京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!と、長きにわたり業界の人々がブ厚い信頼を寄せる、アマジュンこと天野準子さん。今昔とりまぜ、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを教えてもらいます。第28回は、「亀末廣」をご案内します。

TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

 実りの秋到来!秋の味覚はいろいろあれど、やっぱり気になるのは栗。京都の老舗和菓子店や人気パティスリーでも栗の菓子が登場し始める今月は今しか楽しめない栗のスイーツを紹介。第2弾は創業200年を超す和菓子の老舗「亀末廣」をご案内します。

烏丸御池「亀末廣」

画像: 9月末から1ヶ月ほど店頭に並ぶ「栗きんとん」¥500

9月末から1ヶ月ほど店頭に並ぶ「栗きんとん」¥500

 文化元年(1804年)創業、7代続く和菓子店。二条城や御所に菓子を納めていた由緒正しい老舗であり、間口の広い堂々とした店構えからも風格が漂っている。今の時代、店を訪れずして商品を手に入れられることが増えたが、こちらはいまだ支店を持たず、ネット販売も行わず、一対一の商いが大切にされている。

画像: 創業当時の外観を残す浅瓦葺きの京町家

創業当時の外観を残す浅瓦葺きの京町家

 代表銘菓「京のよすが」をはじめ、端正な佇まいの菓子を求め、一年を通して茶人や粋人に支持される店だが、9月も後半になると「もうそろそろ栗は始まっていますか」という問い合わせが増え、一層にぎわいをみせる。

画像: 四畳半の茶室に見立てた杉の箱に季節の干菓子や半生菓子など詰め合わせた「京よすが」をはじめ、店頭には菓子の見本が並んでいる

四畳半の茶室に見立てた杉の箱に季節の干菓子や半生菓子など詰め合わせた「京よすが」をはじめ、店頭には菓子の見本が並んでいる

画像: 包装紙は末広(扇)に亀模様。平ひもの赤も効いている

包装紙は末広(扇)に亀模様。平ひもの赤も効いている

 こちらの栗きんとんは、こしあんを餡玉に栗と備中白小豆を使った柔らかなそぼろ餡が纏わせてあり、なめらかな口当たりに。しっかり甘いが、その甘さが栗を引き立て、ほのかな苦みなど、和栗本来の味が存分に楽しめる。

画像: 今年は9月25日から店頭に並んだ栗蒸し羊羹「竹裡(ちくり)」¥3,800

今年は9月25日から店頭に並んだ栗蒸し羊羹「竹裡(ちくり)」¥3,800

 そして、栗きんとんと並び、今の時期に人気なのが、栗蒸し羊羹「竹裡(ちくり)」。栗きんとんは上生菓子のなかでも崩れやすく、京都土産にするには気を遣うが、栗蒸し羊羹「竹裡(ちくり)」は発送も可能だ。

画像: 栗蒸し羊羹は竹の皮に巻かれた状態で包丁を入れて食べる分だけカットするのがおすすめ。皿に盛りつける際は、竹の皮を巻いたままでも、皮を取ってからでも、お好みで

栗蒸し羊羹は竹の皮に巻かれた状態で包丁を入れて食べる分だけカットするのがおすすめ。皿に盛りつける際は、竹の皮を巻いたままでも、皮を取ってからでも、お好みで

 1本に10個以上、和栗が使われていて、どこを切っても栗がゴロゴロお目見え。小豆のさらし餡に小麦粉と葛粉、砂糖を混ぜて蒸し上げた羊羹はむっちりとした食感で、ホクホクの栗とも好コントラスト。練り羊羹よりもあっさりと、甘ったるさもなく、甘いものが苦手な人も親しみやすい味わいだ。

画像: 昔の屋号は「亀屋末廣」だったそう。こちらからのれん分けした和菓子店もあり、その店の屋号にも”亀”がつけられている

昔の屋号は「亀屋末廣」だったそう。こちらからのれん分けした和菓子店もあり、その店の屋号にも”亀”がつけられている

 栗きんとんも栗蒸し羊羹も早ければ10月いっぱい、遅くても11月初旬には終了してしまうので、お早めに!

画像: 店内ではディスプレーを見るのも楽しい。和三盆製の干菓子「お千代宝(おちょぼ)」と松葉

店内ではディスプレーを見るのも楽しい。和三盆製の干菓子「お千代宝(おちょぼ)」と松葉

亀末廣
住所:京都府京都市中京区 姉小路通烏丸東入車屋町
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜、祝日
TEL. 075-221-5110

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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