夏目漱石、永井荷風etc. 一見渋めのイケオジ風文豪たちも実は大の甘党だった。書評家の石井千湖が、文豪とお菓子のただならぬ関係をひもとく。谷崎潤一郎が愛した熱海の銘菓「ネコの舌」は、優しく豊かな味わいが評判。年月を超えて人々を魅了しつづける名作をご堪能あれ

BY CHIKO ISHII, PHOTOGRAPH BY MASANORI AKAO, STYLED BY YUKARI KOMAKI

画像: サクサクッと軽やかな口あたりの焼き菓子は、嚙むほどに新鮮なバターと卵のふくよかな風味に満たされ、もう次から次へと手がとまらないおいしさ! 谷崎の時代から変わらぬパッケージの愛らしさもうれしい。オンラインでも購入可能。「ネコの舌」1 袋(130g)¥750/三木製菓本店 住所:静岡県熱海市渚町3 の4 TEL.0557-81-4461 https://www.mikiseika.com/onlineshop_neko.html

サクサクッと軽やかな口あたりの焼き菓子は、嚙むほどに新鮮なバターと卵のふくよかな風味に満たされ、もう次から次へと手がとまらないおいしさ! 谷崎の時代から変わらぬパッケージの愛らしさもうれしい。オンラインでも購入可能。「ネコの舌」1 袋(130g)¥750/三木製菓本店

住所:静岡県熱海市渚町3 の4  
TEL.0557-81-4461
https://www.mikiseika.com/onlineshop_neko.html

 谷崎潤一郎は引っ越しを何度もした文豪だが、晩年は主に熱海で暮らしていた。美食家の谷崎は、昼と夜に何を食べるか自分で決めていたという。熱海の家をよく訪れていた義理の孫・渡辺たをりのエッセイ集『花は桜 魚は鯛』(ノラブックス)によれば、おやつは〈熱海市内のレストラン「モンブラン」のチーズトースト、洋菓子屋の「三木」のクッキー、ラングドシャ、アイスクリーム〉など。その「三木」のクッキーが「ネコの舌」だ。谷崎は愛猫家でもあって、『猫と庄造と二人のおんな』という小説を書いている。この小説に登場するリリーは、青い瞳の洋猫だ。鼈べっ甲こうのような柄の毛皮は、つやつやと光って美しい。庄造の膝にのったリリーが、ザラザラした舌の先で顔を舐めてくるくだりは魅惑的だ。口に入れるとふわっとバターの香りがして、ザラッとしているけれども軽やかな舌ざわりの「ネコの舌」を食べながら読みたい。

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