TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
丸太町「CHINA TONGUE」
国内外からツーリストが訪れ、有名観光地は、朝早くから大賑わい。おのずと朝食需要も増え、朝食を出す店も増加中だ。
2023年8月にオープンした中華料理店が、2024年2月、朝食から楽しめる香港スタイルのオールデイダイニング「CHINA TONGUE」にリニューアルした。
店主・佐野央典さんは、香港の飲食店グループで6年間、エグゼクティブシェフとして活躍。日本人好みに寄せない、ひとクセ、ふたクセある本場の味が楽しめると評判だ。
朝食メニューは、現地の麺粥店に倣い、汁麺や香港粥をラインナップ。一番人気の中華粥は、貝柱と鶏のダブルスープをベースに、米の花が開くまでくたくたに炊き、寝起きの体に染み渡るおいしさ。花椒香る高菜やピータン、ゆで鶏、油条などトッピングも多彩で、食べ飽きず、ひと口ごとに味の変化を楽しめる。
丸太町「CHINA TONGUE」
住所:京都市中京区鏡屋町51-1
営業時間:7:30~11:00(10:30LO)、12:00~15:00(14:30LO)、17:30~21:00(20:30LO)
定休日:不定休
TEL. 070-1775-2909
烏丸鞍馬口「TOM」
2023年9月にオープンした「TOM」は、朝と昼のみ営業しているタイの蒸しスープ専門店だ。
昨年の春頃、「目黒にある『タイ料理 みもっと』が京都にできるんでしょ」と、東京に住むフーディーの友人が教えてくれた。
鴨川沿いには、京都の夏の風物詩である川床が立ちならび、遠くには比叡山をはじめ、山々が広がり、古都の風情溢れる景色が楽しめる。
その言葉通り、2023年5月、京都に「タイ料理 みもっと」の新店「MOT」がオープンした。オーナーシェフのみもっとさんは、東京と京都を行ったり来たりし、自身が京都にいる日曜と月曜のみ店を開くスタイルを取っている。そのため、店主不在の5日間を使い、「TOM」としての営業を始めたそう。
店を開いた2012年頃は、京都にはまだ立ち飲み店が少なく、”材木店で飲む”というシチュエーションも話題になり、一気に人気店となった。
日本の旬を取り入れたイノベーティブなタイ料理をコースで提供する「MOT」とはまったく趣向を変え、「TOM」では、バンコクの蒸しスープの店をオマージュ。
「京都は朝ごはんの文化が浸透している街。私の大好きなタイの蒸しスープを知ってもらうのにもぴったりだと思いました」と、みもっとさん。
定番の「チキンの薬膳スープ」は、蒸し仕上げることで、にごりのない、澄んだスープをキープ。ロンガンや淮山(乾燥山芋)、クコの実など、薬膳素材も入っていて、寝起きの体に染み渡る滋味深い味わいだ。
蒸しスープのほか、サイドメニューには、”蒸し”つながりで、中国の蒸しパン・花巻や中華肉ちまきも楽しめる。
烏丸鞍馬口「TOM」
住所:京都市上京区上御霊前通烏丸東入ル上御霊前町409-2
営業時間:8:00~14:00LO
定休日:日曜・月曜
TEL. なし
※支払いはクレジットカードまたは電子決済のみ
河原町今出川「イルランポ」
今年1月にオープンした「イルランポ」も朝9時30分から営業しているイタリアンバール。
オーナー田中春奈さんは、かつて河原町三条で同名のバールを営んでいたが、夫の転勤で広島へ移住。この度、6年ぶりに京都に戻り、場所も新たに復活を遂げた。
新たに店舗を構えた場所は自宅の1階。京都御所にほど近い住宅街にあり、看板はあるものの外観はほとんど家!中もうかがい知れず、一見さんには少し入りづらいが、扉を一度開ければ、居心地抜群だ。
先日は、京都旅の最終日の朝に訪れた女性一人客が「ここで朝食を食べてから街中を回ろうと思っていたんですが、このまま飲みます」と、朝からワインの杯を重ねていったとか・・・。
朝食メニューは、イタリア・ロマーニャ地方名物の薄焼きパン、ピアディーナがメインに。
マダムが広島に住んでいた時に、「やまのまんなかだ農園」の無農薬のベビーリーフと出会い、そのおいしさに感動。「このベビーリーフを京都の人にも知ってもらうには、ピアディーナで巻いて食べてもらうのがいい」と、店の看板メニューに決定。
ピアディーナを注文すると、ベビーリーフがこんもり盛られて出され、塩気の効いたプロシュートと共にいただけば、ベビーリーフの野性味溢れる生き生きとした味わいを楽しめる。
イルランポ
住所:京都市上京区河原町今出川下ル二筋目西入ル栄町358
営業時間:9:30~17:00閉店(土曜15:00〜22:00閉店)
定休日:水曜、木曜
TEL. 075-754-8091
銀閣寺「酒菓喫茶 かしはて」の朝菓子の会
2022年9月にオープンした「酒菓喫茶 かしはて」は店名の通り、菓子やお茶、お酒を提供する喫茶店だ。店主・得能めぐみさんは、京都の人気カフェ出身で、チャイニーズ・ガストロノミーでも腕を磨き、季節のフルーツを使ったケーキやパフェを得意としている。
店の周辺には銀閣寺や法然院など、観光名所が点在し、「朝のスタートを切るにはぴったりなロケーションでしょ」と、通常営業の前に、菓子4品をコースで楽しめる「朝菓子の会」も開催されている(3営業日前までの要予約)。
得能さん自身が「しっかり甘い菓子が苦手」ということで、甘ったるさは一切なし。朝をイメージし、巷のアフタヌーンティーやデセールコースよりも軽やかな構成で、4品食べても食べ疲れせず、心とおなかがスーッと満たされていくようだ。
酒菓喫茶 かしはて
住所:京都市左京区浄土寺上南田町37-1
営業時間:12:00~17:00(LO16:30)、朝菓子の会は10:00スタート
定休日:水曜、他不定休あり
TEL. なし
朝菓子の会は3営業日前までの要予約
※桜の季節の繁忙期は、通常営業時も前日までインスタグラムのDMから予約が可能
予約はインスタのDMより
公式インスタグラムはこちら
河原町「SPICE GATE」の朝カレー
「SPICE GATE」は、全国的にも珍しい朝営業を行なっているカレー専門店だ。「朝からカレーは重たい・・・」と思われるかもしれないが、「SPICE GATE」では、「京風スパイス朝定食」と題し、和朝食をイメージした、寝起きのおなかにもあっさり優しいカレーを提供している。
プレートにライスとカレーのほか、副菜がたっぷりのったスタイルは、南インドのミールスを彷彿させるが、その内容は、ニゲラの梅キクラゲやアサリとメースの佃煮、カシミールチリの千枚漬など、和朝食をスパイスを使って再構築。バスマティライスも「祇園 北川半兵衛」の煎茶で炊くことで、グルタミン酸でうま味を加味し、香り高く仕上げている。プレートに添えるカレーは2、3種類から選べるが、今回は、定番の「カレーリーフ香る魚介出汁カレー」をセレクト。
さらにカレーのほか、パティシエのスタッフが作るギーやスパイスを使ったスイーツやスコーンも楽しむことも。
SPICE GATE
住所:京都市下京区恵美須之町546ー1 しきさい寺町ビル2F
営業時間:7:30~L.O.11:00、11:30~L.O.16:00(水曜・金曜~L.O.21:00)
定休日:火曜
TEL. 075-741-7554
公式サイトはこちら
寺町三条「スマート珈琲店」
昔は、京都旅行と言えば、寺社仏閣に湯豆腐、抹茶スイーツ…と、わかりやすく京都らしいものが求められていたが、最近は地元の人に愛される普段着の店や食に注目が集まっている。
街のおうどん屋さんや中華料理店など、以前はご近所ユースだった店が行列必至の人気店になってしまうことも多く、「スマート珈琲店」はまさにその代表格だ。
私の実家は「スマート珈琲店」のご近所にあり、ホットケーキ目当てに、小さい頃から祖母や両親によく連れてってもらったが、その頃はタバコ片手にコーヒーを楽しむおじさんたちで賑わっていて、いつ行っても並ぶことなく入れていた。
「メニューも店もなんにも変わってないんやけど。25年くらい前、兄が修行から戻ってきて、昼だけ2階で洋食ランチをやりだした頃から、雑誌でも取り上げてもらったり、旅行の人がぐんっと増えた気がします」と、3代目店主・元木章さん。
オープン時間も昔から変わらず朝8時。モーニングメニューはないが、サンドイッチを朝食に楽しむ人で賑わっている。甘い朝食好きには、ホットケーキにするかフレンチトーストにするか悩ましいところだ。
「スマート珈琲店」は、昭和7年に食堂として創業し、戦後に喫茶店に転身したが、ホットケーキは食堂時代から出しているメニューだそう。
初代の奥様(現店主の祖母)のレシピで今も作られていて、分厚い鉄板で焼くことでふっくら膨れ上がり、これぞホットケーキのお手本というべき美しい焼き色に。自家製シロップも甘すぎず、ビシャビシャにかけてホットケーキにシロップをたっぷり吸わせて食べるのがおすすめだ。
スマート珈琲店
住所:京都市中京区寺町通三条上ル天性寺前町537
営業時間:8:00~19:00(2Fランチは11:00~14:30L.O.)
定休日:無休(2Fランチは火曜休)
TEL. 075-231-6547
清水五条の「汽[ki:]」のレバノン料理
2021年のオープン以来、地元人にも国内外からのツーリストにも人気のレバノン料理店「汽[ki:]」。
オーナー長野浩丈さんは、パリや東京、大阪のレストランで腕をふるってきたフレンチ料理歴25年のシェフであり、「これからは限られた方しか来られないレストランではなく、年齢や宗教、思想などの垣根なく楽しめる多様性のある店がしたい」と、レバノン料理に転身。
「カジュアルだけど、ジャンクじゃない健康的なファストフードダイニングを目指しています」と、朝と昼のみの営業で、どちらも選べるメインに副菜をたっぷり付けたワンプレートで提供している。
キッチン内には薪焼きや炭焼きができる蓋つきのファイヤーピットを設置し、ランチのメインはファイヤーピットで焼いたチキンやビーフ、季節野菜を選ぶことができ、モーニングのメインでは、ランチ営業後の残り火で低温調理したスモークチキンを選ぶことができる。
卵を使わずに大豆とオリーブオイルでコクを出したアイオリソースをはじめ、メイン以外は動物性の食材不使用で、メインにひよこ豆のコロッケ・ファラフェルを選べば、ヴィーガン対応も。
プレートには、ピタパンがセットされているので、ピタパンに大豆のアイオリソースとフムスを塗り、具材をたっぷり入れてピタパンサンドにしていただくのがおすすめ。
汽[ki:]
住所:京都市下京区都市町149
営業時間:8:00~9:45(L.O)、11:00~14:45(L.O.)、持ち帰りは9:00~15:00
定休日:水曜
TEL. 075(585)4224
※2023年6月から、朝食のみTable Checkで予約可能
定食の中で今の時期にオススメなのが、夏限定のコングッス。キーンと冷えた冷麦をすりつぶした大豆といりこだしを合わせたスープでいただく韓国の夏の定番。こっくりとろとろのスープは大豆のそのもの。濃厚ながらあっさりしていて、食欲のない時にもスルスルいけるおいしさだ。