が目に見えるものを身につけるというのは、日々の一歩を後押ししてくれると思います」
カルティエ「ラ パンテール」ウォッチーー2025年に必要とされる”しなやかさ”をパンテールで表現した逸品
自立した個性を体現するパンテールが主役の、ブレスレットウォッチ。草原を自由に駆けめぐる姿は、2025年のキーワード「しなやかさ」そのもの。エメラルドの瞳とブラックラッカーの斑点をまとったパンテール モチーフの、輝かしい時を告げるかのようなデザインが目にも鮮やかだ。イエローゴールドのブレスレットはきわめて薄く軽やかに仕上げられ、腕にまとわりつくような極上のフィット感を生み出す。「パンテール」ウォッチが誕生したのは1914年。それから現在に至るまでさまざまな表情を見せながらも、一貫して柔らかな曲線美をうたっている。2025年はこの時計がもつ柔軟性を、心の中にいつも携えていたい。
ヴァン クリーフ&アーペル「レディ アーペル ジュール ニュイ ウォッチ」ーー時の移ろいを身に着けて、新時代の波に乗る
天空の世界をかたどった時計が、悠久の時を告げる。それぞれにダイヤモンドとイエローサファイアがセットされた月と太陽が、24時間で一周する回転ディスクの動きとともに、地平線から昇ったり沈んだりする。その様子は、時代が移り変わってゆく2025年を予言するかのようだ。イタリア・ムラーノ島で作られた濃紺のアベンチュリンガラスには、繊細なオープンワークによって、ダイヤモンドの星々が埋め込まれている。ギヨシェが施されたマザーオブパールが放つ白い輝きが、未知の時代を歩む者の心に希望の光をもたらす。
ロレックス「パーペチュアル 1908」ーー古くから愛され続ける風貌に最新の技術を搭載した本格派ウォッチ
1908年はブランド名が登録された年。その記念すべき数字を名前に冠したモデルは、初代オイスター パーペチュアルがもつクラシックでありながらモダンなスピリットを、現代風に再解釈している。スモールセコンドを起点に、ライスグレイン モチーフのギヨシェが広がる文字盤からは、伝統的な時計製造技術へのオマージュが感じられる。それをモダンなアイスブルーで彩り、きわめて高いスキルの証である、ポリッシュ仕上げのプラチナケースで包んでいる。ムーブメントは、最新技術を集約したキャリバー7140を搭載。物事の原点回帰が予想される2025年こそ、古きよきものにインスパイアされて誕生した、ノスタルジックな風貌と技術の進化が融合する本格ウォッチに注目したい。
ブレゲ「ペルル アンぺリアル」ーーダイヤとパールが織りなす極上のジュエリーウォッチが幸運を後押し
風の時代の影響が本格的に現れる2025年は、物事の背景にあるストーリーが注目されるようになる。この時計はブレゲの重要顧客だったナポレオンの妻、ジョゼフィーヌがオーダーした時計に着想を得て誕生した。トータル5.7ct以上のダイヤモンドを用いた、彼女の豪奢な装いを思わせるジュエリーウォッチを優雅に魅せる文字盤のマザーオブパールには、今や稀少となった手彫りのギヨシェが施されている。ケースの要に配されたパールは、2025年のラッキーアイテム。時計のもつ優美でリュクスなパワーが、幸運を後押しする。
パテック フィリップ「TWENTY~4 」ーー自立する女性像を体現するシリーズの25周年記念モデルが華やかに登場
1999年に発表された「TWENTY~4 」シリーズは、女性の24時間をカバーするというコンセプトで、自立する女性たちに拍手をもって迎えられた。その誕生25周年を記念して作られた、深みのあるパープルカラーが印象的な新作モデルは、時を超越した唯一無二のエレガンスを巧みに表現。文字盤には同心円状の波模様がエンボス加工され、そこに何層にも重なるラック塗装を施して、奥行きのある美しいパープルカラーを生み出している。この色とローズゴールドの赤みをまとった組み合わせは、2025年の幸運色レッドの恩恵を期待できそう。真摯に作られた時計に込められた匠の技と人の思いを大切に読み解くことが、風の時代の開運の鍵になるだろう。
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