TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
寒さが厳しくなる1月。隣接する大阪から遊びに来た友人たちから「京都、寒すぎひん?」と、言われることも多く、足元からじんじんと寒さを感じる京都の底冷えは堪える。そこで、今月は冷えたカラダに染み渡るあたたかい料理を紹介。第1弾は「千丸屋」の湯葉鍋をご案内します。
四条堺町「千丸屋」
![画像: 「大名物 湯葉鍋」¥2,400。炊き込みごはん、ゆば汁が付く](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/e5a5a44427c6397c9578b595e70b9ab6ba07a22c_large.jpg#lz:xlarge)
「大名物 湯葉鍋」¥2,400。炊き込みごはん、ゆば汁が付く
「千丸屋」は文化元年(1804年)創業、京都の各宗総本山御用達の湯葉の老舗だ。もともと食事処はなく、物販のみだったが、6年前から売り場内にイートインスペースを設け、「大名物 湯葉鍋」が始められた。
![画像: イートインスペースは、湯葉を販売している売り場のすぐ隣り](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/57391a1597df6e5100693e59c8a9de345e58a80b_large.jpg#lz:xlarge)
イートインスペースは、湯葉を販売している売り場のすぐ隣り
テーブルに運ばれてきた湯葉鍋のフタを開くと、平べったい湯葉が鍋一面を覆っているそのビジュアルに驚かされる。ぐつぐつ煮えた出汁と湯気で湯葉が膨れ上がる様子も楽しく、動画を撮る人も多いそう。
![画像: 鍋の具材がまったく見えない湯葉で覆われた鍋](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/47573fafa44d2fe3ee2b5508156943eab788a754_large.jpg#lz:xlarge)
鍋の具材がまったく見えない湯葉で覆われた鍋
平湯葉をめくると、鶏のつみれや野菜、形や巻き方が違う3種類の湯葉が現れる。出汁自体には調味料で味をつけず、昆布出汁でシンプルに炊かれていて、昆布の旨みを吸った湯葉は、甘めの醬油出汁と相性抜群だ。また、昆布出汁を入れた深皿も用意されていて、塩を加え、湯葉をくぐらせて食べるとよりさっぱり。湯葉のおいしさをダイレクトに味わえる。
![画像: 手前は湯葉の炊き込みご飯。2つの取り皿には昆布出汁と醬油出汁が入っている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/ce490b48e268c627303d8573ddfc4c41b2a9f79f_large.jpg#lz:xlarge)
手前は湯葉の炊き込みご飯。2つの取り皿には昆布出汁と醬油出汁が入っている
最近は、刺身のようにいただく生湯葉が人気だが、古くから精進料理や京料理で使われていたのは乾燥湯葉であり、こちらの鍋に入っているのもすべて乾燥湯葉だ。
![画像: 煮炊き物や吸い物、鍋のほか、揚げて湯葉チップスにしてもおいしい乾燥湯葉](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/c1e525c8b56ef46bec15323f8d1a751cfa96fd03_large.jpg#lz:xlarge)
煮炊き物や吸い物、鍋のほか、揚げて湯葉チップスにしてもおいしい乾燥湯葉
京都の家庭でも、卵と炊いたり、魚や野菜と炊き合わせにしたり、昔は食卓に登場していたが、最近は乾燥湯葉離れが進んでいる。
「千丸屋」で湯葉鍋を提供するようになったのも「どうやって食べたらいいかわからない」「味の想像がつかない」という声が多かったことがきっかけだそう。
呉汁(豆乳)を加熱し、表面にできた薄い膜を職人さんが一枚一枚、引き上げ、乾燥し・・・未だに手作業で作られる京湯葉は、薄く、口当たりも滑らか。ぐつぐつ炊けば、出汁をぐんぐん吸い、合わせる具材や調味料で味が変化していくのもおもしろい。
![画像: 出汁用の昆布や醬油も入っていて、家庭で簡単に湯葉鍋を楽しめるセット4~5名分 ¥3,510](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/6d32b36af6fc15fce15590d72c0b38884cf7d39a_large.jpg#lz:xlarge)
出汁用の昆布や醬油も入っていて、家庭で簡単に湯葉鍋を楽しめるセット4~5名分 ¥3,510
湯葉は、高タンパク質、低カロリーな健康食品であり、店でいただく場合、鶏のつみれを抜いてもらえば、ヴィーガン鍋にも。
「鍋を食べたい」と思っても、予約が必要だったり、2名以上でないと注文できない場合が多いが、こちらは席が空いていればすぐさま入れ(とは言え、予約がベター)、2名以上でも一人ずつ小さな鍋で提供してもらえる気軽さも魅力だ。
![画像: 生湯葉は昔からあるが、冷蔵庫の普及で一気にメジャー化したそう](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/95c31aeeb3af0c3428a0e839c6eeab89152ee77f_large.jpg#lz:xlarge)
生湯葉は昔からあるが、冷蔵庫の普及で一気にメジャー化したそう
![画像: 錦市場のすぐ近く。二階には虫籠窓も残る町家造りの立派な店構え](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/12/30/ec8f243be4f6a296ff2ac10b54378201126cea00_large.jpg#lz:xlarge)
錦市場のすぐ近く。二階には虫籠窓も残る町家造りの立派な店構え
「千丸屋」
住所:京都市中京区堺町通四条上ル八百屋町541
営業時間:10:00~18:00(イートインは10:30~15:00)
定休日:水曜
TEL. 075-221-0555
公式サイトはこちら
![画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/06/05/0c67496d645a986172b4a1df40c0c909e5eb278e_large.jpg#lz:orig)
天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント