TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
五条「STANDING OVATION」

大正時代に建てられた京町家の一室を改装
京都には昔から酒場が集合した“会館”と名付けられた建物があり、そこで飲むことを“酒場飲み”と呼ぶほど親しまれている。
今回紹介する「STANDING OVATION(スタンディングオベーション)」は今年2月に誕生した「湯浅会館」内にあり。飲食店のテナントが入った建物というと大きなビルを想像するが、“会館”は木造建築の町家内を分割して飲食店が入っていることが多く、「湯浅会館」も大正6年に建った湯浅さんの屋敷を利用。現在、6店舗の飲食店が営業している。

以前は湯浅さんの家だったことから「湯浅会館」と名付けられたそう
「STANDING OVATION」は、「湯浅会館」の近くにある「ハシヤとナカセ」の2号店として今年5月にオープンした。「ハシヤとナカセ」は、イタリア料理店でみっちり腕を磨いた料理人・端谷さんとサービス担当の中世さんによる居酒屋で、ボーダレスな料理と気取らない雰囲気で愛されているが、「STANDING OVATION」はよりカジュアルに。立ち飲みオンリーで、お酒に合うひねりの利いた料理を提供している。

炭火で焼いた鯖をほぐし、トマトやスパイスで和えて揚げたピザ生地で挟んだ「サバサンド」1個¥400
「ラム焼売」や「鰻とゴルゴンゾーラとお米の春巻き」など、イタリア料理出身ながら、和・洋・中・アジアをミックス。どの料理も小ポーションで、一人飲みにもうれしい限りだ。

鴨肉も一人でも食べきれる少量で焼いてもらえる。肉汁したたり、火入れも抜群な「鴨ロースの炭火焼き」¥600
さらに、カウンター内に炭火の焼き場を設け、「藁焼き鰹」や「肉詰め椎茸」など、立ち飲み店では珍しい炭火焼き料理をいただくことができる。

酒盗の塩気と旨みにお酒が進む「あおさのりのポテサラ酒盗のせ」¥500
「“お酒好き”の“お酒好き”による“お酒好き”のための立ち飲み屋」をコンセプトにしていて、ソフトドリンクがないメニュー表にもその意思が伝わってくる。アルコールは種類豊富にそろい、「立ち飲みなので高くならないようにがんばっています」と、ナチュラルワインもグラス¥600〜楽しめる。

格子戸を開けて店内へ。オープンキッチンのカウンターでは、12人ほど立ち飲みできる
最寄りの地下鉄五条駅から京都駅までは1駅とアクセスも良く、午後4時からオープンしているので、帰路に就く前のさく飲みにもちょうどいい。新幹線でよく寝られそう!

中庭や蔵を有する2階建ての立派な京町家
「STANDING OVATION(スタンディングオベーション)」
住所:京都市下京区高倉通五条上る亀屋町172 湯浅会館1F
営業時間:16:00〜23:30LO
定休日:日曜、ほか不定休あり
TEL. なし
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天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント
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