京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!そんなアマジュンこと天野準子の絶品満腹口福アドレス。今月はノンヴィーガンでも訪れたくなる菜食料理店を紹介。第1弾は「菜食hale」へ

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

錦市場「菜食hale」

画像: 「薬膳スープセット」¥2,000(1月〜3月の期間限定)

「薬膳スープセット」¥2,000(1月〜3月の期間限定)

 言わずと知れた京の台所“錦市場”に店を構えて20年。珍味専門店と青果店に挟まれた路地の奥にあり、暖簾の掛けられた入り口は、うっかり見落としてしまうほど目立たない佇まいだ。

画像: 入り口の暖簾が目印

入り口の暖簾が目印

 路地を進むと、明治時代に建てられた町家にたどり着く。「ここは私のおばあちゃんが生まれ育った家です。元々は、住居の前に店舗があり、錦市場で昆布屋を営んでいたのですが、店を継ぐはずだったおばあちゃんの弟さんが戦死してしまったため、昆布屋は廃業したそうです」と、店主・近藤千晴さん。

 近藤さんは、マクロビオティックを学び、自身の店では雑穀米や野菜、海藻など、日本の伝統的な食事を提供。肉や魚など、動物性の食材は使用せず、出汁も鰹節を使用しない精進出汁を活用している。
 オープン20年の間には、メニューや料理の提供スタイルも移り変わり、現在は、昼営業のみ「湯葉ときのこのあんかけ丼セット」を提供。冬限定で「薬膳スープセット」も登場する。
 海外ツーリストはヴィーガン料理を検索してたどり着く方が多く、ヴィーガン率ほぼ100%だが、日本人のお客さんは「京都で気軽に湯葉料理を食べたい」、「京町家でほっこり家ごはんが食べたい」など、理由はさまざまで、ヴィーガンは2割程度だそう。私は、暴飲暴食続きで胃を休めたい時や身体にいい食事を取りたい時、「薬膳スープセット」を食べに訪れる。

 薬膳スープは、ナツメや蓮の実、クコの実など薬膳食材入りで、豆腐やシメジ、白キクラゲ、黒キクラゲなど、具だくさん。干したショウガとすりおろしたショウガの力でぽかぽか温まり、身体に染みる。

画像: 「薬膳スープセット」では薬膳スープを気軽に一人サイズで楽しめる

「薬膳スープセット」では薬膳スープを気軽に一人サイズで楽しめる

 そのほか、薬膳セットにはおばんざい盛り合わせや揚げ物、雑穀ごはん、香の物、一保堂の煎り番茶が付いていて、食べ応え満点。自家製ひろうすやテンペなど、日替わりの揚げ物も毎回、楽しみだ。
 お土産には、自家製「こんちゃんマスタード」もお勧め。2色のマスタードを、りんご果汁や減農薬栽培りんご果実を発酵させたりんご酢、京都の千鳥酢、種子島産の粗糖などで漬け込み、優しい味わいに。店でも、菜の花と揚げのマスタード和えやキャロットラペなど、おばんざい盛り合わせによく使用されていて、このマスタードがあればいつもの料理がぐんっとおいしくなる。

画像: きょうの猫村さんでおなじみ、ほしよりこさんが店主を描いたラベルもほのぼの。「こんちゃんマスタード」¥1,450

きょうの猫村さんでおなじみ、ほしよりこさんが店主を描いたラベルもほのぼの。「こんちゃんマスタード」¥1,450

 最近、錦市場は、インバウンド向きにシフトする店が増え、外国人ツーリストで終日ごった返しているが、それでも人混みをかきわけ目指したい店だ。

画像: 靴を脱いで店内へ。二階に続く階段箪笥や坪庭が残る伝統的な京町家

靴を脱いで店内へ。二階に続く階段箪笥や坪庭が残る伝統的な京町家

画像: 京都の街中で生まれ育った店主・近藤千晴さん

京都の街中で生まれ育った店主・近藤千晴さん

「菜食hale」
住所:京都市中京区錦小路麸屋町通西入ル梅屋町198
営業時間:12:00〜14:30(売り切れ次第終了)
定休日:月・火・水曜休み
TEL. 075-231-2516
公式インスタグラムはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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