BY YUKIKO HIRANO
秋は芋の季節──そして今回の主役は、里芋。その歴史は古く、稲作が始まる以前から食され、縄文時代には主食だったと考えられている。それだけに日本の食文化との関わりは深く、お月見、芋煮会などの行事にも欠かせない野菜だ。「泥つきでぬめりのある里芋を料理するのは少々身構えてしまうかもしれませんね。でも、ただ蒸して、塩や味噌を添えるだけでも、よい酒のつまみになります。合わせるお酒は日本のシードルを選びました。ほくほくねっとりとした里芋に清涼感のある軽やかな泡の取り合わせは、定番にしたいおいしさです」(平野さん)
レシピ1:里芋フライ
外はサクサク、中はねっとり。揚げたての熱々のところにスパイスをつけていただく。揚げ物とシードルの相性の良さは想像以上。どうぞお試しあれ!
<材料 2人分>
里芋4個、片栗粉適量、揚げ油適量、
A [塩小さじ1、クミンシード(粒)小さじ1、カレー粉小さじ1/3]
<作り方>
1 里芋は皮付きのまま柔らかくなるまでゆで、皮をむく。
2 半分に切り、片栗粉を全体にまぶす。
3 180度の揚げ油でこんがりとするまで揚げ、[A]を添える。
里芋のグラタン
里芋のとろみを生かし、小麦粉を使わないホワイトソースで作るグラタン。柔らかく煮えた里芋と長ねぎが、まろやかに絡まる。ほんのり効かせた白味噌が、さりげないアクセントに。
<材料 2人分>
里芋5〜6個(350g)、鶏胸肉100g、長ねぎ1本、牛乳400cc、白味噌大さじ2、バター大さじ1、ナツメグ、塩各少々、ブルーチーズ、ナチュラルチーズを合わせて60g
<作り方>
1 里芋は洗って乾かしてから、皮をむき、1センチの輪切りにする。長ねぎは斜め1センチ幅に切る。鶏胸肉は一口大に切り、塩をふる。
2 鍋にバターを熱し、長ねぎを加えて塩少々をふり、炒める。油が回ったら、鶏肉を加えて弱火にし、表面の色が白っぽくなるまで炒める。里芋を加えて炒め合わせ、牛乳、白味噌を加えてふたをしないで、里芋が柔らかくなるまで煮る。塩、ナツメグを加えて味をととのえる。
3 チーズをのせて、オーブントースターでこんがりするまで、または220度のオーブンで約15分焼く。
【今月のお酒セレクト:もんのすけ農園 シードル】
岩手県花巻市の自家栽培サンふじ使用の辛口シードル。少し濁ったレモンイエローで、完熟したりんごの香りが漂う。「近年、日本のシードルはめざましく変わってきました。みずみずしい高品質の日本のりんごで作られたシードルは、すっきりとした繊細な味わいで、様々な料理によく合います。秋のペアリングにもってこいですね」(平野さん)
平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
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