BY LAURA MAY TODD, TRANSLATED BYJUNKO HIGASHINO
今年5月、ピッチョーリは、デムナ・ヴァザリアの後任としてバレンシアガの新クリエイティブ・ディレクターに任命された。クリストバル・バレンシアガの彫刻的なフォルムを愛するデザイナーとして知られていた彼が抜擢されたのは、ある意味当然のことかもしれない。
「クリストバルとはつながりのようなものを感じていた」と語る彼は、最近クリストバルの生誕地、スペイン北岸の港町ゲタリアを訪れた。この訪問が、10月頭に発表されたバレンシアガのファースト・コレクションの着想源にもなったようだ。「丘の上にある彼の生家から海を眺めていたら、故郷のネットゥーノにいたときと同じ感覚が胸に蘇ってきたんだ」

「7 月、デムナが最後に手がけたバレンシアガのオートクチュールコレクションのショーを観に行くところ。彼のクリエーションに深い敬意を抱いている。僕がつくりだすバレンシアガは違うものになるが、彼の世界観を完全にリセットするつもりはない。目指すのはバトンを受け継ぐこと」
KUBA DABROWSKI/WWD/GETTY IMAGES

「2018年に始めたインスタグラムの初投稿は、メトロポリタン美術館の別館で見たクリストバル・バレンシアガのウェディングドレス。ルーマニアの彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシの言葉『シンプルさとは、解決された複雑さである』をキャプションに。これは僕自身の創作の理念にも。シンプルさとは最初から得られるものではなくたどり着く場所だから」
KUBLIN/BALENCIAGA ARCHIVES PARIS

「バレンシアガのショーのティーザー用に『B』を描いているところ。腕のタトゥには思い入れがある。ヘビのウロコ模様はフラ・アンジェリコの絵の天使の翼がヒントに」
COURTESY OF PIERPAOLO PICCIOLI
「バレンシアガ就任に際し、自分のビジョンを伝える手紙を書いた。クリストバルとバレンシアガのレガシーに対する敬意と、これまで僕を支えてくれた人々や、このメゾンを今の形にしてくれた人々への感謝の気持ちを示すために」
COURTESY OF PIERPAOLO PICCIOLI

「バレンシアガに加わる直前に描いたスケッチ。控えめで普遍的な白いシャツにクリストバルの有名なドレスのカッティングを組み込んでみた。でも、レガシーを継承するからといって、クリストバルの作品をそのまま再現しようとは思わない。オマージュを捧げるだけでは今の時代の人の心に響くものはつくれない」
COURTESY OF PIERPAOLO PICCIOLI

「この作品はルーチョ・フォンタナの"絵画"というより"行為"と言える(アルゼンチン系イタリア人のアーティスト、フォンタナはキャンバスを切り裂くという、斬新な手法で知られている。この写真は1964年にその行為の瞬間を捉えたもの)。切り裂くその一瞬のうちに、彼は新しい空間、宇宙、表現形式を生みだしていた。これは単なる作品ではなく、彼の知性そのもの。こういう部分に心が引き寄せられる」
UGO MULAS, “LUCIO FONTANA, L’ATTESA, MILANO,” 1964 © UGO MULAS HEIRS, ALL RIGHTS RESERVED
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