RECEPI BY TOMOKO NAGAO, PHOTOGRAPHS BY TAKAKO HIROSE, TEXT BY MIKA KITAMURA

りんご、さつまいも、そして白きくらげ。シナモンの効いたほの甘いスープ
猛暑が去り、心地よい涼しさに包まれてほっとしている方も多いことでしょう。赤や青のりんごが店頭を賑わせ、さつまいもも食べごろだ。
「りんごをスープにと驚かれるかもしれませんが、りんごに火を入れることでさらに深みのある味と香りが生まれ、生とは異なる魅力を見せてくれます」と長尾智子さん。
白きくらげは中医学で「肺と肌に潤いを与える食材」として、女性に人気。かの楊貴妃も好んで食べたとか。シナモンは体を温めてくれ、代謝が上がるなどの効能があり、りんごやさつまいもはビタミンも食物繊維も豊富。風邪をひいたり、咳が出たりする人が増えてくるこの時期、甘いスープは養生のための一品になり、弱った身体を癒してくれる。
このスープの肝は「シナモンだし」。「シナモンをなるべく細かく割ってお湯で煮出し、風味をしっかりつけるのがポイントです。シナモンをゆっくり煮出して作るシナモンティーをヒントにしました」。シナモンにクローヴを足して煮出してもいいし、だしは甘みを加えてからフルーツをマリネしても。
さつまいもにまず火を通し、りんごを加えたら、弱めの火加減で煮込むのがコツ。煮崩れず、色鮮やかな皮の色はそのまま、きれいに仕上げられる。
「りんごにはレモンをかけておきます。変色を防ぐのと同時に、酸味が加わり、スープの味がキリッと締まります」。
デザートにもよいが、朝の一膳にも。ほのかな甘みで穏やかな一日のスタートになるはずだ。
<材料4人分>
りんご 1個
さつまいも 中1/2本
白きくらげ(乾燥)約15g
てん菜糖 40g
メープルシロップ 大さじ2
レモン 1/2個
シナモンスティック 2本

白きくらげはぬるま湯で15分ほどつけて戻す。

「シナモンだし」を作る。鍋に水1ℓ(材料外)、細かく砕いたシナモンスティックを入れて中火にかける。煮立ったら弱火にして10分ほど煮込む。ざるで濾し、鍋に戻しておく。

りんごは皮付きのまま4等分して芯を外す。ひと切れを縦に2等分し、横に4等分にして全体にレモンを搾りかける。

さつまいもは筋状に皮をむき、1cm強の輪切りにしてから4等分し、軽く水にさらす。

鍋にさつまいもを入れ、軽く煮立つくらいの火加減で6〜7分煮る。りんご、メープルシロップとてん菜糖を加える。弱めの中火で10分ほど煮る。

戻した白きくらげの根元の硬い部分を切り落として小さめにほぐす。

白きくらげを鍋に加えて弱火にかける。味を見て足りなければ、てん菜糖もしくはメープルシロップを少し加える

白きくらげに透明感が出てきたら火を止め、器に盛る。
スープの具材をオープンサンドに

残ったスープの楽しい食べ方をご紹介。薄めに切ったパンにバターを塗り、りんごとさつまいもの水気を切ってのせる。トースターでパンがこんがりするまで焼く。器にのせ、メープルシロップを回しかける。一度で二度おいしい残り物利用法。このために具材だけ残しておきたいくらい、優しい風味のオープンサンド。朝ごはんに、おやつに。

長尾智子
フードコーディネーター。書籍や雑誌の執筆、食品や器の企画やディレクションほか、食にまつわる提案を手がける。『料理の時間』(朝日新聞出版)、『ティーとアペロ お茶の時間とお酒の時間 140のレシピ』(柴田書店)ほか、著書多数。自らの目で選ぶオンラインストアSOUP(https://soup-s.shop/)も好評。
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