ホテルジャーナリスト、せきね きょうこが独自の視点でおすすめの東京ホテルを案内。連載第55回目は、迫力の日本アートに満たされる「パークホテル東京」

BY KYOKO SEKINE

「日本の美意識をART=空間(Atrium)食(Restaurant)旅(Travel)のそれぞれのシーンで体感できる」と謳う「パークホテル東京」に泊まった。日本文化を象徴するテーマが、若い作家の斬新で個性溢れる手法で壁画として描かれた部屋は、想像よりもずっとパワフルであり、心の面持ちを変えるほど圧巻であった。外国人トラベラーの多いホテルだけに、まずは東京でこうした新鋭の日本アートに触れ、それから魅力あふれる地方都市や伝統薫る美しい情景の田舎へと旅をする、理想的な”日本発見の旅”の起点になるのではないかと思える。

画像: 汐留タワーの25階から上がホテルフロア。25階のロビーラウンジには約30mのアトリウムが広がる。レセプション、アートショップ、レストランはこの階に

汐留タワーの25階から上がホテルフロア。25階のロビーラウンジには約30mのアトリウムが広がる。レセプション、アートショップ、レストランはこの階に

 翌朝の朝食時、周囲を見渡せばレストラン内は欧米系のゲストで賑わっていた。観光客のカップルや小グループにに交じり、一人旅の外国人女性もいることから、私のようにビジネスユースも多いようである。このレストラン「アートラウンジ」は、汐留タワーの25階のロビー階にあり、吹き抜けが34階まで続く都内最大級のアトリウムの下でゆったりと食事が摂れる。ロビー階ではさらに、日本の四季を楽しむ展示会「アートカラーズ」が年4回開催され、夜には、高さ約30mの壁面に展示作品がプロジェクション・マッピング映像として投影される。

画像: 31階のオールデイダイニング「アートラウンジ」 25階から34階までの吹き抜けが圧巻。年4回開催する「アートカラーズ」展では、高さ約30mの壁面に作品がプロジェクション・マッピングで投影される

31階のオールデイダイニング「アートラウンジ」
25階から34階までの吹き抜けが圧巻。年4回開催する「アートカラーズ」展では、高さ約30mの壁面に作品がプロジェクション・マッピングで投影される

 交通至便、都会的なパークホテル東京の開業は2003年9月1日、客室は全270室が揃う。ホテルのオーナーは、芝公園に1948年の創業以来、顧客の多さで知られる老舗の「芝パークホテル」である。世界各国のゲストをもてなしてきた旗艦店のノウハウが、ここパークホテル東京にも生かされ、温かなもてなしや規律の良さが伝わってくる。

 私自身は、パークホテル東京でアートの客室に泊まり、目が覚めた時に、そのアートに包まれどう感じるのかを体験したかった。31階に位置するアーティストフロアでは、全客室すべてに違う作品が描かれている。またこのフロアには、専用のフロアコンシェルジュが常駐し、専用のラウンジ「ギャラリールーム」も造られ、クラブラウンジの様に使われている。アートラウンジで年4回開催の「アートカラーズ」展見学者、アーティストフロアに滞在のゲストに開放されているプライベートな憩いの場だ。

画像: 「ギャラリールーム」 コーヒーや紅茶、フリードリンクが用意され静かな時を愉しめる

「ギャラリールーム」
コーヒーや紅茶、フリードリンクが用意され静かな時を愉しめる

 今回宿泊した部屋は、アーティストルーム クイーンの「富士山」だった。日本画家の平良志季さんが2017年5月19日から制作を始め、滞在したり通ったりしながら約2カ月以上をかけて制作、完成したのは同年7月31日であった。客室内に大好きな富士山と共に描かれていたのは、宝船に乗った七福神。宿泊したのは2019年の暮れなので、「2020年は縁起がいいかもしれない」…… そう解釈。もう足音が聞こえた新年への縁起の良さを願った。

画像: アーティストルーム クイーン「富士山」 日本画家の平良志季さん作。ボードには「風神、雷神」を従えた富士山が、反対側の壁には七福神が大きく描かれバスルームにも同様の絵が描かれている。宝船に乗った七福神と共に幸せな時を! という思いが込められている

アーティストルーム クイーン「富士山」
日本画家の平良志季さん作。ボードには「風神、雷神」を従えた富士山が、反対側の壁には七福神が大きく描かれバスルームにも同様の絵が描かれている。宝船に乗った七福神と共に幸せな時を! という思いが込められている

画像: アーティストルーム クイーン「芸者金魚」 妖艶、でもラブリーな芸者と金魚を描いた画家、成田朱希さん作。客室を水槽に見立てたという作品。客室初の油絵の具を使用し、壁面だけでなく天井にも画が。古来より縁起物の金魚で幸運な夢を! と望んだ

アーティストルーム クイーン「芸者金魚」
妖艶、でもラブリーな芸者と金魚を描いた画家、成田朱希さん作。客室を水槽に見立てたという作品。客室初の油絵の具を使用し、壁面だけでなく天井にも画が。古来より縁起物の金魚で幸運な夢を! と望んだ

画像: スタンダード・フロア「ツイン 東京タワーサイド」

スタンダード・フロア「ツイン 東京タワーサイド」

画像: アーティストルーム クイーン「おたふく」 画家、近藤亜樹さんの作品。「五徳の美人」、古来人々のお手本と言われた「おたふく」の顔を客室一面に描くことで、慎み深さや謙虚さといった、日本人の心の美しさを表現

アーティストルーム クイーン「おたふく」
画家、近藤亜樹さんの作品。「五徳の美人」、古来人々のお手本と言われた「おたふく」の顔を客室一面に描くことで、慎み深さや謙虚さといった、日本人の心の美しさを表現

 他にも、2015年5月15日に完成した「おたふく」の部屋は、近藤亜樹さんが9日間も部屋に籠って描いた壁画だ。外国人に最も人気の「芸者金魚」は、部屋中に金魚が泳ぐ。ここは成田朱希さんが、「古来、縁起物として名高い金魚に囲まれた部屋で見る夢が、宿泊するお客様に幸運をもたらしますように」と描き上げた。外国人ゲストはこの金魚たちに「So Cool !!」と口を揃えるという。他にも相撲の力士、縄文、里山などなど、シングル、クィーン、キングと、それぞれの部屋自体をキャンバスとしてさまざまなアートが描かれている。どの部屋も心にグッと迫り、なんだかウキウキとしてくるから不思議である。

画像: 25階にある日本初のソサエティ公認のバー「ザ ソサエティ」 席数16席のみのプライベート感あふれる、本格的なウィスキー・バー PHOTOGRAPHS: COURTESY OF PARK HOTEL TOKYO

25階にある日本初のソサエティ公認のバー「ザ ソサエティ」
席数16席のみのプライベート感あふれる、本格的なウィスキー・バー
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF PARK HOTEL TOKYO

 レストランとバーもまた、「Nature」「Health」「Art」をコンセプトとしており、前述のレストラン「アートラウンジ」の他、カジュアルなフランス料理”ビストロノミー”を掲げる「タテル ヨシノ ビズ」、和とモダンの融合「花山椒」がある。他に、スコットランドから直接取り寄せたシングルモルトを100種揃えたバー「ザ ソサエティ」は、日本初のソサエティ(1983年にエディンバラの港町リースで設立された「スコッチ モルト ウィスキー ソサエティ」)公認のバーだ。あれもこれもと、知られていない情報満載のパークホテル東京。広い東京には、顧客がまるで“隠れ家”の様に密かに楽しむ魅惑のホテルが多くある。

パークホテル東京(PARK HOTEL TOKYO)
住所:東京都港区東新橋1-7-1 汐留メディアタワー(フロント25F)
電話:03(6252)1111
客室数:全270室
料金:¥20,000~(1泊1室2名の室料。消費税・サービス料込)
公式サイト

せきね きょうこ
ホテルジャーナリスト。フランスで19世紀教会建築美術史を専攻した後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。在職中に住居として4ツ星ホテル生活を経験。以来、ホテルの表裏一体の面白さに魅了され、フリー仏語通訳を経て、94年からジャーナリズムの世界へ。「ホテルマン、環境問題、スパ」の3テーマを中心に、世界各国でホテル、リゾート、旅館、および関係者へのインタビューや取材にあたり、ホテル、スパなどの世界会議にも数多く招かれている。雑誌や新聞などで多数連載を持つかたわら、近年はビジネスホテルのプロデュースや旅館のアドバイザー、ホテルのコンサルタントなどにも活動の場を広げている
www.kyokosekine.com

 

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